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【書き起こし】孫正義、質疑応答:ソフトバンク決算説明会

4月27日にソフトバンクの2010年3月期の決算発表会が行われ、USTREAMでも同時に生中継されました。

ここでは後半の質疑応答を書き起こしました。

聞き間違い、わからなかったところ等ありますがご容赦ください。
(ご指摘歓迎)

USTREAMアーカイブはこちら
01:14:00あたりからが質疑応答です。
ソフトバンクグループ 2010年3月期 決算説明会

前半の書き起こしはこちら
【書き起こし】孫正義、ソフトバンク決算説明会に登壇

【注意】免責事項などについてこちらのリンクもご確認ください。

2010年3月期 決算説明会の模様をインターネットと電話でライブ中継

孫正義:はい、じゃあこちらの方。

質問者1:CNET Japanのナガイと申します。
何点かお願いいたします。まず、解約率についてなんですけども、今回あまり言及がなかったのですが、3Gのみだと1.28%、前期に比べてかなりかなり上がっているようなんですけれども、こちらの理由について教えてください。
それから、2点目にDC-HSPAですね、Q4から始めるということで42Mbpsと書かれているのですが、これも、Q4の時点ですでに42Mbpsがでるという理解でよろしいですか? それとも、ステップアップして、将来的に出るという数字でしょうか?
それから3点目に、先日ホワイトプランの変更がありまして、一部で改悪と言われておるように、2年縛りの問題があるんですが、こちらの狙いについて改めて教えてください。

孫正義:まず、通信速度の件ですけども、Q4の時点で、我々のネットワークが少なくとも、そういうレベルになると、全国一気にということでありませんけども、ネットワークはまずそういう体制になると。
そして、端末の側が、その速度に対応したものが出てくるのはそれから数ヶ月後という形になるだろうと思います。

ちなみに、ドコモさんもLTEもいきなり全国になるということでなくて、徐々に広がっていくことだと思いますし、何MHzを使えるかということによって、その実効速度も変わってくると。ネットワークというのは徐々に広がっていくもの、だと思います。

2点目は、最初の1点目の点ですけども、解約率の件ですけども、特に先月末、3月末で、第二世代の通信、2Gの通信電波を停波ということになりましたので、2Gのお客様の最終的な解約の部分が、解約率のアップになっているということと、その解約されたお客様はARPUが一番低いお客様でございましたので、経営的な影響としましては、マイナスの影響はほとんどなくて、むしろ、その二重のインフラとしての、2Gのネットワークインフラが、コストがなくなりましたので、それは経営的には増益効果がある、ということであります。
解約率は、ここから先は比較的落ち着いてくると見ております。

えー3点目は何でしたかね。

質問者1:ホワイトプランの2年縛りの件でございます。

孫正義:ドコモさんもAUさんも、事実上2年縛りの料金プランにほとんどなっております。我々は2年縛りというのは、料金プランで縛るのをおかしいんじゃないか、ということを実はずっと申し上げておりましたけれども、他の2社さんはずっと2年縛りという形でなっておりますので、我々も業界慣行に右にならえをしたと。
また実際に、端末を買われるお客様の90何%かのお客様は、分割払いで2年割賦で買っておられますので、事実上は料金のところと、端末の分割払いの2年割賦で、ほとんど実態としてはいままでと変わらない、ということでございます。

よろしいですか?

質問者1:すいません、1点目と2点目の件を確認させてください。
まず解約率の件で、2Gが無くなったということで、全体がQ4だけでいうと、2%までいっているというのは理解できるのですが、ちなみに3Gだけ見ても、1.28%と、かなり上がっているんですね。ですので、3Gに関して、教えてください。
それから、もう一回確認なんですけど、DC-HSPAに関しては、ネットワークだけでなく、端末も数カ月後になるということで、今期中、来季の頭には42Mbpsが出るということでよろしいんでしょうか?

孫正義:はい、通信速度はそういう端末が使うお客さんが、最大そういうような速度がでると。少なくともそういうネットワークになると。
LTEの場合でも、現在のHSPAでもそうですけど、通信の最大速度というのは、さきほどマクロセルの説明にもありましたように、一人しかそのセルの中にいないときには、最大その速度が出ると。500人いると、500で割らなきゃいけない、ということですね。
よくLTEになると、光ファイバー並の速度というふうに早とちりして、記事とかに書く記者の方がたくさんいますが、あれはすべて間違いですから、あえて申し上げておきますけれども、ひとつのマクロセルに一人しか実際に繋いでいるお客さんがいないときに、その速度が出る、ということであります。
ですから、ドコモさんのLTEの場合も、あるいは将来のAUさんのLTEの場合でも、今日現在の3Gの場合も、最大通信速度がモバイルで、十分、光並の速度が出るから、光ファイバーいらないという説もこれまた間違いでありまして、やはり光ファイバーは光ファイバーなりのメリットが、特にバックボーン側に重要なメリットがありますし、モバイルはモバイルで、その通信速度は上げていきます。
ただ、最大通信速度という同じ共通のものさしで言うと、LTEも我々のHSPAも、あまり変わらない実効速度になると、いう意味では、ご質問に対するお答えでございます。

解約率の件については、3Gの解約率はだいたい、1.2から1.1ぐらいで落ち着くんじゃないかな、ここからさらにどんどん解約率があがるというのは、あまり想定しておりません。特に、2年割賦の満期明けの人々が、この半年くらい急に生まれてきたというのが、解約率が上がった点、ということがあると思いますけども、そういう意味ではサイクルがほぼ回ってきましたので、ここから急激に、さらに解約率が上がると、いうふうにはみていないということです。よろしいですか?

