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【書き起こし】孫vs佐々木対談「光の道は必要か?」3-2 フリー討論

孫正義vs佐々木俊尚対談「光の道は必要か?」Part3-2
「フリー討論」の書き起こしです。

聞き間違い、わからなかったところ等ありますがご容赦ください。
(ご指摘歓迎)

<目次>
【書き起こし】孫vs佐々木対談「光の道は必要か?」1 孫正義プレゼン
【書き起こし】孫vs佐々木対談「光の道は必要か?」2 佐々木俊尚プレゼン
【書き起こし】孫vs佐々木対談「光の道は必要か?」3-1 フリー討論

そらの:
はい、ええと、大丈夫ですか?みなさん、休憩いかがでしょうか。すいません途中、休憩の途中でカメラのほうがトラブってしまって画像が乱れてしまいましたが、復旧無事に致しました。ではこれから、また孫さんと佐々木さんには対談を続けていただきます。よろしくお願いします。

佐々木:
はい、よろしくお願いします。

孫:
よろしくどうぞ。

佐々木:
ひとつ、孫さんに言いたいのは、ブロードバンドが大事っていうのはもちろんそうです。異論がありません。これを国費ゼロでできるという検算がされるのであれば、それはもちろん合意するんですけど、ただ最大の懸念はね、原口大臣が「光の道」、ようするにブロードバンド普及するだっていう政策を全面に打ち出したことによって、あたかもブロードバンドが普及すれば、日本のITは推進するんだ、というような印象になってしまっている部分ですごく大きいと思うんですよね。でも実は重要なのは、ブロードバンドが引かれるかどうかではなくて、それはご存知だとは思いますが、ブロードバンドひいたことによっていったいその上で何をするかって、そっちの話なわけですよね。最終的にはそれが日本の国力にも繋がり、あるいは豊かな日本人の生活文化にも繋がるってことだと思うんですよ。そうすると、当然、ブロードバンドで何をするのか、どうするのかってことを語らないといけない。で、まあさっきの先日のヒアリングの際の15分間のプレゼンでですね、孫さんは電子カルテと電子教科書の話を仰った。これは僕も別に電子カルテが普及すること、電子教科書が普及すること、もちろん賛成です。なんだけど、ブロードバンドを普及します、で、その上で電子カルテ、電子教科書を実現しますって、これはさっきいった、真ん中の部分の議論がまったく欠落しちゃってるわけですよね。その部分が欠落したまま、あたかもブロードバンドが普及することによって、イコール電子カルテがいきますよ、電子教科書になりますよ、っていうのは、あまりにも僕は議論として乱暴じゃないかと思うんですけども。そこをいかがでしょうか。

孫:
はい。いまトイレ行って、休憩している間にワインとチーズとか出てきましたよね。口の中に(まだ)入ってますけども。あの、まったくおっしゃるとおりで、ブロードバンドが普及すれば、自動的に真ん中のプラットフォームやコンテンツが揃うというわけでもないと。また、重要性という意味では、インフラであるブロードバンドと真ん中のプラットフォームと上のコンテンツ。僕はどれも大切だと。おそらく佐々木さんもそうだと思うんですけど。どれも大切だって思っていて、それは、どれかをはしょるということでいうことではなくて、並行してやるべきだというふうに僕は思うわけですね。原口大臣のべつに肩を持つわけでもなんでもないんだけど、僕は、原口大臣が決してブロードバンドだけが、インフラだけが進めば自動的に、その上はなにもしなくてもいいとか、そこはなにも語る必要はないとか、といってるとは思いません。彼が、いままで公開されている映像とか、公開されている議論の中でいってることをたどってみると、まあけっこう教科書だとか医療だとか電子政府だとか、そういうことも大切だというふうに仰っていますから。

佐々木:
うん、そうなんですけどね。でも「光の道」っていう政策を全面に提示している、つまりそれはアジェンダ設定になっているわけですよ。総務大臣としての。これこそが、私にとってもっとも重要な政策であると打ち出している。そうすると、そこは最大の優先事項だって、国民に対して印象づけられるって、これ政治家として当然考えなければいけない。

孫:
当然ね、担当大臣として、国をどうしたいかというビジョンを語るということは、するべき仕事だと思うんですよ。そのするべき仕事が本当に、果たして、実現可能な方法があるのか、どうやってやったらいいのか、という議論は当然有識者だとか、あるいは事業に携わる人たちが提案をしたり、議論をしたりというプロセスはそれはいままさにやっていると思うんですけどね。佐々木さんが仰るように、利活用のところについて、僕なりに考えた案が、もうすでにいくらか言ってるますけどもありますが、もう少し噛み砕いて話をしたいと思いますから、それをちょっとプレゼン資料で用意していますから、第3部のプレゼン。

佐々木:
長いですね。プレゼンが。

孫:
えへへ。ちゃんと気合いれて準備したのよ、今日。もう、睡眠時間も減って大変だったんだから。勘弁して聞いてください。それでは豊かな国民生活を実現するために。なにをもって豊かとするかというと、みんなそれぞれ価値観があるから、ひとつの価値観だけで豊かさを語ることはできませんですけども、少なくとも光が100%あるということを前提とした場合に、進む利活用というものがあると。逆に、光が100%でない場合に、進まない利活用があると。つまり僕はうちのグループ会社、子会社でヤフージャパンをやってるわけですね。ほかにもいっぱい会社をやっています。たとえば、ヤフージャパンのフロントページを見てください。トップページ。僕はいつもヤフージャパンの連中に文句ばっかりいってたんだけど、いつまでこの文字だらけのトップページやるんだ、と。もうちょっとFLASHだとか動画だとか華やかにエキサイティングなトップ画面にできないのか、と。もう、昔からしょっちゅう言ってるんです。そのたんびに言われるのは「社長!そりゃ光ファイバーを繋いでいるようなユーザーはそれでいいです。でもヤフーを使っているユーザーは光のユーザーを遥かに超えて、ADSLだとか、その他、なかにはISDNのひとすらいる」と。さすがにISDNの人に対する配慮は最近でこそあんまりしなくなったけども、せめてまだ半々いるADSLを、しかもADSLで局社からすぐ近くではなくて、遠いところに住んでいる人もいますから、減衰するわけです、ADSLだから。つまり、ADSLの速度が1メガを切っているようなユーザーでも、サクサクと見れるというようなトップページにせざるを得ない。そうしないと、多くのヤフーのユーザーに対する満足度は一気に地に落ちると、ということで。だから、ブロードバンドのインフラがボトルネックになってるんですよ。ようするに低い方に合わせざるをえないんですよ、利活用の方は。

