【全文書き起こし】シンガポール・ベトナム進出を考えているベンチャー企業向け海外進出セミナー①

斉藤氏:みなさんこんばんは。トーマツ・ベンチャー・サポートの方から、シンガポールベンチャー進出のために、ということでお話させて頂こうと思いまして足を運ばせて頂きました。よろしくお願いします。

今シンガポール・ベトナムが非常に熱いということは、みなさんご存知かと思いますが、更にどうやって一歩を踏み出していくのか、向こうで設立をどうやってやるのかとか、あと税務的な面はどうなのかとかの実務的な面をお話ししたりだとか、あとは向こうのインキュベーションであったりとか、ベンチャーキャピタルがどんな状態なのかというのを、お話させて頂けたらなと思います。
うちの木村と斎藤の方からお話させて頂きまして、その後数人の向こうの現地の詳しい方にいくつかお話頂いて、実際もしみなさんもいろいろな情報をお持ちかと思いますので、随時発言して頂いてもよろしいですし、後でちょっとお時間頂いて、何かみんなに情報共有しておいた方が良いなとか、こういうことを知ってるんだけれど、こういう風に使えるんじゃないか、みたいな情報があれば是非是非発表して頂ければと思っておりますのでよろしくお願い致します。

では、一番最初は実務面からお話させていただこうと思います。トーマツ・ベンチャー・サポートのアドバイザリーサービス事業部の部長である木村の方からお話させて頂ければと思います。随時発言して頂ければと思いますのでよろしくお願い致します。

木村氏:
みなさんこんにちは。本日はお忙しい中お集まり頂いてありがとうございます。シンガポール・ベトナム進出セミナーということで、私達シンガポール・ベトナムにずーっと住んでガリガリと進出支援をやっているわけではないんですけれども、やはりベンチャー企業の中でシンガポールやベトナムに行って、実際に何かしようという動きが非常に強くなってきたので、実際に2月末ですか、実際にシンガポールとベトナムに1週間ほど行きまして、支援機関やあとは関係のSGXという証券取引所等を回って来まして、色々と情報を手に入れてきました。
そのフィードバックと、あとはそれ以外の向こうにいて感じたことを実際に統計数値を見てどうなんだとか、そういったところを簡単にですが情報提供できたらと思っております。

私の方からはまずASEANですね。シンガポール・ベトナムを中心としてベンチャー企業さんも出ていかれてますけれども、ASEANがどのような状況になっているのかというところと、あとはそこの統計数値から見る進出形態としてどういうようなところが考えられるのかというところをお話ししたいと思います。

その後にまた現地の環境を斎藤の方から話させて頂いて、最後にまた私から進出する際の特に税務面ですね、どういう面が有利になるのかといったところを中心にお話させて頂きます。では始めさせて頂きます。

まず向こうに行って強く思ったんですけれども、シンガポール・ベトナムといったようなところ、進出ブームになっているんですけれども、それについて単体で考えている方はほとんどいないということですね。

みなさんASEANという単位で考えてらっしゃって、こちら図にあるんですけども、やはり経済圏としてASEANを狙って出て行かれる、マーケットを見る時はASEANを狙って出て行かれるってことですね。現在、2010年…ちょっと古いんですけどもその段階でASEANの丸はちっちゃいんですけど、やはり非常に成長率で言ったら高いものがあって、中国よりは少し低いんですけれども、これがまあ2015年になると丸がかなり大きくなって1つの経済圏として形をなしてくるであろうと。というようなところで、皆様チャンスを求めて東南アジア、ASEANに出て行かれてるのかなというところです。

「じゃあASEANの中でどこを狙っていくの?」っていうところなんですけれども、今回お話させていただくシンガポールとベトナムですね、やはりマーケットとしてはまだまだで、むしろよく新聞とかに出ると思うんですけれど、インドネシアがマーケットとしては突出していると。ここ見て頂いても分かる通り、これ年間の平均成長率なんですけれども、インドネシア15%成長、しかもGDPの比率で見ても、ASEANの中で相当に高いということですね。で、逆にベトナムの方は成長こそしていますが、なかなかGDP面というところでは低いと。それでじゃあベトナムはダメなんだという話になるのではなくて、やはりASEAN一体で見た時に適切な組織のポートフォリオを組むときの戦略っていうのが自ずとここから出てくるんじゃないかという話になるかと思います。