ほかにどうでしょう。

はい、どうぞ。

質問者2:野村證券のマスウエです。
3つほどありまして、ひとつはネットワークのところなんですが、ウィルコムのスペースを使って、Wi-Fiとあるいはマイクロセルに転換していくということですけれど、例えばWi-Fiのスポットの数でいうと、ウィルコムさんは16万あるわけですが、どれくらいの数までカバーが広がっていくのか、で、おそらくは、Wi-Fiだとおそらく設備投資の負担はとても軽いんだと思うんですが、どれくらいのサイズで大丈夫なのか、とても、数字を聞くと、とても効率がいいんだろうな、ということになるでしょうが、そこをまず1点目お教えしていただければと思います。

孫正義:あの、Wi-Fiはですね、ウィルコムさんのロケーションには一部取り付けていきますけども、むしろWi-Fiはお店の中にですね、いろんなカフェだとか、レストランだとか、その他、いろんなところに事業所とかお店の中、あるいは家庭の中に、取り付けていくわけであり、さきほどのウィルコムさんの場所、跡地を大量に使うということはあまり考えていない。
また、さきほどの基地局倍増計画のなかには、Wi-Fiの数は外数で、内数には含んでいない、ということであります。
ただ、まあ屋外でも、電波が混信しないと、混信する恐れの少ないといろでは屋外でも、ウィルコムさんの場所を使って、Wi-Fiをふいていくという事例は色々出てくるとはおもいます。

質問者2:それでいきますと、まあ、ここにもありますように、色々人が待っているように、状態のお店にはどんどん置いていくということですけども、そうすると、お店の数も、ポイント数でも、設置数でもいいんですけど、どれくらいのスケールまでいかれると考えていらっしゃいますか。

孫正義:数はまだコメントするのは、ちょっと時期早尚だと思いますが、積極的に行って行きたいと思っています。

質問者2:2つめはUSTREAMなんですけども、サービスとして非常に伸びていらっしゃって、ただ、ソフトバンクの業績ということでいくと、USTREAMのアジア版の合弁会社を作って、積極的にやっていかれるという方針だと思うんですけど、そういった、アジア展開の時期とか、ソフトバンクのビジネスとしての、連結として取り込まれるビジネスとしての展開というのが、どういうマイルストーンで今後進められていくのか、その辺をご説明していただけますか。

孫正義:はい、近い将来、USTREAMのアジア展開について発表したいと思いますが、今日現在はあまりコメントできない。
ただ、Yahoo!JAPANのときもそうでしたけども、最初は、いきなりソフトバンクの連結に業績として影響を与えるほどの金額ではない。
でも5年、10年、20年という単位で見ると、非常におもしろい可能性をいっぱい持っていると。
またそれが、我々のモバイルインターネットの重要なコンテンツとして、我々がモバイルインターネットのお客さんの獲得だとか、データARPUの増大だとか、そういう面で非常に相乗効果を持っている、そういう風に思っています。

質問者2:すいません、最後にですね、ちょっとこの場ではないんですが、今日このYahooさんとモバゲー(DeNA)さん、の提携というのが発表されておりまして、両方にポジティブな話なんでしょうけど、ソフトバンクから見て、なぜ今手を組むのか。その辺ちょっとお話いただけますか。

孫正義:まあ、我々にとって、さまざまなお客様、特にソーシャルネットワーク、ソーシャルゲームのところが、非常にユーザーが増えております、世界的に。
そういう意味で、Yahooとモバゲーさんが提携するのは、双方のグループにとって、非常にWin-Winのシナリオだと。
またそれは、結果的にはモバイルインターネット、あるいはYahooのPCのインターネットに、すべてポジティブな影響を与えると、いう意味で、歓迎しておるということです。はい。

他に。

質問者3:朝日新聞のワケと言います。
最近ですね、光ファイバーの重要性をいろんなところで講演されていると思うんですけども、かつて、ソフトバンクはですね、光ファイバーの敷設もやっていたと思うんですが、そこから撤退を決めております。
で、なぜじゃあそこまで、今後のビジネスに大切なものであれば、自分での敷設ていうのを考えないのでしょうか。
あとは、設備の競争からが、本当の競争だ、という人もいますが、そういう意見についてはどういう風に答えますか。

孫正義:基本的に、ひとつの家にですね、水道を2本も3本も異なった水道会社から、水道管を引いても意味はない。
電線を例えば、東京電力A、東京B電力、東京C電力という3つ4つ異なった、電力会社が、電気の道である電線を引きに来る、あるいは、契約を変えたら、その電線を引き剥がして、もういっかい引き直す。契約が変わったら、異なった競争相手の、契約が変わったら水道管を引きぬいて、もういちど入れなおすというのはナンセンスですね。
道路においても、同じように家の前の道路を舗装している。その家の前の道路がAという道路敷設、BとC、契約が変わったら、道路を引き剥がして、コンクリートを引き直すというのはナンセンスですね。ですから、物理的なインフラの設備競争というのは、実は大変非効率的で、むしろ、それはひとつの会社で計画的に一気呵成にひいた方がよくて、その上で行うサービス、電気の道である、電力線を使って、テレビのメーカーが競争しあう、家電のメーカーが競争しあう。
車の道である道路を共通に使って、トヨタと日産とホンダが競争しあう。
そういうほうがはるかに効率ののいい競争になるということですね。
で、道路をひくだとか、電力のための電力線をひくとか、水道管をひくとかいうのは、国家がその会社を独占的に持っていた時代に、電柱を国民の共有資産であります道路の上に、電柱を国家として、置いていったときに、その効率が遥かに良くて、それを光ファイバーに直すときに、自らの電柱として、再活用できるという会社と、電柱を間借りして、その手続だらけでやらなくてはいけない会社とでは、全然、コスト競争力が違う、ということですね。
ですから、コスト的に採算があわない、イコールフッティングでないところに、設備競争しても意味がない。
それよりもその部分を切り離して、中立な会社にして、それを、つまり電線は中立な会社で、それを活用する家電メーカーが競争しあう、ろうろう中立な会社にして、民間企業同士が、自動車メーカーとして競争しあう。
同じように物理線はいま、メタル回線を中立なコストで使って、その上のADSLだとか、音声のサービスで競争しあっている。
同じように光ファイバーもそうすべきだと。それを分社化する方が、今回起きた、NTT東西による、特に西日本による不正利用における、行政指導なんかがあったわけですね。そういう状況よりははるかにベターであろうということであります。

よろしいですか。

質問者4:フリーのフジイと申します。
今日の朝刊ですね、ウィルコムの次世代PHSのLTEベースだと思うんですが、新しいシステムをいれるんじゃないかという記事が出ていたと思いますが、このTD-LTEというシステムについてどんな風な評価をもっていらっしゃるのかというのが1点と。
そして、今日のモバイルインターネットの中でウィルコムのインフラというのはどういう風な形でいかしていくのか、ソフトバンク自体のサービスと、ウィルコムのサービス、この辺をどんな形で連携をとられていくのか、ということをお聞きできればと思います。