佐々木:
ネットは必ずしもリッチなコンテンツであればそれでオッケーと言うわけではないと思いますよ。基本的にインターネットはテキスト文化であって、多くの人はツイッターやあるいはSNSのような、ソーシャルメディアを活用するっていうのが非常な魅力になってきているわけですね。

孫:
でもUSTはどうですか?USTでいまこれだけの人が見ています。これはテキスト文化だけで済まされる話ではない、ニコ動や、

佐々木:
でも少なくともUSTであればADSLであれば十分ですよね。

孫:
いや、これが、いまUSTで画面が写っていますけども。字が見にくい状態でみんな見てると思うんですよ。これをもしハイデフのレベルでやったら、

佐々木:
いや、もちろんそれは理想を言えばそうですよ。理想を言えばそうですけど、それがすべてFTTHがなければインターネットのサービスが成り立たない、っていう考え方はそれはちょっとおかしいと思う。ソーシャルメディア中心の社会。人と人が繋がって情報をやりとりする、繋がるという世界では、アクセス回線の太さっていうのは実はそんなに重要なものではない。

孫:
いやいや、決して、そうじゃない。いまね、いまリッチコンテンツがこれから続々と増えてくると。続々と増えてきて、たとえばUSTだけでなくて、Youtubeなんかでもね、あれがもしハイデフのレベルのクオリティのやつでYoutubeが観れれば、

佐々木:
まあそれはそうですけどね、でもね、Ustreamの画面の文字が見えるかどうかなんていうのは、僕はかなり瑣末なもんだと思いますけど。

孫:
そんなことはない。やっぱりね、一回ね、綺麗なものを見たら、二度と汚いものに戻りたくないわけですよ。綺麗なものを見てないと、綺麗なものの良さが、まだ十分理解できていない。

佐々木:
それは分かります。ハイデフィニションが必要なのはわかりますけども、それが最優先というふうに語られるのは、僕は間違いだと思う。優先すべきはそれではなくて、

孫:
それが1円も国費を使わずに、1円も国費を使わずに、いままでのADSL以下の価格で、光のレベルのサービスが受けられて、

佐々木:
いや、その話に関しては、まだ検証されていなので、いったんおいときましょう。

孫:
いや、僕は光が前提になったときにどんなサービスができるかということをいま話をしているんです。

佐々木:
じゃあ続けてください。

孫:
光が100%という前提になったならば、光100%を前提にしたサービスにレベルアップできると。モノクロからカラーになったように。レベルアップが、パラダイムシフトが起きるということを申し上げたい。いままでは光でない、まだら模様のようになっているんですよ、シマウマ模様になっているから、低い方に合わせざるを得ないので、利活用がどうしても、僕に言わせればレベルの低いものになっていると。もしそれが、光100%になると、ここにある教育だとか、医療だとか、ワークスタイルだとか、レジャーだとか、エンターテイメント、そういうものがいまよりも少なくともレベルアップできると。

佐々木:
帯域を広くすれば利活用のレベルが上がるというお話を仰ってるわけですよね。

孫:
そうです。

佐々木:
それは僕は間違っていると思います。

孫:
それは、テキストベースのままでも、いままでのただの電子メールよりはTwitterのほうがレベルが上がっている。それはその通り。でも、テキストベースにUSTが加わると、あるいはニコ動が加わると、もっとエキサイティングなものになると。という意味で、利活用のレベルは上がると。もし、テキストベースだけで済むというアプリケーションの場合は、それだけでいい。でも、世の中は思っている以上に、どんどんコンテンツはコンテンツで競争が激しくて、世界中から新たなコンテンツサービスがでてきて。たとえばiPadのようなものが。僕はすでにiPadを使い始めていますが。やっぱり一回ね、あの大画面でいろんな動画だ、なんだと見るともう戻れないですよ。従来のパラダイムに。だから、やっぱり見てないとその良さが分からない。見てしまうと、体験してしまうと、戻れない。

佐々木:
いや、だからね。広帯域のリッチなコンテンツってのは、あくまでもインターネットのWebサービスのごく一部分の話に過ぎないわけですよね。それがすべてのメディアを広帯域じゃないと必要としない世界がくるとは、僕はまったく思っていないし、どちらかというとやらなければいけないのは、その広帯化をどんどん進めることではなくて、もっと人と人がちゃんと繋がること、我々の間をきちんと情報が流れること、どうやったら面白いもの・人に会えるのか、その契機を作ること、

孫:
僕がいってるのは両方だということ。ブロードバンドの広帯域も必要だし、利活用も必要だ。

佐々木:
ただブロードバンド化すると、利活用のレベルが上がるというのは短絡的すぎますよ。

孫:
自動的に上がるとは一度も言ってません。1回もいっていない。つまり、僕はソフトバンクグループとして、ヤフーだとか、かつてイー・トレードだとか、いろんな利活用のこと、800社をやってるんです。利活用が重要だ、自動的に上がるなんて1回もいっていないです。利活用も難しくて、不断の努力が必要で、その奮闘努力しないと新しい知恵だとか湧いてくる、インフラさえあれば自動的に出るなんて、1回も僕はいってない。両方必要だっていってるんですよ。

佐々木:
そうすると、交代期である上に加えて、利活用が広まるためには、広帯域であるだけじゃだめですよね。

孫:
そうですよ。

佐々木:
じゃあ、それはなにが必要なんですか。

孫:
だから、たとえばの広帯域のサービスの例をちょっと挙げます。じゃあちょっと見てくださいよ。ひとつは教育というものがあります。日本が、かつて世界で1位、2位を争っていた科学的リテラシー、数学的リテラシー、読解力、こういうものがほんのこの6年間くらいで、どんどん落ちていると。これ2006年までのデータですけども。2010年はさらに下がっていると。ゆとりの教育だなんだかんだって。で、どんどん勉強しなくなったんです。どんどん、ようするに、(そらのさんからカンペを出されて)いまいろいろ見せなくていい、いま集中しているんだから出すな。ね。要するに利活用の重要なテーマのひとつとして教育テーマがある。日本のこの知的レベルの競争力が、どんどん落ちてると。これは僕は大問題だと思うんですよ。日本の天下国家50年100年先を考えると、この部分を上げなければいけない。もちろんブロードバンドにしたからって自動的に上がるわけではない。でも、ブロードバンドも重要な要素の一つだと。

