【全文書き起こし】バイアウトからの逆算、誰があなたの会社を買うか?③

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【全文書き起こし】バイアウトからの逆算、誰があなたの会社を買うか?②
の続きです。

【本イベントのスライド資料が公開されています。こちらから併せてご覧ください】

合田氏:
次、もう1つだけマクロ系な話をしたいと思います。出会い系のサービスって検討された方いますか?さすが。出会い系ってあまり市場規模が大きくないですよね?

僕も出会い系はすごい儲かるイメージがあって調べてみたんですけど、オンラインデートの産業って大体アメリカで1000から2000億ぐらいで、すでにもう出来上がっちゃった市場なので。今からソーシャルが入ってきますけど、まあこれぐらいの規模だよと。中国で250億、日本で200~500億ぐらい。ソーシャルが入ってきて立ち上がるんですが、1つだけ分かったのがあまり実はバリューが高くないですよね。マッチコムっていう世界でも有数なサービスがOKキューピッドっていう広告だけのモデルではあったんですけど、それを買収したときの価格が50ビリオンなので約40億ぐらいなんですよ。世界トップ系のサイトで350ミリオンぐらいのアクティブユーザがいてこれぐらいの価格なので、これを高いと思うか低いと思うかは皆さん次第なのですが、1つ思ったのがこういう一見系のサービス、出会い系のエロ系は別として、結婚系とか人生の中で1回しか起きないとか、多い人の2回3回とかあるというのは置いといて、必ずイベントが継続して起こらないものはあんまりバリューがつかないなというのが分かるかなと思います。だから、出会い系が悪いわけではないですけど。例えばいろんなものがありますね、ギャザリングして誕生日のときにボーンと物を渡すとか、そういうサービスは決して悪いわけじゃないんだけれども、その度に思い出せたりとかしないといけないのと、必ず何回も繰り返して起こらないので、もしかしたらバリューとしてこの手のサービスは低いかもしれません。こんな話をちょっと最初に基本的な話としたいと思います。

(会場へ)何かここまででご質問でもあれば?よろしいですか?

次にどんどん行かせていただきます。
次に、いろいろIPOとかバイアウトを考える上で、こんなデータが参照できるだろうということで並べてみました。市場のマクロ的な話、業界の話、業界内での位置付けとかですね、あと技術動向、今回IR資料を中心にその会社の状況を後でご報告しますけど、それ以外に特許資料とかプレスリリース、株主、人材採用…会社調べるときに人材採用のとこ見て調べた方って結構いますか?会社がやりたいことって人材に出てきていて、例えばappleさんとかgoogleさんとかは非常に秘密主義が強い。ただし、例えばデータセンターのエンジニアを集めているならデータセンターを作るんだなとか、ある程度人材採用から予測ができるので、その会社の状況を知ってかつすごく秘匿が強い会社では、人材採用の部分を見るのも1つあるかと思います。

最初はこの順番に沿って、マクロの話、業界の話、システムの話、技術どうこうはちょっと抜かして、IRの資料の話と、少しだけ人材採用の話で、どの会社がどんなこと考えてのるかという話を進めていきたいと思います。細かい話は多分いろんな本を読んでいただければ分かると思うのですが、どちらかというとパッと見てその会社が何を考えているかが分かるようなイメージの部分をご理解いただければと思います。

これはその国の株式市場に上場している会社の時価総額を足し合わせたものです。これで分かるのは、なんだかんだ言ってアメリカが圧倒的に高いですよね。次に日本と中国、中国は最近ちょっと抜かしたかもしれないけど、こんな形かなと。何のためにこれを出したかというと、アメリカの銀行とか不動産業はこの中に当然入っているんですけど、すでにミャンマーとかアフリカぐらいまで出ていってますと。アメリカの消費材系の会社っていうのは当然ながら途上国まで出ていっています。USのテック系の会社、ただし、ハードウェア、半導体とかソフトのIBMみたいな、大きいシステム系ですね、これは当然ながら途上国をモロにターゲットにしていますが、1つ分かるのはUSのWebサービスとかIT系の会社はまだ中国、日本、インドぐらいまでで、もちろん見ている会社もいると思うんですけど、ほとんどの会社はまだそこまでしか見ていない。僕が何を言いたかったかっていうと、この会社が日本を含め東南アジアにユーザーを持っている会社、多分そのうち買うだろうなということですね。ここら辺はもうどんどん入ってきているわけですね、だけど、まだwebサービスは、こっち側の東南アジア系はまだあんまりアープとかバリューがあんまり高くない、あんまり儲からないので入ってきてないんです。アメリカでまだ十分儲かると。消費財は当然バカ売れしてますし、ハードウェアなんかも売れると。ただしwebのサービスがあんまり儲からないので、東南アジアとかにまだ入ってきてないので、将来的にアジアである程度ネットワークを持っているとかは、アメリカの企業のバイアウトも対象になる可能性があります。なぜなら、非常にアメリカのバリューが高いということです。要するに、この人たちは金をたくさん持っているということになるかなと思います。