それから800MHz帯あるいは900、700でも構わないんですが、これについては、さきほど16万局という数字があがっていたんですが、このウィルコムの中に800、900が入ってくるのか、入ってこないのか。入ってくるとした場合に、たとえばルージャエリア(?)の基地局の整備を独自を行われるのか。あるいは、ドコモの基地局に輸送(?)するとかですね、そういうことを念頭に置いているのか、そのへんのところのイメージを教えていただければと思っております。

孫正義:はい、旧ウィルコムが2社に分社化されました。1社がPHSを行っている会社、もう1社が基地局の場所と、それから次世代PHSの周波数をもって、あらたな次世代サービスを行うという会社ですね。
我々が、今回、直接的に関わっているのは、この後者の方の基地局の場所と、それから、次世代PHSの周波数を許認可で持っている会社、そちらのほうに我々が、3分の1株主となって、関わっていくと、ということでございます。
この会社に対して、どのような技術を次世代PHSとして進化させていくのか。技術のいろんな可能性については、検討しておりますけども、どの方式という風にまだ一切確定したわけではない、我々自身が。
ですから、あくまでも検討題材の一つとして、いろんなものを検討しておりますが、なにもまだ決定しないので、決定しないことについてはまだ、コメントする状況ではないということが1点です。
それから、インフラとしての16万の基地局の場所については、我々の今日現在の2GHzの周波数、あるいは1.5GHzの周波数、あるいは将来の700、900MHzの周波数、これらの、あるいは一部ではWi-Fiですら使う、ということがあると思います。
これらについては、是々非々でロケーションの場所だとか、我々のネットワークのトラフィックの状況、それから、それぞれの通信機器のコストの成熟具合、コストダウンですね。そういうものをにらみながら考えていく。
また、16万基地局の場所の外にある、たとえば山の中だとか、田舎のほうとか、そういうところに敷設する新たな鉄塔については、これまた新たに作らなくてはならないとこがあると。それは、我々ドコモさんが持っているところで使えれば、その方がもちろん地球資源についてはいいと思うんですが、でも、相手があることですから、我々がまだコメントできる状況ではない、ということです。

質問者4:16万局には800、あるいは700には入っていないという理解でよろしいんですね?

孫正義:いえ、入る可能性はあります。

質問者5:三菱UFJ証券のモリユキです。
2点あります。まず第1点なんですけども、トラフィックが今後5年で40倍で、さらにその後40倍ということで、それだけ増えていったら、今回の4000億で足りるのかな、ていうのがシンプルな疑問なんですけど、その一方で、Wi-Fiを店舗とか家庭にいれていくということであれば、それでかなり解消できるという見方もあるんですが、この4000億のあとの設備投資のイメージ、一回落ちて、また上がるんじゃないかとか、色々可能性があるとおもうんですが、どう見てらっしゃるのか、というのを1点お教えください。
あともう1点なんですけども、定額料金制が増えて、その使い方がいろいろ出て、ほとほどに使う定額料金ユーザーとヘビーに使うユーザーで、すでに各社共にヘビーユーザーに対して、トラフィック制限を掛けていると思うんですけども、高速サービスが入ったら、さらに差が拡大するというということで、定額料金をどう考えていくのか。ADSLもスピードが早いものに関しては、徐々に、値上げをしていったんで、普通に考えたら、そうしていくべきだと思うんですが、そういったことを検討されているのかどうか。年末に新しいサービスが入ってくるタイミングを含めてお教えください。
以上2点です。

孫正義:はい、トラフィックは、40倍か30倍か50倍かわかりませんが、さきほど言いましたら、5年で伸びて行くと。CAPEXについては、それらのトラフィックが伸びて行くという前提に、なおかつCAPEXが膨らみすぎないように、我々はコントロールして行く。だから、ネットワーク設計のポリシーで、世界で初めて、我々が最も積極的にネットワーク設計に切り替えて行っていると。
したがって今回の4000億というのはある意味ではピークではないかなと。来年再来年、徐々に下がってきて、また、比較的落ち着いていくと。
それはそういう設計になるような、機材とマイクロ化あるいは、フェムト化というものを推し進めていく。もちろんWi-Fiも大いに助かると。
つまり固定回線による、IPのバックボーンを我々が持っているわけですね。持っていることが、あとあとのトラフィックの吸収に大幅に役立つ。そういう時代が来ると、いうことですね。
特に無線の場合は、電波は限りのある周波数ですがから、マクロのまま、ずっと突っ走るというというのはネットワークは必ず破綻するという風には私は思っております。
そういう意味では、マイクロ化、フェムト化という推し進めていけば、ネットワークのCAPEXを、そんなに増大させずに、十分な収益を出していける。我々は少なくとも、そういう設計思想で行っているわけですね。

次に、トラフィックがそれだけ伸びて行くと、値上げをすべきかどうか。
あるいは、通信速度を制限していくかどうかということですが、世界中の携帯事業者の経営者が、データのパケットの無制限ということに大変な危機感をいだいている。
世界中の携帯事業者の経営者は同じ危機感を持っているんです。
ですから、データの料金プランについて、特に他の国々でも、ある程度の制限の量を超えたら、ボリュームに応じて、より高いトラフィック見合いの料金プランを用意するという、実質的な値上げだとか、通信速度の制限、トラフィックの容量の制限というものを、みなさん真剣に検討しておられる。
我々もその検討の中の一員には入っておりますが、このWi-Fi化、フェムト化というものを推し進めることによって、消費者の利便性だとか、増えて行くニーズに対して、あまり逆噴射をしないで、やる方法を一生懸命考えていると、こういうことであります。

質問者5:はい。すいません、追加で。ホワイトプランで時間制限をつけることによって、ピークタイムの分散を図られたと思うんですが、そういった意味で、データ通信も同じように夜間がかなりピークタイムになっているという風に聞いているんですけども、例えば、中間定額とか、かつて音声通話で、昼間の料金と夜の料金違ったように、中間定額とか、分散を図るためにそういった料金プランが出てくることはあるんですか。

孫正義:可能性はなんでもあります。

質問者5:考えてらっしゃいますか。

孫正義:いや、まだそこは分かりません。

質問者6:フリーランスのイシノと申します。
総務省ががいまSIMロックフリーに関するガイドラインを作られていると思うんですけど、ソフトバンクの考えをあらためてお聞かせください。
あと、もしSIMロックが解除されるとしたら、経営にどのようなインパクトを与えるのかという点を教えていただければと思います。

