【全文書き起こし】バイアウトからの逆算、誰があなたの会社を買うか?④

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の続きです。

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合田氏:
じゃあ非常にラフな話で、財務諸表とIR資料の見方を本当に触りだけご説明したいと思います。損益計算書というのは皆さん見たことあるかと思います。売上があって、そこから原価を引いて、営業費用を引いて、それにいろいろ、例えば株で儲けたとか払った、利息を払った、そこら辺の部分を除いて、経常利益が出て、税金が引かれて、当期純利益という形になります。皆さんがここで見なきゃいけないのは、細かく分析される方は別にして、ラフにはまずは売上高がどうなのかという話と営業利益がどうなのか、この2つです。あとは、後で簡単にまとめたものを見せますけど、そもそも売上が伸びてますか?と。会社としては売上が落ちていたらまずいので、ぱんぱんぱんと伸びてますか、それが1つです。もう1つは、利益が上がっているか下がっているか。

例えば、売上はどっと伸びているけど、もしかしたら営業をたくさん増やして利益を削っている可能性があります。そういう場合は自分としてはだんだんと余力がなくなっていく部分があるので、売上が伸びてますか、下がってますかということと、売上が上がっていても下がっていても、営業利益としてどれくらい上がってますか、下がってますか、と。そこら辺を経年で見ていくということです。あとは利益が上がってますか、下がってますかです。利益というのは簡単に言うと、それを株主さん、投資家さんにお返しするものなので、利益があまりにも下がっていたりすると、この会社自体はいいかもしれないですけど、投資家さんから怒られるので、どうしても利益を上げようというモチベーションが場合によって働くということがあります。その場合は、一生懸命経費削減して、あまり投資しないでぐっと我慢している可能性があります。なので、利益があまりにも低かったりする時は、その会社はなかなか投資してくれなかったりする。そういうところを見ていったり、あるいは利益は低いかもしれないけど、少しずつ上がっているなら、強気に投資してくる可能性があるので、この3つぐらいを見ておいていただければいいと思います。

次にもう1つ、買ってくれる会社を見る時に重要なのが、この貸借対照表です。こっち側はビルを持ってますとかそんな話ですけど、見ていただきたい部分は3つぐらいです。負債と資本という2つあるんですけど、これはイメージするのは銀行から借りたお金です。こっち側は株や自分で稼いだポケットマネーが入っているんですけど、一番見なきゃいけないのは、どれだけここを持っているかです。

例を見せますと、NHNさんの、さっきの(聞き取れず)というのは、簡単に言うとポケットマネーです。どんどんたまっていった金。ウォンなので、僕が正確に計算できていないかもしれませんけれど、1000億ぐらいポケットに入っている。そうすると、10億円以上ならいいと思うかどうか分からないですけど、仮にここが全然ない会社だったら、買いようがないです。なので、その会社の方針がどうかというのもあるんですけれど、ここに負債よりも資本の方がそもそも多い。どっちがいいかは別としても、ここが比較的しっかり持っていて、お金に余力があったら、買ってくれる可能性はだいぶ出てきます。もう少しだけ補足して説明させてもらうと、銀行から借りたお金は、必ず3%か6%か分からないですけど、必ず定額を返していけばいいんですけれど、それ以上は絶対に求められません。返さなきゃいけないですけどね。

ただし資本というのは株主さんから出しているので、もし自分が株主だったら、銀行よりも高い利息で返さないと、借りているわけじゃないんですけど、返してくれという話になると思うので、実際にはこっちの方がプレッシャーは強いはずです。借金の方がつらく見えるけど、実際には株主から預かっているお金の方がずっと難しい。こちらは絶対返さなければいけない。返さなくていいとは言えども、必ずそれ以上払わなきゃいけないので、ここにはやはりプレッシャーがぐっとかかっていると。あまりにもこっちをたくさん持っていたら、なぜ投資しないんだ?返せという話になる。そういうことをベースに考えると、ここをたくさん持っているということは、お金として出しやすい、あるいは出さなければいけない、場合によっては出さなければいけないような形になっている場合がある。ここは見ていただけたらなと思います。

