【TEDTalks】Googleの自動運転車で目指していること

男の子がみんなそうであるように、私も車が好きでした。18のときに、一番の親友を自動車事故でなくしました。あっけなく。それ以来私の使命になったのは、年に百万という人を事故から救えないかということです。まだ未完成なので中間報告になりますが、自動運転車について少しお話しします。

この概念に初めて触れたのはDARPAグランドチャレンジでした。砂漠を切り抜けた自動運転車にアメリカ政府が賞金を出すことにしたのです。100以上のチームが参加したにもかかわらず、ゴールにたどり着けたチームはありませんでした。スタンフォード大では、新たに自動運転車を作ることにしました。ハードとソフトの両方を開発しました。人間から学習させ、砂漠に放ちました。そして信じがたいことを実現しました。DARPAグランドチャレンジで戻ってきた初めての車となったのです。スタンフォード大は200万ドルの賞金を手にしました。でもまだ誰の命も救ってはいません。

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それ以来、私たちは自分でどこへでも行ける自動運転車に取り組んでいます。カリフォルニアのあらゆる通りを22万キロ走ってきました。センサーを搭載していて、魔法のように周囲の状況を把握し、運転にかかわるあらゆる判断を行います。完全な運転機構を備えています。ご覧のように、サンフランシスコの街中を走っています。州道1号線をサンフランシスコからロサンゼルスへと走りました。

ジョギングする人にも出会い、混雑した高速道路や料金所を通り、人手を介さずに車が自分で運転しています。22万キロも走ったというのに、誰も気づかないのです。山道を越え、夜となく昼となく、曲がりくねったサンフランシスコのロンバード通りも意に介さず、時にはちょっとしたスタントまでやってのけます。

(試乗の映像) 「うわーっ、マジすか?」「車がやってるんだよ」

友達のハロルドの命を取り戻すことはできませんが、亡くなったみんなのためにできることがあります。車の事故が若者の死因の第1位なのはご存じですか? そのほとんどは、車の問題ではなく人間のミスによるということを? これは機械の力によって防ぎうることなのです。

人間の精度で車道を走るのをやめれば、高速道路を走る車の量を今の2倍から3倍に増やすことができます。車の位置を調整してもう少し車間を狭くしレーンの幅も狭めるなら、高速道路の渋滞はなくせます。みなさんは毎日の通勤のため、平均して52分もの時間を道路の上で無駄にしています。これは取り戻せる時間です。アメリカだけで40億時間の無駄です。91億リットルのガソリンが無駄になっています。

ここにビジョンがあり、新しいテクノロジーがあります。後の世代の人々が振り返って、車を人間が運転していたなんてまったく馬鹿げていると思うようになることを期待しています。

どうもありがとうございました。

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