孫正義:世界中の国々で、SIMロックを強制的に外しなさい、という国はおそらくないと思います。
もし今回、日本で強制的にやるというようなガイドラインことになったら、世界で初めての回線になります。
ちなみに、2Gの世界においては、GSMで基本的に通信が横で統一されていたし、周波数も横で事実上統一されていたし、端末も安い、ということで販売奨励金もあまりいらない、という状況でしたから、SIMロックを外して、SIM入れ替えてというユーザーもたくさんいたと思いますが、世界中でいま3Gの高度な通信速度と端末が出るにおいて、たとえばアメリカの事例をみましても、3Gの端末の8割くらいがSIMロックが掛かっているという状態で売られている。
SIMロックが掛かっているものがなぜ8割で、そうでないものが2割か、というと、SIMロックが掛かったもの、つまり自分の会社のお客さんとして、ある程度の期間使って頂けるというお客さんには、販売奨励金という形で、端末の値引きをして、お客様に安い料金で提供している。
通信料金プランは、ロックが掛かっているお客さんにも、ロックが掛かっていないお客さんにも料金プランは同額ですね。
ですから、通信の料金プランは同額のままで、ロックが掛かっているお客さんは長期的にある程度使っていただいているので、端末代を値引きする、と。固定客ですからね。
固定客じゃないお客さんに対しては、当然のことながら、値引きはしづらいということで、実態として、販売台数の8割ぐらいはロックが掛かっている方の側が得られるという形になっております。

ですから、仮に、今回の、SIMロックの件については、総務省の強制ではなくて、推奨という形でのガイドラインだということを聞いていますが、我々も2割くらいのお客様がロックが掛かっていない方がいい、いうお客様に対して、端末代が高くても、ロックが掛かっていないほうがいいというお客様に対して、1割か2割のそういうお客様のニーズに対応するということは是々非々で考えていきたい。
ただ、これは強制されるものであってはいけない。世界中で強制されている国はまず殆どない、という状況でビジネスモデルの選択肢の自由は事業者側にあるべきだ。世界と同じようにあるべきだ。
日本だけが、強制して、ロックフリーにするというのは、間違った政策であると私は思いますが、ただ、お客様のニーズに両方ありますから、ロックが掛かっていて、安い端末というのと、ロックが掛かっていなくて、高い端末がいいという両方のニーズは積極的に検討は行っていきたい、と思います。

したがって、ボリューム的には、高くてもいいから、ロックが掛かっていないというお客様は、ボリューム的には小さくなると思いますので、経営には大きなインパクトはないと、いう風に考えています。

質問者6:本日、共同通信かなんかで、ロック事業者側の選択制にする見通し、という記事が出ていたんですが、そうなった場合は、ソフトバンクさんとしては、2割くらいの端末をロックフリーとして用意するというお考えはあるんでしょうか。

孫正義:あります。2割よりももっと多くの機種を用意したいと思っていますが、実際に売れる機種、同じ機種でロックが掛かっているけども安いの、ロックが掛かっていないけど4万円くらい高いという機種だと、実際に売れる台数が同じ機種でAとBがあったとき、8割くらいは安い方が売れますよ、といっているわけですね。

質問者6:ちなみに、それはいままでのフィーチャーフォンになるのか、スマートフォンになるのか、その辺がわかれば教えてください。

孫正義:検討は両方とも行っていきたいと思います。

質問者7:フリーランスのモリと申します。
基地局関係なんですけど、いま、ウィルコムの16万局に設置しようとしているのは、現行の規格でしょうか。それともLTE、もしくは2014年から発売される、4Gを見込んでいるんでしょうか。
それによって、今後の投資と、それから他社を含めた新規格の工程には随分違ってくると思いまして、お尋ねです。

孫正義:すいません、質問の頭の方をもう一度。

質問者7:ようするに、16万局に設置する、通信規格は現行の3.5というものですか。それともLTE、もしくは4Gも含めて、設置するのかということです。

孫正義:両方です。

質問者7:両方ですか。それはバランスはどれくらい。

孫正義:まだもう少しわかりません。いま鋭意設計中です。

質問者7:そうですか。来年以降というのもまだこれから計画するという。

孫正義:そうですね。ただ、16万局の中で、旧来のPHSを残しておかなきゃいけない基地局もありますし、ダブルで載せられるところもありますし、鋼管柱のようなものは1個しか通信機器が載らないものもありますし、そのへんのバンラスを考えながらということです。

それから、さきほどのSIMロックの件ですけども、我々は積極的に検討を行いますけども、その積極的な検討を行っていく前提として、いま、800MHzをドコモさん、AUさんを持っていますけど我々はもっていない、というひとつ許認可の通信の電波、まだイコールフッティングになっていない問題がひとつあります。
もうひとつは、AUさんはW-CDMAでないと。我々とドコモさんはW-CDMAですけど、AUさんはそうじゃない。
したがって、SIMロックフリーにしても、実はお客様として乗り換えがきくのは、ドコモとソフトバンクの間しか、現在では乗り換えがきかない。
LTEを載せても、過去のものにバックヤードコンパチやらないと、いきなりネットワークがLTEでフルカバーができませんので、当面の間は、一台の端末でLTEと過去のW-CDMA、あるいは過去のAUさんの現在の通信方式をデュアルで載せなくてはいけない、ダブルでですね。
そうすると、我々は、逆に、現在のAUさんとも横で移動できるようにするには、3つの通信方式を1台の端末に入れなくてはいけない。そうすると、端末がまたガマガエルのようにでかくなると。
電池も食う。重たくなる。コストが上がる。
ですから、仮に総務省が強制的に全機種にSIMロックフリーで、横の乗り換えで自由にしなさい、と強制するとすれば、すべての端末がコストが上がる、大きくなる、ガマガエルのようにですね。
そして、電池がくって一日持たなくなる、というケースが続出するようになる。
さらに現在の絵文字とかが入ったような、デコレーションメールですね。これが3社ともメールの通信方式が違いますので、メールのコンパチビリティーがなくなって、いままでのメールが使えなくなる。
ショートメールだけが3社で共通して使えると、いう風になると。
こういう問題点も実はたくさんあるわけですね。