ちょっと後ろの方でその辺を詳しくというところで、こちらが月収の推移になっているんですけれども、当然ですね、まあベトナムですね、なぜ先ほどのこのGDPが低かったかというところなんですけれども、人口が8500万人いるのにGDPが低いということは、当然ASEANの中では月収が非常に低くて、やはり10%程度の年間平均成長率を見せているけれどもやはり非常に低いと。なので、ベトナムについてはこの特徴を利用した進出というのが日本のベンチャー企業でもブームになってますし、実際そうあるべきだなと思います。

意外なんですけれどもマレーシアは非常に月収としては高いと。これは華僑の影響で、華僑が非常にマレーシアは強いので、華僑の影響で非常に高い水準だと。タイ・インドネシアと続くというところで。逆に消費者向けのサービスを指向する場合はこういった国を狙ってサービス展開するというようなことが言えるのかと思います。

今度はネットビジネスですけれども、ネットビジネスを展開するときに当然インフラというのが非常に重要になりますので、その時にこちらのシンガポール、非常にインターネット普及率でいくと高いと。もう日本に迫る勢いだということで、2013年にはほぼ日本と同じくらいのインターネット普及率になるのではないかと。Facebookの利用者になると今度はシンガポールは非常に少ないねという話になるんですけれども、比重としては非常に高くてですね、人口に占める割合では約半数がFacebookを使用していますし、やはりシンガポールに言っていろんな方と話してもFacebook使っていますし、そういったような状況はありました。

こちらの携帯の保有台数とかスマートフォンの販売台数についても、やはりシンガポールは非常に高くてですね、100人あたりの保有台数が100台超えてるということなので、1台以上はお持ちだということですね。市場規模としては非常にちっちゃく見えるんですけれども、人口500万人の国がやはり人口が数千万人いる国と比べてそんなにグラフとして低くないということは、まあ1人あたりの市場としてはそれなりにあるのかなということが言えると思います。

ECの取引についても、やはり他の国より比率が高くて、比率でいくと日本と同じくらいですね。取引に占めるECの割合も高くて、やはりシンガポールはASEANのなかでもダントツでIT先進国であるということが言うことができると思います。

ここでどのような示唆が得られるかということなんですけれども、この辺はちょっと割愛して、グローバル戦略でそのASEANという市場をとっていこうと思った時に何が重要になるかというと、やはりビジネスのインフラの整備ですね、シンガポールは圧倒的に法規制も進んでますし、今見て頂いたようにITの基盤整備、市民の方のリテラシーというのも非常に高いのでやはりそのひとつシンガポールというのが挙げられると思います。

で、もう1つ挙げられるのが、ASEANの国々は外資規制を引いてまして、国によっては少しでも外資が入るといろいろ参入条件が非常に厳しくなるということになりますので、なので日本からお金が少しでも入った瞬間に厳しくなると。かつての日本企業がどうしてたかというと、シンガポールはそういう外資規制が一切ないので、シンガポールに出て、企業としては名前を売って、外資規制のある国の人達がそのサービスを見て合弁とかで声をかけてくるというパターンですね。そのようなパターンでやっていたので、今ITベンチャーも同じで、そのような形でシンガポールに一度出てサービスを知らしめて、周りの国から合弁の誘いを受けてサービス展開というのが1つ考えられるのかなあと思っております。

なので、ここに書いてあるんですけれども、「ショーケース国家」とよくシンガポールは言われるんですけど、やはりアジア戦略の中心となるのはシンガポールになるのかなと。拠点として中心になるのはシンガポールかなと思っています。

本日のもうひとつのテーマのベトナム。じゃあどうやって使うんだという話なんですけれども、最初に見ていただいたように人件費が圧倒的に安いので、やはりオフショア開発拠点としての使用が考えられるのかなということが言えると思います。まあまだまだ個々の国々の市場としては、先程見ていただいたようにEC1つとっても、束になっても日本にはまだまだ敵わないですけれども、このような中でも、やはり伸びは急速なものがあるので、そこを逃さずに行くという意味ではITの開発拠点をアジア、例えばベトナムに持って、しっかり開発をして、シンガポールの方でマーケティングしていくというのが、1つのトレンドになるのではないのかなということが言えると思います。

非常に簡単に繰り返しになりますけれども、まとめると、シンガポールはやはりマーケティングの拠点ですね、インフラが整っているのでマーケティングの拠点。それで、ベトナムを人件費が安いので開発の拠点にして、今後成長するASEANのマーケットを取り込んでいくということが、1つ戦略になるのではないのかなと思います。
 
では、ここから後ろで、まずシンガポールがどのような状況になっているかについて、斉藤からお話をさせて頂きます。

斉藤氏:続いて、私の方からシンガポールのインキュベーションの状況について簡単に情報を提供させて頂きたいと思います。
……(続く)

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