佐々木:
そうですね。でもそれだけじゃ足りない。

孫:
もちろん。だから、両方なんですけど、たとえばもし光が100%、おじいちゃん家に行こうが、自分の家であろうが、塾に行っても、学校に行っても、光が100%あって、その光がWifiで宅内が繋がっていると。iPadみたいな電子教科書が、iPadに限りませんよ。iPadのような電子教科書が、無償ですべての1800万人の学生に全員に配られたと仮定します。教材が、教科書クラウド、クラウドの側に教材が全部行って、クラウドの側に集まる、個別の各教員だとか、教科書会社だとか、あるいはWikipediaのような形で、どんどんと世界中からリッチな教育コンテンツがあつまって、さきほどの葉っぱ村のように、ただ道具を提供すればいいんじゃなくて、競争というゲームポリシーをそこに導入して、みんながオープンソースとして、教育コンテンツをどんどん出し合う。いままでの紙の教科書の方がいいという人がたまにいますけども、紙の教科書で表現できることは、電子教科書でもほぼ全部できます。電子教科書の上に書きこむことも可能です。色で書きこむことも可能です。ですから、電子教科書で紙でできて、電子教科書でできないことはほとんどない。逆に、電子教科書じゃないとできないことがいっぱいある。しかも、全員の学生が持っていることをベースにすると、いままでは、学生が、裏学校サイトみたいな形でいじめのメールが勝手に来ちゃったとか、そんなことは国で配った電子教科書、共通のものであれば、どの生徒がどの電子教科書、端末を持っているということは100%捕捉できるわけですからね。そこで変ないじめのメールがきたら、全部追跡可能になる。そうすると、追跡可能になると、トイレの落書のようなことはしなくなると、そういうことだと思うんですよね。

佐々木:
それは生徒一人ひとりが繋がるネットワークが、電子教科書のタブレットのみになってしまうということですか?

孫:
電子教科書のタブレットにおいては、そのなかで安心・安全な、しかも教育に向いたコンテンツのものが、そこに集まっている。紙の教科書に代替わりのものとしてある。

佐々木:
いじめの○○○っていうのは、学校のネットワークの中で起こるわけじゃなくて、学校の外部のネットワークの中で起こるわけですよね。

孫:
そうそう。外部のネットワークは外部のネットワークとして、そこにある。

佐々木:
そうすると、いじめが無くなるというのはちょっと短絡的すぎませんか。

孫:
いじめが無くなるとは言ってない。少なくとも、電子教科書の中においては、先生と生徒、生徒と生徒が、建設的な教育に関するSNSができるようになる。教材をクラウドから瞬時に入手することができる。生徒がどの生徒がどの問題のところで引っかかったとか、どの問題については何十なんパーセントの正解率だったとか。そういうことが、先生が、まさに電子赤ペン先生状態が作れるということですね。しかも、コストゼロでできると。

佐々木:
そういうね、でも電子教科書のいま仰っているクラウドのビジョンというのは、僕も何度も聞きました。そういうお話は。それは各国で語られているし、日本国内でも、

孫:
でもだれも実行していない。誰も実行していない。誰も実行していない!

佐々木:
実行できてないのは仰る通り。でもそれはブロードバンドが普及したからといって、実行できるわけではないですよね。

孫:
両方必要なんですよ。

佐々木:
なにが必要なんですか。

孫:
ブロードバンドも必要なんです。電子教科書端末だけあればいいというと、さきほどのね、クローズドの電子レセプトのための電子カルテのクローズドの世界になっちゃいます。ブロードバンドが100%全家庭にあるという状態、学校にもある、塾にもあるというという状況になれば、それをベースにクラウドが構築できると、いうとなんですね。ローカルなひとつの学校の中だけに閉じるものではなくて。

佐々木:
あのね、それはブロードバンドが普及して、そこにクラウドのサービスが立ち上がってですね、それが電子教科書ができれば、すべてに普及するのか、僕はそう思わないです。いまの日本はそうならないから、困ってるんじゃないですか。

孫:
両方必要なんです。

佐々木:
いや、それだけじゃ、足りないですよ。

孫:
足りないかもしれないけれど、ほかのこともやらなきゃいけないよ。でも、ものごとを為なすためには、これがないからあれができない、あれがないからこれができない。結局、前に進まないわけです。

佐々木:
もちろん仰ることは分かります。ビジョンとしては素晴らしいです。そのビジョンに対して、なんら反論もしません。まったく正しいと思う。ただし、そのビジョンに向かうためには、現状を直視して、いま学校がおかれている状況とか、教育委員会がおかれている状況、子どもがおかれている状況、そんなかで何が足りなくて、何が必要なのかをきちんと認識して、そっから積み上げて行くという作業しない限り前には進まないですよね。そのために、この10年電子教科書みたいな話が出てきても、どんどんどんどん潰され続けてきた。で、潰され続けてきたのは、クラウドのサービスが出てこなかったからでも、ブロードバンドが普及しなかったわけでもないと思うんですよ。

孫:
両方必要だと思う。仮に頭のかたい教育委員会の人たちが納得したとしても、インフラがなければ、やりようがない。

佐々木:
いや、そうなんですよ、ただ、インフラを整備すれば、いきなり電子教科書とかクラウドがあれば、インフラとクラウドがあれば、電子教科書が実現しますよ、と仰るのはあまりにも短絡的。ビジョンとしては素晴らしいけれども。それを提示するっていうことはあまり現実的ではないと思うんですよ。

孫:
そんなことはない。

佐々木:
やっぱりそのプロセスを提示することが大事だと思うんですよ。

孫:
僕が言っているのは、2015年までに、原口大臣が光100%にしたいというビジョンを出したと。もし2015年までに光が100%繋がるという前提になるのであれば、2015年までに、その教材クラウドも並行して積み上げて行って、2015年までに電子教科書も並行して1台2万円でできる電子教科書を並行して作りにいって、それを1800万人の学生に配るという計画を5年間で並行してやると。

佐々木:
そのアプリケーションはちなみに誰が開発するんですか?