ですから、いきなり全機種でやるというのは、イコールフッティングになっていない状況の中では、いろんな無理があると。
欧米のように、2Gの世界が中心で、なおかつ、端末がすでに非常に安くなって、単純なもので、通信方式は周波数も含めて、横串で統一されてて、メールも日本のようなデコレーションメールではなくて、ショートメールばっかりで、ほとんど行われている、という状況だとSIMの入れ替えだけで通信キャリアを入れ替えることがやりやすいと。
こういうような状況がありますので、よく深く技術を分かって、強制されると何が起きる、どういう問題があるのか、ということを十分に検討されて、政策を打ち出さないと、結果的には、8割の消費者は困ることになる、ということをぜひあわせてご理解いただきたい。

2割ぐらいのお客様は、高くてもいいから、自由なほうがいいと。あるいはメールが従来のメールが使えなくなっても、自由な方がいい。
あるいは端末がガマガエルになっても、自由な方がいいと。電池が持たなくてもいいという人が2割くらいはいるかもしれないので、絶対に強制だけはまずいですよ、と。
是々非々で徐々に徐々にネットワークの方式が、LTEに全部統一されて、全部インフラが共通化されて、電波の周波数もお互いに、乗り換えが世界標準のものできくようになってという環境が整ってから、徐々にそういう風になっていくということなら、我々も積極的に受け入れたいと、いうことですね。

消費者のお客様のニーズには積極的にお答えしていきたい。無理強いだけはまずいですよ、というのがやっと総務省のみなさんにも伝わって、結果的には強制はしないということになったんだろうという風に解釈しています。

よろしいですか。

質問者8:野村證券のオオモトと申します。
基本的にCAPEXに関する質問ですが、J-WBSの関係で御社のモバイル部分のキャッシュフローが他のところに使えないという制約があるかと思うんですが、基本的にいまのお話を伺っていると、大きな設備投資は今後はモバイル中心だという風に思われるんですが、孫さんとして、自由にモバイルのキャッシュフローを使いにく状況に対して、不自由を感じたことってございますか?
もうひとつそれに、付随した質問ということでお伺いしたいんですけど、4000億円の使い道として、モバイル以外と、モバイルでざっくり切り分けるとどれくらいの切り分けになるのか、というところ。
最後に、基本的にはこちらにつながる質問ですが、ベンダーの方々は、例えば、いまのJ-WBSのすべてのファイナンスを早期にリファイナンスするということに、きっとご関心をもっておられて、御社としても、それに関して何らかの検討を加えられていると思われるんですが、それについてコメントをあわせてお願いします。

孫正義:はい。現在、潤沢なフリーキャッシュフローがモバイルからではじめているというのは事実です。ただ、他の部門もフリーキャッシュフローが着実に積み上がってきて、ということもあります。
モバイルのほうのフリーキャッシュフローを他の部門にも使いたい、というのはいずれそうなると思います。ただ、タイミングではいますぐではないと。
もうじき、モバイルの方の、有利子負債がかなり減ってきますので、かなり減ってきた段階で、リファイナンスというのを考えるということは十分にあると思います。
ただ、我々のコミットメントは、連結の純有利子負債の半減、あるいはゼロということですから、グループをあわせて、一番効率のよい、キャッシュの使い方はどうあるのか、というのは常に当初より検討している。ただ、タイミングという問題があるということです。

ちなみにCAPEXの中の4000億のうち約7割前後が、モバイルじゃないかと。8割くらいいく?

(資料を確認)

あまり具体的な数字は言うなと。ということですが、まあ、7~8割はモバイルだと。少なくとも大半がモバイルですね。
ただ、今回はさきほどチャートで説明を申し上げました通り、バックボーンの側もフルIPにすることによって、バックボーンの側コストが40分の1に下がるんですね。
データのトラフィック量が膨大に増えていく時に、この完全IP網のバックボーンにするということが、これからのトータルの運用費用、運営費用を下げるということにも繋がることになりますし、CAPEXを下げるということにも繋がりますので、モバイルのためにも、我々の固定通信の側、つまりテレコムとBBのCAPEXを増やす。
で、ということは、あわせてございます。だけどこれは、お互いが相乗効果としてシナジーを生んでいくということでございます。

質問者8:ありがとうございます。ひとつだけ追加で質問したいんですけども、さきほど別の方からの質問にもあったのですが、4000億をピークにそれ以上本当に増えないのかどうかという考え方を、自分なりに咀嚼したいと思っていまして、教えていただきたいのですが、今後トラフィックが40倍に増えると、それはひとつの考え方でそうなのかもしれないのですが、その根拠といいますか。その40倍という数字がどういう風なロジックに基づいて作られた数字なのか、それによって、本当に4000億で足りるのか、というところを少し詳しめに教えていただければと思います。

孫正義:まあ、40倍というのは我々が出した数字ではなくて、世界のデータトラフィックが40倍くらいになるであろうといトレンドをですね、出所はどこのデータだったけ?
我々が参照した第三者の機関からのデータが出所になっておりますけども、まあ、私もそういう方向になるという風に感じている。
将来、3年後、5年後、10年後がどれくらいになるかというのは、正解は本当はだれにも分からないんですね。ただ、どう読むかということであって、我々は40倍近くになると読んでいる。
それは、携帯の端末もどんどんコンテンツが増えてくるし、従来の端末もですね。また、スマートフォン化していく。あるいはiPhoneを大きくしたような端末が、アンドロイドでも、あるいはアップルからのiPadでも続々と出てくるわけで、トレンドとして、モバイルインターネットが、携帯電話型のものから、もう少し大きなストレート型のものまでどんどん加わってくるので、トラフィックは急激に増えていくと、いうことを感じております。
ですから、30倍か40倍かは分かりませんが、少なくとも、そういう風になっていくと。

これは、シスコのビジュアルネットワーキングインデックス、全世界のモバイルデータトラフィックの予測ということで、シスコが出したものですね。
彼らは世界中のネットワーク機器の圧倒的最大の供給者ですから、当然のことながら、こういう計算を常に行っていると、いうことだと思います。
私もシスコジャパンをジョイントベンチャーを作ったくらいですから、彼らのことをよくわかっております、彼らが中立的な立場で、出した予測値ということでございます。
そのような形でトラフィックが増えたときに、我々は完全IP網にすることによって、しかもマクロセルに頼るのではなくて、マイクロセル、フェムトセル、Wi-Fi化というのを推し進めることによって、4000億くらいのところをピークにして、3000億、2000億と下がっていくと、下げられると思っているということです。
よろしいでしょうか。