簡単にまとめますと、まず1つは売上として伸びているか。売上が伸びていないで落ちていたら、必ず上げないと見た目が悪いです。元々、投資家が全部細かく見てくれるわけではないので、売上ががっと落ちてたら、何してるの?ということになるので、やはりある程度上がっている必要があるので、売上が伸びているかということ。あともう1つ、利益と営業利益の両方が伸びているかと。きれいに伸びていれば、それは何の問題もないんですけど、途中で営業利益が下がったり利益が下がったりすると、株主さんとしてはもっと配当しろという話になるので、ある程度持っておきたいという気持ちがどうしても働きますので、この2つです。売上が伸びてて、利益が伸びていればいいと。ただ下がっちゃってたら、その会社は経費をぐっと削って、営業利益や利益を上げなきゃいけないという気持ちに駆られているかもしれない。そうなると、なかなか投資に手が伸びない可能性がある。

もう1つは、会社の方針を見る上で、売上を構成しているのは何かというのは非常に重要です。例を見ていただくと、これは有名なGoogleとapple、Microsoftの売上高の違いです。appleはやはり高いですが、これは理由は簡単で、やはり広告だけというのはなかなかもうからない。物を売っているのが一番売上が高い。Microsoftはものじゃないですけど、ソフトウェアをそのまま販売していますので、やはり売上が高い。広告というのはこんな感じです。Googleさんは売上はちょっと違いますけど、この赤い部分と青い部分で、これ以外は全部広告収益です。だからもう完全に広告に頼り切っていて、googleappsとか、いろいろやってはいるんですけど、まだそこではそんなに収益が出ていない。そうすると、この会社というのは、少し飛ばして話をしてしまうと、サーチエンジンをはずされて、他からフェイスブックで回られたりしたら、すごく痛いんですよね。サーチのリスティング広告とか、その手でもうけている会社なので、それに対して何がしらかの、極端に言えばコンぺティティブ、ネガティブなことをやるか、さらにサーチエンジンを見てくれるようなことをやれば、非常に嬉しくなっちゃうわけです。それが1つある。

逆にappleさんを見てもらうと、実はここがほとんど広告です。ソフトウェアでもうけているのはこれだけで、後は全部ハードウェアでもうけている会社です。だからiTunesとかいろいろ言っていますけど、実はそれはそんなにまだもうかっていない。マージンを取っているだけですので、やはりこういうハードウェアを高売りして、僕はiPadも持っているので、もうアップルに貢献しまくりですけど、ここら辺の一部、本当に小さいです。なので、この会社はとにかくハードウェアを高売りすることを守らなければいけないというモチベーションが働く。IRの資料なんかを見るとおもしろいんですけど、いかに対面販売が重要かとか、そんなことがしっかり書いてあるわけです。ブランドをどうやって?ユーザーエクスペリエンスをどうするか?など。そうなると、やはりこういう会社がうれしいのは、僕は大してITリテラシー詳しくないかもしれないですけど、1個1個のコンピュータでやり方が違ったりしたら嫌なので、みんな統一するようなサービスであるとか、そういったものを非常に欲しがります。あとはユーザーインタフェースに関する技術とかが、非常に好きですよね。ユーザーを気持ちよくさせるようなサービスには非常にモチベーションが高いと。

逆にMicrosoftはどうかと言うと、これを見ていただくと、Windowsの売上があって、クラウドとかいろいろやっています。サーバーの売上があって、MicrosoftOfficeの売上があって、あとXboxとかの売上があるので、ほとんどソフトウエア売りですよね。広告収益が少しはあるんでしょうけれど非常に少ない。なので、この会社はハードウエアをバンバン売っていたところで、Google Earthであるとか、いろんなOfficeのオンライン版みたいなのが出てきちゃったということと、自分自身もオンラインを始めているので、結構収益に困っていると思うんです。だから、例えばエンタメ系とかもっと伸ばしたいだろうし、ただのソフトじゃなくてコラボレーションツールとかがあったら、結構興味があるだろうということで、Microsoftは非常にお金も持っていますし、そういった意味では何かの製品というより、コラボレーションツールとかそういったものに興味があるだろうと。要するに、それぞれの会社によって、非常に有名な会社ではあるんですが泣き所が全然違うというところだけは分かっていただけるかなと思います。