孫:
それはクラウドとして、例えば、例えばの例ですよ。Androidはオープンソースですよ。僕は、政府が主導して、また特殊な大きなキーボードとか、さっきの老人向けの大きなトラックボールにするとか、絶対反対。老人向けの特別なブラウザを政府の金で、国民の税金で作るのは絶対に反対。そんなものはうまくいったためしがない。そうではなくて、世界にある、無料で使えるオープソースのOSがある。

佐々木:
Androidのことですか?

孫:
Android。例えば。ね。Android 以外にもいくつか選択肢があってもいいと思います。例えばのひとつの例でいえば、Androidの上に、そういうようなオープソースのAndroidの上に、教科書、教材のようなアプリは、これから5年間というスパンで見れば、続々と増えますよ。ですから、そういう形で、クラウドが進み、教材が進み、並行してやればいいんですよ。

佐々木:
仰ることはものすごく同意します。同意するんですけども、現状、そういうことやろうとすると、いままでどういうことになってきたか説明するとですね、必ずアプリケーションを作るベンダー、いわゆるITゼネコンというベンダーを作るケースが圧倒的に多いんですね。なぜかというと発注するのが国である、あるいは、県である、あるいは市町村である。自治体が発注する。そうすると、自治体の場合には知識がないから、とりあえず、大手のITゼネコンに発注してしまう。結果的に日本の大手ITゼネコンてのは、ろくなサービス作るのはほとんど不可能ですから、

孫:
NTTデータとか、日立とかそういうところでしょ。僕も大反対よ。あんなところに。ITゼネコン。これテレビじゃないからいっておくけど。ははは。

佐々木:
そうすると、そこで問題なのは、これは僕と孫さんとは意見が一致すると思うんですけどね。

孫:
「たいがいにせい!」って言いたいよね。

佐々木:
じゃあ、電子教科書のアプリケーションやサービスを作る際に一体誰に作らせるのか、ってこれはすごい重要な問題なんですよ。

孫:
まさに僕はそこがオープンソースだと思うんですよ。ようするに、たとえば、Androidは日の丸OSとして、なんか特別に作ったものじゃなくて、世界のオープンプラットフォームですよ。Wikipediaは世界のオープンプラットフォームの知識ベースですよ。

佐々木:
ただし、それで僕はアプリケーションはローカルにならざるを得ないですよね。

孫:
アプリケーションは例えば、iPhoneの上では、ほんのこの1、2年の間に20万種類もできちゃったと。教育教材のそういうクラウドができて、オープンな形で誰でも作れるとなったら、1教員だって、自分が普段使っている理科の教材だとか、数学だとか、いろんなものを自分でどんどんアップできるということだと思うんですよね。従来のように、なんかそういうITゼネコンだとか、教科書会社の特定のところが、議員に一生懸命おべっか使いにいって。僕はまったくナンセンスだと思う。

佐々木:
そうすると、それを突破するには一体何が必要だと思われますか。
孫:
やっぱり国民がこういう形で関心をもって、そして、政治家が腹をくくったビジョンを出して、そのビジョンに対して、共鳴する具体案を出せる人たちが、志高きものがよってたかって集まってやればいいと思うんですよ。

佐々木:
それはなぜいままで生まれなかったと思いますか。

孫:
(それ)は、ひとつには規制である、ひとつには従来の慣行であり、足を引っ張る役人もいれば、足を引っ張る有識者もいると。あ、佐々木さんのことじゃないよ。

佐々木:
ふふふふ。微妙にいやなかんじですね。

孫:
そんなことで、これが理由でできない。あれが理由でできないといいたい人はいっぱいいるんです。新しいことやろうとすると、常にね、これができない、あれができないと、できない理由ばかりをいう人がいる。

佐々木:
いや、そうじゃないですよ。

孫:
うちの会社だってそうですよ。新しいことを僕がいうと、これが理由でできないっていう人がいっぱいますよ。

佐々木:
いや、それは違いますよ。

孫:
腹をくくって、突破しなければいけない。

佐々木:
ビジョンをいうのは誰でもできる。できるんですよ。

孫:
誰でもできるわけじゃない。

佐々木:
いや、できますよ。僕だっていえますよ、それだったら。その空中戦なっちゃう、いままでこれまで空中戦になっちゃう。そんなこといっててもしようがない。だったら、もう少し積み上げて議論して、そこのプロセス作る、そこでどう突破口を見出すか、ってことを戦略を練らなければいけないということですよ。

孫:
ビジョンは、誰かが腹をくくって、しかも、多くの人々を巻き込んで、実現可能なように事を為すという志で、命を懸けるくらいの情熱があってやれば、一歩一歩世の中を僕は改革できるんだと思うんですよね。日本が総あきらめ状態になって、この20年間GDPが全然伸びないと。色々なことを理由に非難ばっかりで全然進まないという20年間があったんだと思います。やっぱり国がハングリー精神のときは、みんなでね、そうはいうけど進まないかん、とガンガン作っていったんです。だから、僕はそういう意味で、新しい高い志のビジョンを掲げて、問題点があれば、解決すればいいじゃないか。

佐々木:
現状認識がないまま、そのビジョンをいくら言ったって、ついていけないですよね。

孫:
現状認識ってなに?

佐々木:
現状認識は、なぜそれが突破されないのかという直線的な分析ですよ。

孫:
いやいや、現状分析として、仰る色々な問題点があるのは分かりますよ。分からず屋、常に世の中いっぱいいるから。ましてや先生方の中には頭のかたい人も時々いますから。色々いますよ。だけどね、僕が思うには、それでみんなが諦めたら、絶対に世の中はよくならないと。

佐々木:
あとは、もう一つお聞きしたいのは、例えば、電子教科書のような、クラウドのサービスができあがってきますと。例えば、Androidベース。これはオープンソースですよね。でも、その上で動くアプリケーションは、実はアメリカとかに素晴らしいアプリケーションがあったとする。じゃあこれを、日本語でそのまま通る可能性が高い。単にローカライズすれば大丈夫だ、というときに、それを日本に持ってくることは十分に可能なわけですよね。