孫正義:実はトラフィックコストとしては、音声のトラフィックコストが一番高かったんですね。
データの方は、IP化することによってかなり効率が良くなったということです。

質問者9:クレディ・スイス、ハイカです。
ひとつだけ教えていただきたいのですが、家で、スマートフォンを使うときのデータトラフィックの受けとしては、フェムトというようなお考えなのか、このフェムトを広げていくという考えていく中で、それとも、Wi-Fiルーターのようなものも一定量でてくるのか、それから、このフェムトを入れていく時のおしりの回線としては、ADSLを想定していると思うんですが、このフェムトが、ソフトバンクさんいま2000万、3000万という会員数の中で、数百万世帯にたとえば行き渡ったとして、おしりの回線がADSLだということが、数年後のデータトラフィックの伸びを想定したときに、これは光に置き換えなきゃおしりもまずいね、という話にならないのかどうか、という点について、いまどのようにお考えか教えていただければと思います。お願いします。

孫正義:家庭とか事業所の方は、少なくともフェムト、あるいは、同じフェムトでもIPフェムトであるということが鍵なんですけども、IPフェムトあるいは、Wi-Fiという場合においては、事実上のネットワークコストがゼロになると。
我々は特に、自らADSLのバックボーンのネットワークを持ってるので、完全IP化しているので。しかもそちらに対するCAPEXはもうほとんど終わっているということで、トラフィックコストが限りなくゼロに近づいていく、ということですね。
ですから、ネットワークのトラフィックが増えても、それを吸収できる構えができたと、ということですね。

じゃあ、ADSLで十分なのか、ということでいえば、ADSLで少なくともモバイルインターネットの受け皿としては、ADSLで当面十分だろう。ただ、たとえば、大型テレビでビデオ・オン・デマンド、フルのハイビジョンのビデオ・オン・デマンド、あるいは3Dのアバターのようなものを大画面で観たいというニーズは絶対に家庭にもあるわけですね。
そういうものをやるには、光ファイバーが、いまから5年後、10年後、20年後で考えると、日本のインフラのために必要だ。
僕は光ファイバーを日本中にひいて、メタル線は引き剥がすと、いうことをすることが日本国民のためだ、ということを申し上げているだけで、モバイルインターネットをやるという用途においては、10年、20年ぐらいは、かなりADSLでもやれる範囲であろうと思うし、逆にフェムトやWi-Fiができてないような場合には、単純なマクロの無線のネットワークということでやろうとすると、大変なトラフィック量になると、いうことだと思います。

質問者10:Impress Watchのオオタと申します。
周波数の800MHzについてちょっとお伺いしたいんですけど、4、5年前にも意見広告なんかもされて、800MHzの優位性ですとか、今日の4倍といような話もあって、気に入られている周波数帯だと思うんですけど、一方で、北米の事情とか、iPhoneが例えば800MHzに対応した状態で入ってくるのかどうかとか、そういう世界レベルでハードを見た場合に、どの周波数を使っているのか、使えるのかということって、いま以上に北米や欧州と連携できるのが理想なんでしょうけど、そういう可能性がでてくるんでしょうけど、周波数のオークションとかの話も出ていますけれども、御社として、周波数全体に対して、ハードウェアの施策も今後は絡んでくるとは思うんですけど、スケールメリットをいかすためには、全世界共通のしなければいけない側面もでてきそうなんですけど、そういった点に関して、なにか考えられおられるのか、ありますでしょうか。

孫正義:いま、700、900MHzの電波帯域を、これから配布していくと。許認可をですね。というのがいまから議論が始まって、今年中に、だいたいの方針が決まって、来年にはだいたい決まっていくということになるわけですけど。

どの周波数をどの会社に渡すかという前に、どの周波数帯を何の利用目的に使うかという割り振りをいま総務省の方から行おうとしております。先日、原口大臣のほうからも、この周波数帯が世界標準から外れるような方向になってしまったのでは、日本がまた周波数帯でガラパゴスになってしまう危険性がある、と公式に発言しておられます。
ぜひですね、総務省の皆さんには、新たな700、900MHzの周波数帯が世界標準の割り当てからずれないように、きちっと配慮して、割り当てを行っていただきたい。
どの会社に渡すという前に、そもそもがずれたものの用途に使われてしまうと、とんでもないことになってしまうと。
日本だけがLTEの時代が来ても、日本だけが例えばiPhoneだとかiPadだとか、あるいはアンドロイドの電話が世界標準の通信機器が、日本だけLTEで繋がらない。いうことになってしまう。
これは日本の先進的なユーザー、スマートフォンのユーザーにとって大変な被害になるということで、いま日本独自の周波数の割り当てで、たとえば、MCA無線とか色々ありますけど、世界中のなかで、日本だけなんですね。タクシー無線に一番大切な世界中で使っている800MHzのところにタクシー無線がぼーんと割り込んで、そこに元総務省の高官の人たちが理事にトップ3人が居座っているというのは日本だけなんですね。
こういう特殊な事情を許してはいけない。
なぜ天下りの人がタクシー無線のところに、上から3人理事に座っているんだ。しかもそれが世界標準の一番大事な周波数帯に天下りでいて、ほんの25万人しか使っていないと。タクシー無線とか、トラック無線ですから。これはまずいと。本来何千万人の国民が、iPhoneだとかその他、アンドロイドフォンだとか、あるいは一般の携帯電話として、さきほどのように40倍とか1600倍とかデータトラフィックが伸びていくわけですね。
そこに25万台のタクシー無線とトラック無線が居座っている。
あまりにも電波の非効率的な使い方だと。
こういうことを絶対に許してはならないということを、大臣がすでに発言されておられますので、電波の再編については、ぜひそういうことを配慮して、密室による特定の小数の委員の皆さんが決めるなんてことに、絶対にならないようにして欲しいということであります。

よろしいでしょうか。

質問者11:フリーのハシモトです。
さっきのウィルコムを2社に分割して、1社の方はPHSを継続するというお話ですけども、PHSは24時間定額で、ウィルコム同士で通話無料というのと、ホワイトプランのサービスと競合する部分があると思うんですが、そのあたりってのは今後ソフトバンクとやはり競合関係が続くんでしょうか。
そのあたりについてはシナジーというか関係などについて教えてください。