じゃあちょっと先に。さっきはこれです。売上を構成しているのは何かで、売上構成がでかくて、かつ伸びている部分があれば、そこにその会社は注力してくることは間違いないので、それに関して悪い言い方をすればちょっと妨げるようなサービスか、あるいはそれをさらに助長して良くするようなサービスであれば、両方ともその会社にとっては嬉しい話になるので、もしかしたら買うような対象になるのかなと思われます。これは、さっき言った資本の部分が多いと株主からのプレッシャーもありますので、お金も出しやすいので買ってくれる可能性がありますね。もう1つ、ここだけ太くて恐縮なんですが言っておくと、たぶん会社の経営陣ってユーザーのことをもちろん考えているとは思うんですけど、ユーザーのことばっかりを考えているわけじゃなくて、どちらかと言うと、「こんなにお金持っているんだから、もっと投資しろ」とか言っている株主さんに吊るし上げられることとか、あるいは子会社であれば親会社の人が何て言うかということを、すごく、より気にしていると思うんですよね。なので、例えば某会社で、親会社が一生懸命海外へ出て行くんだったら自分たちも出なきゃいかんと。そうなると、出て行くかどうかというよりも、その行為自体に投資してくる可能性というのはあるんですね。

ということで、親会社が何をしているか、あるいは株主さんがいろんな状況を見て何を言ってくるのかということをベースに、その人たちが動くということが1つあるかなと思います。あとは、これが多分スタートアップにとって一番嬉しいことだと思うんですけど、なかなか大企業って新しいビジネスをつくるのは非常に難しいですよね。これ大企業に入った人だったら分かると思うんですけれど、特にアメリカの会社っていうのは、R&Dはスタートアップにやらせようという考え方が非常に強くて、特にIntelさんであるとか、Googleさん、Microsoftさん、皆さんここの部分で投資をしても「モノ」になるかどうか分からないので、人にやらしておいた方がずっと安い。投資だけで抑えておいた方が、自分が人を出して会社をつくってやるより安いので、スタートアップにやらしてポンッと買うというのが比較的簡単であると。日本は今のところそこまではいっていないですけど、将来的にはたぶん大企業は余力なくなってくると思うんです。そうすると、R&Dの部分というのはスタートアップに頼る可能性があるので、ここは見ておいてもらえばと。

少し話を展開させて、海外の市場とかだと、だいたい最初自分で事業を始めるよりも投資で入ったほうがやり易いですよね。例えば、同じ1億でも確かに無くなるのはつらいけれど、どこかの国で1億投資することと、事業つくることだと1億以上掛かるので、まず投資で入っておいて見極めておいて入るというパターンを取る場合があるので。投資とか買収というのは、そんなに大企業にとっては、マージしていく過程は難しいですけど、やれないことではないと思うんです。

あともう1つ、いくつかの振興市場の話ですけれど、日本とかアメリカはないかもしれないですけど、成長が異常に早い国は自分で開発すると間に合わないので必ず買うという。ベトナムなんかは買いはしないですけど言っていたのは、「自分で開発していたら成長は勝てない」。中国もそうですよね。他社がどんどんいろんなところへ持ってきちゃうので、成長が早い途上国では、自社で開発しない可能性が非常に高いと思います。なので、こういうところがバイアウトされる可能性がありますね。

少し会社の話に入っていきたいと思います。
まず、AppleとGoogleとMicrosoftの比較だけ簡単にしたいんですけど、……(続く)

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