孫:
いいじゃん。日本人が作ったコンテンツでもインド人が作ったコンテンツでも、学生にとっていいものなら全部オッケーと。僕は全然構わない。

佐々木:
僕もそう思います。ただ、いま日本で行われている、特に政策論における議論ていうのは、ようするに海外のプラットフォームが国内に入ってくる状況っていうのがあって、音楽そう、電子書籍そうですよね。そうすると日本がそれを追い出してしまうとガラパゴス化してしまう。かといって、国内のプラットフォームを海外に輸出するほどの産業競争力は持っていない、そうすると、海外の自分たちの標準を出していくのか、それとも海外の標準をプラットフォームを受け入れるのか、それともガラパゴス化するかという3つの選択肢の中で、かつて高度経済成長時には、我々は外に出していけたんですよね。でもそれが不可能になってしまったいま、海外のものを受け入れてでも消費者は得するけど、日本の産業界はあまり得しないっていう状況に甘んじるのか、それともガラパゴス化して鎖国するのかって2つの選択肢になっちゃっているわけなんです。そこは孫さんどうお考えなんですか。

孫:
いや、僕は鎖国はよくないと思いますよ。だからやっぱり、世界中のいいものはなんでもいいものを使うと。そしてまた、日本が受け入れるから、逆に日本が外にうって出るときも相手も受け入れる。
佐々木:
それは仰る通り。

孫:
だから、そういう意味で、高い志でビジョンを掲げて、掲げたビジョンに対して具体的な解決案をみんなが前向きな議論を、建設的な議論を出して、問題点があったら問題点を解決しようじゃないかという心意気でやればいいと思う。
今まで教育委員会の誰が言うからできない、大物政治家の誰が言うからできないとか、労組の誰が言うからできないとか、そういうことを理由に改革をあきらめるというのでみんなあきらめる。

たとえばね、僕があきらめたと。もういいや、めんどくさいから。そういったら少なくとも日本の進展が1日くらい遅れるかもしれない。

佐々木:
仰るとおりだと思います。

孫:
やっぱりこうやってね、口から泡とばして、無制限一本勝負だーっ!とか言ってね、熱い声が聞こえるのが大事だと思うんです。

僕が具体的な、たとえば利活用について、もうちょっとページあるからもうちょっと聞いて。

佐々木:
はいはい、どうぞ。

孫:
たとえば電子教科書、こうやってありますでしょ。
1800万人の学生、日本の。1台2万円で作れる。
AndroidとかどんなOSでもいい。Open OSであれば。
あるいはAppleのiPadでもいい。なんでもいい。
少なくともそういうもの、共通のコンテンツが走るプラットフォームを用意する。
そこに教育用のデータベース、クラウドを用意する。

で、これを無償で全員に配る。
全員に配ったときにかかる費用は2万円かける1800万人で、3600億円。
これは、こないだから出してる事例ですけども、八ツ場ダム1本分で4600億円。
こういうようなダムを100本くらい日本中に作ってる。100本くらい作ってるダムの、高度成長を前提にしたダム建設というのはもういらないレベルまで来ているわけですから、それを1本くらいなくしても死にはせんと。国は。
だけど、日本の学生たち子供たちが高度な教育を受けれなくなったら、世界で競争力を失うような状況になったら、国があやうい。
いうことで僕は、3600億円を使うべきだと。

で、1回だけこれ必要なんですけどね。あとは毎年新しい新小学1年生が生まれる。毎年中学1年生が生まれる。ですから僕はまずは1回だけ、小学生から大学生まで全員に配って、すべての学生に電子教科書を配る。
これはある意味公的利用。
私的な利用であるゲームやりたいとか、ネットをいろいろみたいとか、そういうのは私的なものとして、PCだとかiPadだとかいろんなものを使えばいいと思うんです。従来どおり。
でも公的なサービスとしての教育というものにおいては、教育教材をふんだんに、さくさくと楽しむためのものについては国が配ってもいい。
で、1年生から受けた人は小学校6年間やって、中学1年になったら機種変までタダでついてくる。
携帯会社の社長が機種変までタダで来る、というとなかなか微妙な話ですけど。

佐々木:
ふふふ。そうですね。

孫:
国が、機種変まで中学1年生になったらあげます。
というサービスをやったとしても、毎年生まれる小学校1年生、中学校1年生は合計で約200万人。
200万円かける2万円は400億円。
つまり1回だけ、ワンタイムで3600億円で、あとは毎年の予算は、少なくともこの電子教科書としてのハードの予算は、400億円で済む。
これはいま現在の教科書予算は400億ですね。
つまり今日現在の教科書予算の範囲でまわるというメリットがあると。

で、電子教科書になってどんな良さがあるんだと、というのがここからなんですね。

つまり、ツイッターでね僕は電子教科書大事だ、あるいは30年後の教育ってどう思いますか?と言ったらね、結局教育というのは、教科書というのは、感動を与える。学ぶ感動ですね。知る感動。好奇心を満たす感動。これは、人類が持ってる何万年の間前から持っている重大なエネルギーですよね。好奇心を刺激し、やる気をアップする。
佐々木さんの仰ったように、ただハコモノを、ハードだけを渡せば勝手に使うであろうというのは間違いで、僕もまったく同感ですよ。
それは葉っぱ村で、葉っぱ村と言っちゃいけないの?先ほどの葉っぱ村でいうと、それが収穫の競争というゲーム理論のような形になっていったから、競争でどんどん利活用するようになった。

教育においてもね、知る感動、これが紙の教科書よりも、紙の教科書にクジラの写真が載ってて、クジラはオギャーと一回鳴き声をあげると人間の言葉にして1000語くらいしゃべった情報量を発信してるんです、となんか聞いたことがあるけども、それを文字と写真だけで書いてても、「あ、そう」としか思わない。
でもそう書いてあって、そこを指で、電子教科書のクジラのところをペッと触ると、そのクジラがうにゅにゅと動いて、オギャーーーーーーーーっと一声叫ぶ。
あっそうかと、たったこの一声で人間語の1000語に匹敵する情報を、コミュニケーションをしてんだ。
おおおおおっ、と感動すると思うんですね。

そういう感動を得られれば、そのクジラに対する教科書に書いてある内容がもっと深く刺さってくると。
教科書をもっと見てみたい。読んでみたい。

任天堂のDSで教える教材は、お年寄りも子供も競って漢字の練習だとか脳トレだとかやる。
面白い教材、感動する教材、競争する教材になれば、はるかに教科書は、紙の教科書のときよりはレベルが上がる。僕は思うんですね。

