【全文書き起こし】バイアウトからの逆算、誰があなたの会社を買うか?②

この記事は、
【全文書き起こし】バイアウトからの逆算、誰があなたの会社を買うか?①
の続きです。

【本イベントのスライド資料が公開されています。こちらから併せてご覧ください】

合田氏:
次、最初にスタートアップの定義だけしちゃいたいのですが、調達型スタートアップ、ほとんどの人が調達をされる、あるいは自分のお金でやろうって人が多いんですかね?調達をしようとされてる方、あるいはされてる方ってどれくらいいらっしゃいますか?これからされようとする方は?

(会場挙手)

なるほど。じゃあ比較的調達する人は少なめだと思ってお話ししますが、多分スタートアップで結局継続的に成長するっていうのはどうしても求められると思うんですけれども。調達するっていうことは考え方として、個人事業みたいなファミリービジネスをやろうが調達した瞬間に、少なくとも投資家に対して銀行で借りる利率以上にはして返さないとあんまり意味がないですよね。何が言いたいかっていうと、調達した瞬間にファミリービジネスではなくて、スケールさせる必要があるということです。これはいいですよね。調達をしたら投資家に対してもっと沢山のリターンで返さないといけないので、その瞬間にファミリービジネスからスケール型という形に変わると。

ここら辺はもうそのままいっちゃいますけれども、だいたい自分が調達した額よりも、これはあくまで僕の独断と偏見が入ってますけれども、5~20倍くらいで売却あるいはIPOしないとダメですよね。だから1億調達したら5億から20億くらい。これぐらい必要ですよね。そうすると5億から20億くらいで売却しようと思ったら、そもそもの市場規模が100~500億…かなり乱暴な計算なんですけれど、これくらいない市場につっこんでもバイアウト出来ないですよね。IPOも一緒ですけど。ここの部分が結構弱いと思うんです。そもそも市場規模があまり大きくないところに突っ込んで、調達を受けても結果的に投資家たちに返せないので、市場が十分大きいことは最初に見ておく必要があるのかなと思います。

あと、市場が大きいって言っても、既に顕在化した市場が大きいわけではなくて、伸びてなかったら意味がないですよね。伸びてなかったら、すでに大企業がガンガンと大企業が寡占してますので。それがそもそもエマージングなのか。なので、イメージとして自分たちの調達額が1億だとしたら、10億から20億くらいで売却するとすれば、その時の市場規模はだいたい100億から150億くらい、500億くらいですかね。それくらいあることが前提だと。それが今あるのではなくて、これから3年から10年、3年から5年、例えばそれくらいのスパンで立ち上がってくるのが重要ですね、もう1回いうと、今100億から500億くらいなくてもいいんですが、だいたいイメージとして3年から5年、東南アジアならもっと長くてもいいんですけれども、それくらい先に少なくともこれぐらいの市場規模になるところではないと、少なくとも10億とか20億とかで売却にはならないと。要するにそれくらい膨らむだけのエマージングな市場に突っ込んでるかってことです。この後ちょっとだけ言いますけれど、これも勘違いされてない方も多いと思うんですが、市場と業界を結構勘違いされている方がいらっしゃるので、これも後で少し補足だけしておきたいと思います。

簡単な例なんですが、世界の水ビジネスとかいう話でちょっと遠い話ではあるんですが合計で86.5兆円ありますと。こりゃすげえというわけではなくて、86.5兆円ってのはあくまで世界全体なので、この中で例えばここの部分だけだったらいきなり19兆円に下がるんですね。その中で仮に日本だけであったらさらに下がって、その中で上下水の関われる分が更に下がって、かつ競合もいるので。実際に自分たちが関われるってところは86.5兆円ではなくて、実際には数億円くらいにまで下がると思うんです。元に戻ると、自分たちが関われる市場がこれだけあるっていうことだけはお伝えしたくてしつこくお伝えしました。なので、よくあるのは例えばソーシャルの広告はこれから100億になる、すごいって言ってるけど。でも自分たちが関わるのはその中のどれだけなのか、そこがしっかりとした規模がないと非常に厳しいという形になるかと思います。

それで、さっき言いましたけれど、調達をした以上、ファミリービジネスは自営業型からスケール型に変わっていくんですが、結局大きな問題に目を向けないとさっきの100とか500、もうちょっと低い値でもいいと思うんですが、なかなかそれだけの市場規模が無いので出来るだけ大きな問題に目をあててるってことが重要だと思います。

調達した以上はもう3つしか無くて、これはこの前SVSにも来てました曽我さんが言ってた通り、イグジットはもうバイアウトかIPOか廃業しかないと。調達した以上はこの3つのどれかをやらざるを得ないということですよね。曽我さんって知ってますか?すごい人ですよね。56歳で早期定年してシリコンバレーに英語出来ないのに渡って、そこから2回くらい上手に会社売ってると。なかなか強者で、今70何歳だと思うんですけれど。そうすると、僕もおっさんなんですけど、まだまだだなと思っちゃいますよね。ほとんどの皆さんがまだこれからだという感じだと思います。

