【書き起こし】大前研一、戦略的自由度を解説~大前研一イノベーション講座~

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戦略的自由度 大前研一【イノベーション講座】の書き起こしです。

戦略的自由度を使ってアイデアを出す話する大前研一
2009年8月16日 大前研一ライブ放送

 

聞き間違い、わからなかったところ等ありますがご容赦ください。

あの戦略的自由度というね、SDF(strategic degrees of freedom)という考え方、イノベーションのコース(注;大前氏が主宰するビジネススクールの講座)なんかでは教えているんですけども、実は、大前流戦略的自由度を使って、無から有を生む方法というのをね、最近いくつか書き始めましたので、実は日本というのは、いわゆる霞ヶ関の埋蔵金ではなくて、まだまだね、無から有を生む方法があるんですよ。

だからこれを駆使したらいいということでね、今度民主党の政権が落ち着いたらね、私は少しこれをレクチャーしてあげようと思っているんですけども、ま、今、その試しにいくつかのもの(注;SAPIO等)でもって書いているんですけども、どういう発想をするのかというと、つまり日本の一番の富の源泉ってなんなのかな、と思うじゃないですか。
非常に簡単なんですね。役所の規制なんです。

だから小泉さんは規制緩和ということを言ったけど、富の創出というものをやらなかったじゃない?
例えばね、この辺り見てもいいんですけども、役所ってのが、勝手にここのところを容積率400と言っているじゃない。容積率が800なったり、1200になったら、それだけでもって価値出るじゃない。

(キャスター:たしかに)

ね、東京全体から見たら200使ってないんだよね。

(キャスター:そうですね)

だからそれをもっとその大きな区画で土地・道路とかそういうのを整理して、大区画でね。
まぁ、私は一辺が500m以上の再開発に合意した住民のいるところに関しては、その容積率については役人が恣意的に決めないで、物理的に、その地震とかそういう安全上認められる容積率というものを認可する。こういう風にしていしまうとね、富って3倍以上になるんです。
で、この新たに生まれた富というのは、民間のお金が入ってくるでしょ?だからこれでいくらでも景気がよくなるわけ。

例えばですよ、市街化調整区域ってあるじゃない、こんなバカなものやめてしまえばいいんだよね。市街化調整区域というのは要するに役人が“ハイこれは市街化調整区域”と、こうやっているだけなんだけどね。もう、そこのところを非常に大きな計画の中で“将来こういうゾーンになりますよ”、ということで大きなプランの中でやってったときには、その農地からその新たな商業地とか宅地ということでもって、富が創出されますよね?
その富の3分の1くらいを公共部門がもらって、そしてインフラをつくってあげる、と。その上の3分の2はね、新たに入ってくる人たちが使うと、こういう風にすれば外部経済、しかも民間の持ってるお金が入ってくるじゃない。

税金使う必要まったく無い。

(キャスター:そうですね)

例えば、湾岸100万人都市構想というのを私は言っていますけども、あんなものね、工業化社会の名残りでね、倉庫とか工場がいっぱいあるけど、いまは全く使っていない。
これをですね商業地とか住宅地にするといって、役人がこうやって勝手にここを決めていたものを、工業化社会が終わったのだから、新たにこういうことでもって住宅地にしましょう、という風にやっただけで価値というものは何倍にもなるんですね。

その何倍にもなった価値のうち3分の1はその公的部門がもらってインフラを創ってしまうと。安全なインフラを創る。その上にね、外部の人たちが入り込んでくるじゃないですか。そういう風にすることによってね、無から有を生むと。で、そのお金は全部税金ではなくて。

つまり自民党がやった過ちの最大のものというのは、“緊急経済対策”で、田舎で用地買収の楽なところで道路を作ったり橋を作ったりしていたわけ。
実際はね、ニーズがないわけ。ニーズがあるのは大都市だけなんです。だから大都市でそういうことをやるためには、役所の勝手に、これはこれ、ここはこう、これはこう、ここは何%、という役所のほうの勝手な規制ですね、これを取っ払ってしまって、自治体がみんなが決める。

自治体が決める。こういう風にしてですね、基本的には基礎自治体と、民主党が呼んでいるよなものがこれを決めてよろしい、と。
ただし、安全は要するに学問的に立証された安全というものを使わなければいけない、こういうことですよね。

こういうやつを、学問的に証明された安全というものそのものでやっていきますよ、と、こういう風にするだけでね、富というのは少なくとも東京の場合には3倍じゃ利かないですよ。
で、このようなことをすることによって、つまり、そういうことをやろうと思うと道路も広くないといけないしということになりますから、そういう都市再生を使ってね。住民の51%以上が合意しているところ、どうぞやってください、優先的にやっていくとね、20年、30年は大建設ブームになります。

だから東京にルイ14世がきたような、パリの開発をやってくれたような感じになるということですね。

このようなことでね、その新たに生まれた富の3分の1は公的部門が取って、こういう借金を返すということはかまわない、と私は思いますけどね。ま、いずれにしてもこのような新たな富の創出。

今まで誰もそんなこと言ってないし、考えたことも無いでしょう? 戦略的自由度を使うといくらでも出ちゃうんだよね、いくらでも。
だから税金を使わないで、都市部のお金があってニーズがあって、人が居るところ、ここでの再開発というものがね、要するに、大経済ブームというものになるんだと、この信念を民主党には持ってもらおうと、こう思うんですよ。

(キャスター:大前さん自信がもう一度立ち上がるというのはどうですか?)

いいですね(笑)もう私はもう成仏していますんでね。あの世から皆さんが成功するのを見守っておりますけどね。
あの、そういう風に思う、本当はね、僕が半年やったらね、がらっと変わっちゃうんだよね。だからね、あのー、時々そういう風に言われるとね。5日に1回くらいはね、“そうだよな、僕がやっちゃったが早いよな”、と思うときもあるけども、しかし私は教育者ですから私が教育をした人がやってくれるというのが正しいやりかたと、自分が手を出しちゃいけない、と、こういうことですね。

もう本当にね、時々イライラしますけどね。私も政策集団で“平成維新の会”というのをやっていたのに、何を思ったか自分でやろうと思ってね、やりはじめたわけですよ。それで苦い経験をして反省これしきりで、それで足を洗っちゃったわけですから。

もう私は成仏した人間ですからね、この世界では。だからね、やらないの。だからいつもね、こいつに言ってやろうかな、こいつ教育してやろうかなと思うし、それから死んだ後もね、ずっと記録と残るように書けるだけ書いて、なるべく具体的に書けるだけ書いておくという、これが私のポリシーなんですね。
そういう人たちを通じてね、やっていくしかないし、私はなるべくわかりやすくものに書いていくんでね。これでやってもらうしかしょうがない、とこう思いますけどね。

書き起こし by usshy

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