でもその電子教科書が、ただの動く紙芝居のような状態では、僕は面白くないと思う。そうではなくて、クラウドの側に日に日に新しい教材を日本中の小学校の先生が、中学校の先生が、私が考えた理科の実験の教材はこれです!動画で撮ってUSTであげて、そこに日本中の同じ年代の中学校の理科の実験として参加してツイートする。USTで。
はるかに関心が、感動が湧く。

世界の小学生、中学生とお互いが感動を共有しあう。
するとつまらなかった勉強がとたんに面白くなる。

たとえば英語の学習。僕は中学の3年までと高校1年生の1学期でアメリカに渡りました。
中学校3年生と高校1年まで英語は大ッ嫌いだった。なんでこんなもの丸暗記せにゃいかんのか。
なんでこんな外国語を俺が覚えにゃならんのか。
大人になって何か使うのか。
ということを自分で言いながら、全然面白くなかった。
英語の教科書を読むたんびに寝ちゃうというぐらい、嫌いだった。
だけど、アメリカに行こう。「竜馬がゆく」を読んで15歳のとき。竜馬が行けなかったアメリカに俺は行く。行ってみたい!

行ってみたいと思った瞬間に、英語の学習は自分から、親から教師から言われなくても自分からやりました。
自分からやるから、行ったらは面白い、もう狂ったように勉強しました。

でもね、そのときに日本の中学校で学んだ英語の発音が、いかに無駄だったか。邪魔だったか。
和製英語で、全然発音が違う。言っても通じない。
教科書に書いてある発音記号があるじゃないですか、あの発音記号を覚えること自体が僕はナンセンスだと思う。そんなもの覚えるくらいなら、生の発音、さっきのクジラのオギャーーーじゃないけど、生のアメリカ人がイギリス人がしゃべってる発音そのまま聞いたほうがはるかに正しい英語を、最初に聞く発音として耳に入ってくる。

紙の教科書で与えることのできない正しい発音、正しい中国語の発音が得られるということは、紙の教科書で得られないはるかにすぐれた機能の増強だ。

歴史の教科書も、歴史の年代を覚えるのは丸暗記するのは語呂合わせを覚えるのも大ッッッ嫌いなんですよ。
だけど、僕大人になって、歴史モノのドラマを見るなんて大好きですよ。
日曜日のたんびにギャーーーとか騒いで、龍馬伝とか見ている。

そのくらい僕は歴史の興味、15歳以降は歴史に対する興味、関心、ものすごく高いわけですよ。

でも歴史の教科書で一度もそういう興奮を覚えたか。感動を覚えたか。一回もないわけです。

だから紙の教科書で与えられない歴史の年代の語呂合わせの丸暗記ではなく、前後の背景の、ドラマチックな背景があれば、はるかに歴史が面白い。歴史のそういうものが動画で見れればと。ね。日本中の世界中の人々が、先日も僕は中国に行って帰ってきたばっかりですけども、万里の長城が2500年かけて、あの6000kmもあるそれを作ったんか、ってみるともう感動するわけです。秦の始皇帝が始めたとかいったら、「おおー!」とか思って。そういうのが動画でガーっとね、見れて、その歴史的背景がドラマとして見れれば、(そらのさんがカンペを出して)もういいよ、見せるな色々。ふふ。ね。ようするにそういう感動を共有できれば、教科書だって、おもろいやんけ。だから紙の教科書にこだわる、というのは僕はナンセンスだと。そもそも木を切り倒す事自体がエコに悪いというふうに思うわけですね。さっきのパピルスとか竹の竹管みたいなのからすると、まさに、電子の、まあ佐々木さんだってね、「デジタル書籍の衝撃」みたいな本を最近出したでしょ。

佐々木:
そうですね。

孫:
僕あれ帰りの飛行機の中で読んだんだよ。帰りの飛行機の中で、眠たいのに時間ないのにね。こう、巌流島行くのにちょっと予習しておかなきゃいかんと。

佐々木:
はははは。そうですか。

孫:
なかなかいいことかいてるじゃないですか。

佐々木:
はははは。

孫:
あなたも志、僕と一緒だと思うんだけど。

佐々木:
そうですね。ただね、仰るのはすごくよく分かる。僕はすごく全面同意なんですけども、ただ、そこで全面打ち出すべきなのは、やはり電子教科書がどういうようなコンテンツか、ということに加えて、どのようにシステム、どのようなサービス、どのようなクラウドで動くのか、というところをもうちょっと語っていただきたいと思います。

孫:
だから、それをね、今日、僕材料作っていますから見ましょうね。ちょっと映してくれ。例えば、さきほど歴史の時代の背景、その誰が、どうやって幕末、何が起きたんだ。なぜ、倒幕しなければいけなかったのか、というようなことが、ドラマとして、主人公がいて、ヒロインがいて、それで、「おかよう(?)」わーとか泣くとか、涙流すような感動があるとおもう。NHKには国民のみなさんの視聴料で、みなさんの視聴料で成り立っている国民のテレビ局っていってるんですね。国民から一回視聴料をもらっている。もらって作ったドラマとか、素晴らしい映像のライブラリがいっぱいあるわけですよね。これ、あんまり使われていないわけですよ。NHKの動画のアーカイブセンターというのがなんか箱物でどっか、どこだっけ?国立かどっかどこ?

佐々木:
川口です。

孫:
川口、あるらしいけど、いったことある?僕いったことない。ほとんどの国民がいった事ない。99.9%の国民は、国民の視聴料で成りたって、作りましたっちゅー過去に作った映像を一度もみてない。ナンセンスでしょ。そんなアーカイブの過去にある動画の映像は100%電子教材として、電子教科書に無償で開放すべきだ。もうすでに、国民の視聴料で1回使った教材だから、追加コストゼロなんです。追加コストゼロで、突然、教科書が面白くなる。NHKの中には、フランス語講座とかね、中国語講座とかね、みんなで楽しむ英語講座とかね、いっぱいあるわけです。生命体の不思議とかね。素晴らしい教材がいっぱいあるんだと。教育に向いていますよ。新たにね、いっぱいお金をかけて国費で作るなんてナンセンス。そういう世界に誇る、日本の動画教材がぐしゃーっとあって100%過去何十年分を全部、教材クラウドの中に入れてしまう。電子化して。そしてそれがすべての学生に。