ぽんぽんと飛ばしますけど、もちろん日本の中というのを1つ考えなきゃいけないと思うんですが、残念ながら、このグラフを見ていただくと、日本はある程度大きなM&Aの話だけになると思うんですが、薄い水色がアウトバウンド、要するに海外に市場を求めてバイアウト、買収をした話です。それで濃い青が、その国内の市場でさらに市場成長を目指してバイアウトしたものです。何が分かるかと言うと、やはり日本は足元の市場が、もちろん小さくはバイアウトとかM&Aがたくさん起きていると思うんですけれども、ある程度大きいものになると、どうしても外狙いにならざるを得ない。
実際、ニーズとしてたくさんありまして、NTTとかが海外の会社をどんどん買っていたりという話があるので。アメリカなんかはまだ足元の市場がそこそこでかいので、インバウンド、内部の会社をバイアウトする、M&Aするのと、外部の会社、要するに海外に進出するバイアウトというのが比較的近い状況にあります。日本はもう外向けということです。何が言いたいかと言うと、日本の中でバイアウトすることがまったく悪いとは思わないんですが、もしかしたら傾向として少なくなるかもしれない。分からないです。小さいのはいくらでもあると思うんですけど、ある程度大型のものになると、買える会社も限られてきますし、日本国内で何かしようとなると、なかなか難しくなっちゃう。そうなった時に、日本の会社も結局、外向けには買うので、例えば東南アジアにユーザーがいるようなSNSや、さっき言いましたけど、ウェブ系のサービス、アメリカはまだアジアに出てきていないので、日本で持っているのも1つ、あるいは中国は難しいかもしれないですけど、台湾や韓国で持っていても、この人たちが買ってくれる可能性というのがあるという話だけお伝えしたくて、これをお見せしました。

少しだけ戻ります。

このグラフはあとで見せますが、ちょっとマクロな話なので、多少難しくなるかもしれませんけれども。「人口ボーナス」という言葉をご存知の方って、どれくらいいらっしゃいますか。さすがですね。オレンジ色のところっていうのが、人口ボーナスがあと30年以上、簡単に言うと経済成長がずっと…要するに働く人と養う人の人数で、働く人の方が多い、極端に言うと、そういったものが人口ボーナス期にあると言います。日本はもうすでに老人が若干多くなっちゃったので、人口ボーナスというのは終わったので、非常に端的に言うと、なかなかここは経済成長しにくくなる。だけどインドとか南アフリカあたりは、まだまだ若い人がすごく多いので、この人がどんどん稼いでくれますから、今後も経済成長するんですね。それがこのオレンジです。僕らが属しているような先進国というのはみんな、すでに人口ボーナスが終わっちゃっています。アメリカはまだ少し頑張ってはいるんですけど、人口が伸びてますので。それ以外は人口減少に入っているので、この人たちというのは、こういうところに出て行かざるを得ないんですね。なので、この流れというのは結構バリューとして大きいと思うので、日本の中でもちろん持っているのが1つですが、仮に狙われるのであれば、アメリカに行くのはなかなか勝てない場合もあるので、東南アジアに2~3カ国でもユーザーを持っていたりすると、結構、日本からも高く評価してもらえるし、海外からも高く評価してくれる。こういう可能性があるので、特にまだまだ十分成長が続く国と、そこまで続かないんだけど、やはり規模が大きい中国、ブラジルは若干遠いですけど。そういう国に、ユーザーを持っておくと、結構バリューが上がる可能性があるので、これはご検討されてもいいかなと思います。

これは細かすぎて見えないので、飛ばしますね。

4つぐらい、東南アジアの資料を見させていただきます。東南アジア系で、どこにエマージングがあるかって話だけです。これはデロイトさんの資料を抜粋したものなんですけれども、テレビ番組、さっきも言いましたけどIPTVです。日本に関しては、ブロードキャスト型が多いんですが、IPTVというのは中国やベトナムでだいぶ出てきているので、IPTV系は今後伸びます。だからここに関しては、日本もスマートテレビが出てきますので、日本も含めてアジアにも比較的出やすいということです。

あと、ゲーム市場です。ゲーム市場も、どこの国も伸びます。十分500億、1000億ぐらいあるような市場です。日本はさっき言ったように若干低いですが、日本もまだまだ大きいし、アジアでもまだまだいけます。

一方、コンテンツ系ですね。コンテンツ系は、やはりあくまでデロイトさんの意見ではあるんですが、海賊版の存在などの話であまり規模が大きくならないだろうと彼らは予測しています。これは1つある。だからこの市場に入るのは悪くないんですが、多分この市場に入る時は、ここでもうけて、バリューが高くて売るというよりは、たくさんユーザーを抱えて配信できるから、「さあどうぞ」という形で持っていかないとちょっときついかもしれないです。