孫正義:PHSをやってる旧ウィルコムの方の会社は、アドバンテッジパートナーズという投資ファンドが今回100%株主になることに方向性としてなっておりますので、そこと我々が業務提携についてですね、これからいろんな話し合いを行っていくと、その話し合いの内容次第ではシナジーを出せるところもでてくるかもしれないと、それはこれからの話し合い次第というところですね。

質問者11:じゃあ具体的なことは今後決まっていくと。

孫正義:はい。少なくともコストダウンについては我々も大いにご協力申し上げるということは決まっております。コストダウンですね。

だいぶ時間になりましたけど、じゃあはい。

質問者12:フリーのイシカワと申します。
今日ネットワークの強化が発表されて、非常に頼もしいなあと思ったんですけども、現状、PC向けの定額というのはイー・モバイルの回線をつかっているかと思うんですが、あれは今後ソフトバンクの回線として提供する可能性があるのか、というのが1点と、あと、夏にiPhoneのOSがバージョンアップすることによって、マルチタスクが可能になると思うんですが、そうなるとかなりスカイプの使い勝手があがるのかなと思ってるんですが、3G回線でもスカイプを認める可能性はあるのかといった、その2点をお願いしたいんですけども。

孫正義:イー・モバイルさんとの提携について、我々がこれから周波数、たとえば1.5GHzだとか、あるいは次世代のPHSだとか、あるいは700、900のところだとか、そういうものをいろいろ使っていく中で、タイミング的な間の部分、そのときはイー・モバイルさんはまだネットワークはパンパンにはなってない、むしろ飛行機で言えば空席のまま飛んでるという状態のときに、空席を埋めたいというニーズがある。
そこに我々が空席を埋めるという形でMVNOでお互いのWIN-WINをはかっておる。

でもイー・モバイルさんもだんだんとお客さんも増えて空席が減ってくる。そのタイミングで我々も新しいネットワークが出来上がってくる。
我々は自らのネットワークのほうにより重点的にお客さんを着席してもらうということも出てくると思います。
ただそういうネットワークのトラフィックは先ほどのように40倍伸びるのか10倍伸びるのかわからない。やってみるまでわからないというところでもありますので、お互いに無駄な、過剰なCAPEXを使って余剰を作り続けるということは危険ですから、効率が悪いので、ネットワークの設備のお互いにはざまというのが絶対あると思うんですね。
かたっぽうは夜たくさん埋まってる。かたっぽうはあまり埋まってない。
あるいは我々が先ほどのようにカバーエリアを広げようとしてますので、我々が広げたエリアにイー・モバイルさんがたとえばエリアを活用したい。ということでローミングだとか、あるいはMVNO、我々から受け返すというケースも出てくるかもしれない。
ですから我々はお互いにWIN-WINのビジネス状況があれば、競争してるけれども助け合えるところもいっぱいあるんじゃないか。
そういう関係はこれからも大切にしていきたい。

次にスカイプの件ですけれども、欧米でスカイプを使う場合データプランのちょっと高いデータプランに入ったら、データARPUで十分にARPUが増えるのでその場合にはボイスをスカイプで使っていいですよ、と。
そういう事例も今出始めています。

ですからそれはテクノロジーの進化と、スカイプ自身のテクノロジーの進化、今のボイスクォリティだとまだ時々ノイズが入る、接続の状況が良くなかったりしますので、そういう技術の動向も見る必要があると思いますし、あとビジネスモデルにおいて、たとえば我々のデータプランにおいて、Aというデータプランに入ればスカイプは使ってもいいです、そういうビジネスモデルのミックスはいろいろあると思うんですね。

ちなみに我々はBBフォンということで、ヤフーBBに無償でBBフォンをバンドルしました。BBフォン同士は無料通話ができる。という形にしました。
まさにスカイプモデルですね。
スカイプモデルを、スカイプよりも先に、世界で一番たくさんやったのがソフトバンクです。
スカイプモデルを、ヤフーBBの100%のお客さんにボイスを置き換えて、ヤフーBBのお客さんは100%、NTTのボイスを使ってないんです。
ヤフーBBのお客さんは100%同じメタル回線を使っているにもかかわらず、NTTのボイスサービス、通話サービスはゼロになっている。
ソフトバンクのヤフーBBによるボイスサービス100%切り替わってる。
そこは、我々のお客さん同士は完全無料にした。
我々の網から外に相互接続するときも安くしました。
まさにスカイプモデルですね。

スカイプの創業者の経営陣と僕自身も何回も会ったことありますが、彼らはソフトバンクのヤフーBBの、BBフォンのビジネスモデルを大変参考して大変尊敬している、と言われたことも何度かあります。
ですから我々はオール・オア・ナッシングではなくて、まさにビジネスモデル次第であり、テクノロジー次第であり、タイミング次第であり、ということだと思います。
オール・オア・ナッシングではない、ということですね。

もう、時間になりましたけども、最後に。
こちらで最後にしたいと思います。

質問者13:TBSのカンノと申します。
NTTの分割の問題に関して、NTTさんとか電力会社系通信会社さんと意見が対立していると思うんですけど、改めて孫さんの意見をお聞かせください。
具体的にはインフラ整備に競争がなくなるとサービスが向上しないとか、コスト競争の努力がなくなるとか、逆にマイナスになってしまうとか。
本当に全国に光が必要なのか、それからNTTで先行投資した回線をそのままxxだけじゃないか、
そういう意見も出ていますが、孫さんの意見を改めて聞かせてください。

孫正義:はい。この問題はまず最初に、国民にとって何がベターかという大きな枠で考えていただきたい。光が必要でないという人にまで光に変える必要があるのかといういまのご質問ですけども、メタルを100%引き剥がしてゼロにして、100%光に置き換えたときに、メタルの費用、エンドユーザーに対する費用、1400円のままで光が提供できる。
そうすると光が必要ないんではなくて、光にしてもメタルのまま、消費者にとって費用が同じ、1400円のままでできる。従来使っている黒い電話、固定電話がそのまま使える。アダプターをつけることによってですね。
そのアダプターを取り付けるコストと、光を100%引くコスト、約2.5兆円ですけども、2.5兆円と、光に100%切り替わったあとに光の保全費を足して、計算しても、現在のメタルと光と二重構造になってる状況よりも年間約3000億円コストダウンできる。NTTさんのですね。
そうするとNTTさんは3000億円増益になられる。