佐々木:
まあ、それは素晴らしい。ただ、それをやるためには相当大きなエコシステムを作らなくちゃいけないですよね。

孫:
必要なものは2つですよ。ひとつはクラウドのためのサーバーシステムですね。もうひとつはクラウンドからリアルタイムでいつでもハイビジョンクラスの動画が瞬時に、例えば電子教科書に瞬時にスパンスパンスパンとやり取りできると。それに対して、自分がTwitterに対してツイートできる。

佐々木:
孫さんが仰る教育の仕組みっていうのはなぜか機械と1対1で相対しているイメージで、教育ってそうでなくて、ソーシャルなんですよ。学級、クラスってものがあって、その中に先生がいて、その周囲にクラスメート、子どもたちがいて、その中で全体としてどういうよなコミュニティを作り、その中でどのような教育をしてしていくかっていうことがけっこう重要なんですね。

孫:
それはまったくそうですよ。ですから、先生がいて、電子赤ペン先生のようにして、先生が自分の40人の生徒と自分のクラスの担任の先生が、自分の学生が、学生を24時間モニタリングする必要はないですよ、自分のクラスの学生が、電子教科書の国語の何ページ目で引っ掛かっているとか、いま何ページ目を読んでいるとか、そこの問題にどう答えたとか、フリーハンドで手描きでそこにスタイラスで書き込んだ状態を読んで、そこに赤ペン先生で書きこむとか。少なくても電子教科書について見たい先生はいつでも見れる状態にあると、モニタリングできる。そこでコミュニケーションできるというのは、生徒にとっても先生にとっても素晴らしいことだと思う。

佐々木:
だからそこの文化とか、そこのコミュニティ形成をどうするか、ってのは実はそっちのほうが重要だと思うんですよ。

孫:
仰る通り。それは僕は全然否定しません。それは役割分担ですよ。我々はインフラ側として、世界に誇れるインフラを作らなくてはいけない。先生の側は、世界に誇る電子レベルの、21世紀の先生として、お互いに切磋琢磨しながら、競いあって、素晴らしい教材ができた、素晴らしい教育マネージメントの手法ができた。

佐々木:
それは違います。あのね、先生はもちろんリテラシー大事ですけど、先生はそんなリテラシーが高い先生はあんまいないので、実際にはリテラシーの低い先生であっても、そういう電子教科書をベースにしたコミュニティだとかプラットフォームに入り込んでくれるような基盤をきちんと作ることが大事なんですよ。

孫:
僕はね、先生の潜在的能力が低いとは決して思わない。

佐々木:
リテラシーが低いですよ、めちゃくちゃ。

孫:
リテラシーが低いとも思わない。電子教科書は別にね、詳しいソフトのプログラミングができる必要は全然ない。

佐々木:
そういうレベルじゃなくて、あくまでもクラスの中でITをどう活用するのか、という部分を、ITをベースにしたコミュニティをどう形成するか、たとえば、いまの先生とかほとんど携帯のモバゲータウンとかをそういうやってなかったりして、しらないんですよ。どういうふうなソーシャルな活動をされてるのか。だから、そういうところに、うまく先生を巻き込んでいくには、決して先生がプログラミングするとか、そういう話ではなくて、そういうようなことを知らない先生にも、きちんとクラスコミュニティを維持形成できるような、基盤を提供することが一番大事だと、その提供を作れるようなシステムを、それを提供できるようなプレイヤーがどこにいるか、それをちゃんと育成すると、そっちのほうが僕は大事だと思うんです。

孫:
僕は全部大事だと思います。インフラ側としてのブロードバンドも必要だし、プラットフォームも必要だし、先生のレベルアップも必要。

佐々木:
孫さんの話を聞いていると、インフラ屋さんなのでどうしてもインフラの話にシフトしちゃってる。

孫:
いやいや、だからいま教材の話をしてるじゃん。

佐々木:
いや、だから教材のコンテンツとインフラと、両方があればなんとかなっちゃうと思っているところが僕は間違っていると思うんです。実は、真ん中の辺のほうが重要です。どれも重要ですけど、孫さんの話でいうと、どうも真ん中のほうの話が欠落しているように見えてならない。

孫:
それはね、僕の話全部まだ聞いていないから。いちおうもう少し用意しているの。ようするに、クラウドの側にね、ITってなんですか?それは、ITのレベルがまだよちよち歩きの人はまだ普通の人にはむつかしいものだったんですよ。もういまiPad使っています?

佐々木:
使っていないです。

孫:
僕はもうiPad使っていますけど、ものすごく簡単です。フルキーボードなんて、普通の作業やる分にはまったく不要で、ただ触って、ページをめくると、これで電子教科書できたら、本をめくれる人は全員、電子教科書をめくれると。

佐々木:
それは、いわゆるデジタルデバイドですよね。かつてデジタルデバイドっていうのはコンピューターが触れるかどうか、ネットが使えるかどうか、ってとこにある種のデバイドがあって、格差が生じるって話だった。それはたしかにいまのiPadとかiPhoneとか、あるいは最近のパソコンとか、使いこなすことに苦労していることはほとんどいなくなってきている。ただし、いま一番起きているデバイドっていのはソーシャルデバイドなんですよ。インターネットというのは実は単なるツールでなくて、人と人が繋がり、そこの何かのやりとりが行わる、そういう権益がどんどん生じてきているのにも関わらず、日本の多くの人は、例えばTwitterはこんなに流行っているにも関わらずしょせん800万人くらいしかいない。残りの9400万なんかはTiwtterなんかやってないわけですよね。そういうところに、実はソーシャルなデバイドが生じてきてしまっている、それらをつかこなせない。要するに人と人が繋がるというインターネットの最大の特質をいかしてない人がたくさんいるわけですよね。その人たちにどうやってソーシャルな権益の中に持ち込むかっていうことを本当は考えなければならない

だからiPadが使いやすいのも認めますし、エクスペリアンスに感動しましたけど、最初見て、ただそれだけだと足りないわけで、やっぱりまだ欠落するピースがいくつかあるんですよ。
それは欠落すピース考えていただきたいなと。

孫:
仰るとおりね、一つ一つの部分部分のピースがあって、部分部分のどれかがひとつ欠けただけでは新しいものは成り立たない。というのはまったくそのとおり。
まったくの同感。
これがないからこっちもやらない、あっちもやらない、というのは、