次にeコマースです。eコマースに関しては、日本も含めてどこの国も非常に伸びるので、インフラが整ってくればeコマースはどんどん伸びますので、eコマースに関しては入っていくというのはいいということです。

次にネット広告です。これは残念ながら日本はネット広告が結構大きいんですが、まだ東南アジア系は、新聞や雑誌、テレビがまだスケールしている。がーっと伸びている状態ですので、インターネット広告のシェアがまだそんなに大きくないんです。だからこの市場に入っていくというのは、けっして悪いわけじゃないんですが、ちょっと足が長い。10年ぐらいかかって大きくなっていくようなイメージかもしれない。この市場に入る時は、ある程度長いスパンで考えておいた方がいいかなということです。経済はみんな伸びているんで、新聞とかでばんばん広告を打っているような状態ですから、インターネット広告でどっと入っちゃうと、思ったよりも市場規模がなくいってしまう場合がある。

その他、日本は置いておいて、もう少し広く考えて、バリューを上げたい場合は、エデュケーション系、特に東南アジア系は人口が釣り鐘型じゃなくて三角形ですので、教育とかが必ず伸びる。これはスケールするんですよね。ちなみに、あまり海外の話をして恐縮なんですけど、フィリピンとかはやはりスーパーマーケットやでかいイオンみたいなやつでスケールして、億万長者がたくさん生まれていたりします。ある程度、エデュケーションとか、日本では若干使い古されたものもスケールの対象になる部分があるかなと思います。

あと、ベトナムなんかだと、ホットペッパーみたいな紙が大量に出回っている。ITなんてどうだと言っているんだけど、いずれにしろITに置き換わるので、そういうのを見計らっておいてデジタル化しちゃう。ソーシャル系は結構、東南アジアでもバリューがついているので1ついいんです。もうからないかもしれないですけど、ユーザーを持っていること自体は結構バリューになる可能性があります。

さっきの絵に戻りますが、やはり日本や韓国みたいに、ある程度成長してしまった国は、アウトバウンドのバイアウトが増えるので、日本国内+αでユーザーを持っておいた方が、多分バリューとしては高くなるのかなと。将来的にはアメリカが非常に時価総額の高い会社がたくさんある。簡単に言うと、ものすごくお金を持っている会社がいるので、その人たちが、特にウェブサービス系、消費財とかはもう出てきちゃってる。ウェブサービス系は、アジアに進出してきた時に、まずはいきなりやらずに、その会社を提携とか買ったりするでしょうから、そういうことを目論んで、ここら辺にユーザーを持っておくというのは1つありかなと思います。

UKは、あまりIT系の会社がないんですけど、比較的海外で買っているのがアメリカ、日本、フランス、カナダ、中国、香港ですね。ここら辺の会社というのは、比較的、海外のものを買う。だから買っているのはヨーロッパと日本とアメリカですよね。ということで、アメリカあたりにいろいろアピールしてもいいわけです。

じゃあだんだんモヤッとした話から少し細かい話に入っていきたいと思います。
これは、仮に会社を買ってくれる会社があるとしたら、時価総額の大きい方から、ITあるいはテック系の会社をずらっと並べたものです。時価総額だけで言ったら、例えばGEやエクソン、そういうところも大きいんですけど、そういうのは除いてあくまでIT系の会社です。それを大体40位ぐらいまでを並べたものです。そうすると出てくるのが、Apple、Microsoft、Google系と半導体系と、あと日本で言うとNTTdocomoさんとか、NTT、softbankさん、これが非常に時価総額が大きい。ソフトバンクさんは若干違いますが、お金を持ってらっしゃる。あと韓国系は、全体としては少ないんですけれど、やはりネイバーさんは持っている。NHNさんあたりは非常に財務もよろしくて、お金もたくさん持ってらっしゃるので、売却いただけるような相手になる可能性があります。

日本で言うと、やはりGREEさん、DeNAさん、ここら辺がお金としてはいい。中国系の会社がいくつか入っているんですけど、中国自体は、私の個人的な考えですけれど、少しの間は結構厳しいのかなと思っています。なぜかと言うと、中国自体がすごく成長していて競争が激しい中で、海外の会社にそこまで手を出すかというと、なかなか難しい。韓国の会社はもうかなり寡占しちゃっているので、外にどんどん打ってくる可能性があるし、すごいお金を持っているので買ってくれる可能性がありますが、中国系はもしかしたらしばらくは弱いかもしれません。ただお金としては十分持っているという感じです。

次はそれぞれの会社の方の話に入っていこうと思います。何かここら辺まででもしご質問があれば…特によろしいですか?

じゃあ非常にラフな話で、財務諸表とIR資料の見方を本当に触りだけご説明したいと思います。……(続く)

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