消費者から見ると、同じ1400円で光に100%切り替える、従来の固定電話だけしか使わないという人はそのままの1400円の回線使用量だけで済む。
あとその上のサービスは従来どおりの電話代
1円も値上げにならないのであれば、ひとりも困る消費者はいない。
逆に90%ぐらいのところをカバーできた、最後の10%のカバー率を上げるというのは、実はコストと、採算と、考えると、おそらく相当長い期間採算があわない。二重構造になったままで行けば。
ですから結局最後の10%のエリアというのは、そこに住んでいる子供たち、そこに住んでいる大人でも、そこにも立派に光ファイバーを使った最先端の情報サービスを受けたいという人はたくさんいるわけです。
その人たちが取り残される、デジタルデバイド、という状況がそこにたまたま産まれた子供であるがゆえに高度な電子教科書が使えない、電子カルテが使えない、ということで本当にそこの人たちを切り捨てていいのか。
都心に住んでいる90%のエリアの人たちは救済される。
でも21世紀から10%の人口の人たち、でも面積的にいえば過疎地に住んでいる人たち、そこに産まれた子供たちは、一生そこに住んでいる限りは21世紀のサービスを得られない。そういうことで本当にいいのか?

先ほどから説明したように、モバイルのインターネットの無線のインターネットで十分じゃないかと言う人がいますけども、それはとんでもない間違いで、LTEになって、元線は光ファイバー並の100Mbpsになっても、それを500人で分け合うわけです。
そうすると一人当たりの実効速度はやっぱり遅いんです。
しかも無線の電波というのは揺らぎがあって、いつもビンビンにつながるというわけじゃないんです。
ですからやはり大型テレビにつないで、高度な動画を見たいとか、電子教科書、電子カルテで、NHKのハイビジョンの動画を電子教科書で子供たちがクジラの状況だとか歴史だとか、ハイビジョンのクォリティで、電子教科書で自由自在に見たい。というときに出来ない。

ちなみに私の提案は、その電子教科書は、1800万人の学生にすべて無料で配布する。電子カルテもすべて無料で、25万人の医師に配る。
プラスそれ以外の介護士にも、無償で配る。
それでも現在かかっている30数兆円の医療費が3割くらい削減できる。
年間10兆円が削減できる。
ということを考えると、無償で配ってもおつりが来る。

ということでやるべきだと思うし、電子教科書だとか電子カルテは無償で通信にもつながるというふうにすべきだ。
光ファイバー用のアダプターが家の壁につながってて、そのアダプターにはWi-Fiのチップが内蔵されてて、そのWi-Fiのチップと電子教科書および電子カルテ、そういう公的な社会インフラサービスとして提供すべきものは、無償でつながる。

レジャー、エンタテインメントだとか、仕事だとか、その他一般的な業務に使うのは当然有償のブロードバンドサービス。
社会の安心、安全、教育のためのものであれば、21世紀型の情報通信端末が全ての日本国民に無償で使える権利というものが提供されるというのが、私に言わせれば、情報アクセス権。
一人の国民も取り残しをしない、切捨てをしない、こういう方針を政府として打ち出すべきだ。
NTTの筆頭株主である国家がそのように腹をくくるべきだ。

こういうふうに国民にとっての立場で考えるというのが、NTTの筆頭株主である国家が考えるべきことで、NTTの株主から見ても、3000億円近い増益になると考えること、議論するすることを排除すべきではない。
もちろん本当に3000億円のコストダウン、メタルと光の二重ネットワーク構造がなくなれば、本当に年間3000億のコストダウンが図れるのか? そして本当に2.5兆円のCAPEXで、メタルの保全費より安い費用で光が引けるのかということの検証、我々なりの検証結果がありますが、それを叩き台として、本当にその費用でできるのかということについて十分にお互いチェックしあうというプロセスはあってもいい。

質問者13:インフラ設備に競争がなくなることによる弊害についてどうですか。

孫正義:物理線は競争でやる必要性はまったくない。物理線である、電力のためである物理線が、この50年間で一度でもバージョンアップがありましたか?
基本的に電力線のための物理線は50年間おんなじ電力線ですよ。
電話線のメタル回線も50年間ずっと同じメタル線なんです。
進化があったのはその物理線の両端にあるハイテク機器なんです。
ですから光ファイバーという物理線に進化はあまりない。
メタル線に進化があまりないのと同じで、銅に進化はないんです。2000年前も銅は銅なんです。2000年前もガラスはガラスなんです。

ですから物理線であるガラス繊維というものはほとんど進化はないんです。そのまわりの樹脂、カバーの樹脂、これは若干あります。
でもほとんど関係ない。
進化があるのはその両端の通信機器なんです。両端にあるIPの通信機器です。これは競争してやりましょう。そこは各通信事業者が設備競争をやりましょう。
それを設備競争という言葉の真意をミックスして物理線のところと両端のハイテク機器の設備競争をミックスして議論しないでほしい。

質問者13:ごめんなさい、勉強不足で。ADSLから光に変わっていくじゃないですか。一気にがーっと広まるようなことが気がしてるんですけど。そのような技術革新がどんどん起こっていく…

孫正義:光ファイバーのためのガラス繊維というのは、ガラス繊維のままで、その基本的機能の進化というのはほとんどないですよ。
もしガラス繊維がもうちょっと細くなるとか、コストダウンがあるとか、その程度です。
それによる機能のバージョンアップというのはほとんどない。
その両端につける通信機器で100Mbpsが1Gbpsになったり、10Gbpsになったり、そういう進化はすべて両端のハイテク機器です。そのハイテク機器の進化は、NTT東西もKDDIもソフトバンクもイーアクセスも、いろんな会社が、将来グーグルですら、楽天ですら、みんな両端の機器競争が行える。
それがハイテク競争です。

ローテクのところの物理線は50年間、メタル線はメタル線のままだ。
そういう物理線は100年に1回くらいですよ。基本的なバージョンアップがあるのは。
それをパラダイムシフトというんです。

100年前、グラハム・ベルが作ったときから、電話のメタル線は一度も変わっていないんです。基本機能は。
銅線のままです。1800年代に作られたときから、そのままです。

よろしいでしょうか。
ありがとうございました。

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