じゃあ、日本の市場に少し目を向けてみたいと思います。
すみません、最初にマクロな話をした後で個別に入りますので、マクロな話をさせて下さい。

これはNRI(野村総合研究所)が出している市場の予測を抜粋したものです。単純にもちろん将来新しいビジネスが生まれてもっと市場規模が膨らむ可能性はありますが、ブロードバンドもモバイルも、例えばネットビジネスなら非接触決済とかですね。メディア市場だったらスマートTVとかあるんですけど、それの2012年と2016年の市場規模の予測とその差額ですね。さっき100から500億って言いましたけど、それは上下するとしてだいたいそれぐらいあると思ったら全部の市場のうちの自分たちが関われる部分が仮に5分の1から3分の1だと考えて、3000億以上あるような市場であれば、多分10億とか20億っていうバイアウトの可能性が出てくるだろうということで、3000億以上の部分にだけ黄色い印をしてみました。

偶然かもしれませんけど、nobotの時、例えば10億とか20億でしたが、その時はスマートフォンの広告の市場規模って本当面白くて100から大体数年間で500億くらいに日本だけですけれどなりますので、だから結構計算が合ってて。大体自分たちの売却の10倍くらいバックエンドの市場がなきゃいけないと。そのバックエンドの市場ってのはスマートフォンの広告の中でもバナー広告だけです。実際にはスマートフォンの広告ってリスティング広告も含めて色々あるんです。となると、全体の規模の中の自分たちの関われる部分を考えると、実際に3000億くらいあれば自分たちが関われるのはもしかしたら100から500くらいあるかもしれないぞ、で3000億と。そうすると、これはあくまで1つの例ですけれど、黄色い部分でしか、悪い言い方をするとポテンシャルが無いってことになりますね。国内だけ見ていたら。どういうものかって言うと、データセンター系、サーチ系、モバイルキャリア、だからキャリアさんはこのモバイル市場スマートフォンは非常に儲かると、だからキャリアさんに対して何かビジネスをやる分には非常に良いと。

あとはECが非常に大きい規模なので、日本ってEC化率がすごく低いんですよね。例えば韓国で服関係のECって、今EC化率10パーセントぐらいあったかと思うんですけど、日本は確か1%切っていたと思うんです。なので、ECに関してはまだまだ伸びしろがあるので、それをオススメするわけではないですけど、ECに関しては十分な市場規模があるということです。あとは非接触決済、これも1兆円以上ありますので、何かしら。例えばSquareというサービスがアメリカで出てきていると思いますけれども、ああいうサービスは難しいですけれども十分な可能性があるということですね。

あともう1つ大きい、立ち上がりが急なのが、本当に立ち上がるかっていう疑問もあるもののスマートテレビ。スマートテレビに関して非常に市場の伸びしろがあって6850億、となると4・500億ぐらいの関われる市場が残っていると思います。スマートテレビに関して、みなさんの会社だと恐縮なんですが…海外の方が進んでいますよね、中国とか。日本はブロードバンド型なので遅れているので、もしスマートテレビにご興味がある方は、例えば隣の中国とかの方が進んでいるので、中国あるいはアメリカのものを日本に持ってくるというパターンでも今なら勝てるかもしれないです。
ということで、何が言いたいかというと、ECに関して日本は比較的遅れているので、まだ伸びしろがありますという話と、スマートテレビも他国に比べると遅れているので伸びしろがありますと。それ以外のソーシャルゲームとかになると、もちろん規模は大きいんですけれどもなかなか難しいかもしれません。もちろん、これは例えばDeNAさんGREEさんが頑張って市場規模を大きくするような可能性はありますが、そこはちょっと新しい市場を創るという話にならないとなかなか厳しいかもしれないと思います。

次に、大きい市場に突っ込むという話と、もう1つカントリーバリアをうまく使うという話が1つあると思います。(会場へ)ちなみにロケットインターネットってご存知ですか?聞いたことない?なるほど。

これです。ピンタレストのスーパーコピーのピンスパイアあたりをヨーロッパでガーンと素早いスピードで展開しちゃって本家に売るビジネスモデルですね。なので、これはあくまで志がうんぬんとかそういうの置いとくと、要はアメリカでドーンと立ち上がったら、アメリカって日本とかアジアにローカライズするのがすごく難しい。先月もシリコンバレー行って話をしたんですけど、Dropboxとかいろいろ日本で売れてますけど、Dropboxは勝手に売れちゃったんで、実は彼らはローカルへの展開がすごく苦手なんですね。なので、アメリカで立ち上がっちゃったものでいけそうなものを日本とかアジアに持ってきてドーンと立ちあげて本家に売るっていうのは、良いか悪いかはともかくとして、1つのビジネスモデルとして、ロケットインターネットみたいなところが頑張ってやってます。実際ピンタレストのピンスパイアは非常に似ているというか、ほぼ仕組みは一緒みたいで、ガーンと立ちあげて、グル―ポンで1回成功したモデルです。

もう1つ話をしておきますと、これはニューヨークシティーの人口と人口密度を示しています。ちょっと話が飛んで恐縮なんですが。ニューヨークのものって、例えばfoursquareとかKickstarterとか、色々芸術とか位置にまつわった非常に場所が密集してるもんですから、そういったサービスがあるんですけど、ニューヨークのサービスっていうのは、結局、比較的人口密度が高くて、人口の多い地域であればそのまま転用できるので。実は東京と結構似ているんです。なので、ニューヨークあたりでばーっと流行ったやつを持ってきてドーンと展開しちゃって、ニューヨーク系の会社にポンと売るという事業も1つの考え方です。まあこういう考え方もあります。何かもしご質問とかあれば?よろしいですか。

次、もう1つだけマクロ系な話をしたいと思います。出会い系のサービスって検討された方、……(続く)

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