佐々木:
それは僕もそうは思わないです。

孫:
だからそれぞれが役割分担をして、僕は教育の専門家だというフリをするつもりはない。
教育の専門家が何十年も百年も積み上げてきたノウハウと、その知恵と経験というのはすばらしいと思う。
その教育をする、小学生のね、おちこぼれそうな生徒にも一緒にやる気を出さす、引っ張り上げる。
先端を進んでいる生徒にはさらにやる気を出させる。そういう苦労は、これまで何十年もそれをやってきている。
その先生方のノウハウを僕は非常に高く評価する。

そのノウハウを21世紀のプラットフォームに、21世紀のパラダイムにぜひ生かしてもらいたい。
ハードウェアとしてのデバイスはハードを設計する人が一生懸命いいものを作らなきゃいけない。教科書は教科書で、クラウドはクラウドで、それぞれが役割分担をして、たとえば5年なら5年というターゲットを決めて、5年の間にどっちが先か後ではなくて、5年の間に並行して皆が役割分担をして、みんなで神輿を担ぎましょうと。

佐々木:
そうですね。
だったら僕は孫さんに期待したいのは、インフラの話ばかりされるのではなくて、じゃあ欠落しているピースするいっぱいあるジグソーパズルのピースの部分に、はまり込めそうな人にちゃんと声をかけていただいて、そこで一つの新しい教育のシステムを作るということを一大勢力を作っていただきたい。

孫:
仰るとおり。僕が自分が専門でもないけど、電子教科書ナントカというようなのに率先して参加して、もうじき議員だとかだいぶはいって何百人のその専門家だとか議員だとか、学校の教育委員の人とか大学教授とかが入って、その電子教科書ナントカという、それができると。僕にもそのメンバーの1人として入ってくれ。
今度そのレクチャーするような講演会で僕にも1回話をしゃべってくれと言うから行きますよ。

僕は教育の専門家ではないけども、インフラを作る側、プラットフォームを少しでも助力する側から、もしそういう、インフラができて、教材、クラウドができたとしたら、どういうことがどういう道具立て、そろった道具をどう活用して、教育にいかすかというのは、教育の専門家にやってもらわないといけない。

佐々木:
そうですね。
あともう1個大事なのは、さっきのITゼネコンがしゃしゃり出てくるわけですよ。それを排除するかどうかで、すごい重要なタイミングだと思うんですね。
実際日本の教育は電子黒板があって、これははっきり言ってクソみたいなもんですよね、

孫:
話にならん。

佐々木:
で、それを作ったのが国産のベンダーなわけです。そういう連中を排除して、海外のものでも、アンドロイドとか、オープンプラットフォームで素晴らしいアプリケーションがどんどん入ってくる。

孫:
単純に1台2万円の電子教科書、iPadのようなね、生徒が持つものと先生が持つもの、まったく100%同一のものです。
先生が持つものも生徒が持つものも、それがプロジェクターにつながる。プロジェクターで白い壁に映したもの、白板に映したものは、それこそ電子黒板なわけです。電子黒板のハードを、センサーを入れて、1台50万も100万も300万もするようなものを作って、それこそITゼネコンが作って、そういうものを売り込もうなんて、いやしい考えというのは僕は大反対です。

それこそ純国産で一部の国費を当てにした人たちがやるようなことっていうのは、まったく国民の税金の無駄金遣いですよ。

佐々木:
そうですね。
消費者目線がまったくない。

孫:
1台2万円で、ただプロジェクターなんてこれまた1台1万円とか2万円のいいプロジェクターありますよ、ただ投影するだけですよ。
それが電子黒板ですよ、僕に言わせれば。

佐々木:
そうですよね。今の電子黒板はその程度の機能しかないんですよね。

孫:
今の電子黒板はただ映すというだけで、それがなんのアプリケーションも走らない。
何でそれがわざわざコミュニケーションのツールにもプラットフォームにもなってない。
電子黒板を家に先生が持って帰れるわけでもない。

佐々木:
そうですよね。

孫:
ところが、電子教科書がシンクライアントとして、シンクライアントというけども、メモリ容量64Gバイトとか120Gバイトとか入れていいと思うんですよ。さらにローカルにどれくらい入れられて、なおかつ、もうじき5年もすれば1テラバイトになってもいい。
シンクライアントに1テラバイトくらいのものが入って、それでなおかつクラウドに無限大の情報が入って、それが瞬時にスパンスパンとハイビジョン動画がやりとりできる。というようなものができたら、こりゃもう無限大の教材が入る。しかも双方向になる。先生と生徒が、落ちこぼれそうな生徒に対していろんな救済ができる。
だからそういうものを僕らはやっていかなきゃならない。それが役割なんだ。

電子教材の話、たとえば教材の一つとして、僕に言わせれば、今まで何十年間かけて何千億円かけて積み上げた動画のドラマだとか素晴らしいものを提供する。
それだけでいきなり教科書がすごいものになる。

佐々木:
そうですよね。

孫:
これでNHKの会長も、NHKの職員も一人も反対しないと僕は信じてる。

佐々木:
うん、まあ反対はしないでしょうね。

孫:
ね?彼らも教育用に使うのに何も恥ずかしいことはないじゃないか。
もう一回視聴料もらってる。
どこにも恥ずかしがらずに、どこにも躊躇せずに、スパッと気持ちよく出すべきだと思うんですよ。

もうそれだけでね。
今まで教科書に載ってる教材は100%入れるわけですよ。
紙の教科書に載ってるぐらいのページは全ページ当然入りますよね。
過去の問題集も全部入ります。
参考書にあるようなものも全部入ります。
おまけに動画も全部入る。
世界中のものが、Wikipediaにも全部つながる。

素晴らしい感動的な教材ができる。

次に、それは教育の点。
クラウドについても
僕はクラウドの側の、サーバーの側の今は非常に安く作れる。ものすごく安い。

佐々木:
ストレージもものすごく安い
ただし、クラウドも海外のクラウドしかないですよね。

孫:
最近はね、日本でもいろんなクラウド、提供するように、

佐々木:
プライベートクラウドとか、あまりレベルの高いクラウド
国内のクラウドは。

孫:
までもね、少なくとも、たとえばヤフージャパンで、微力かもしれないけど、非常に安い、月々1000円だか3000円だかちょっと忘れた、ぐらいでクラウドを安くヤフーの膨大な情報を提供するあのシステムを、クラウドとして、一般の消費者とかあるいは一般の中小企業が使えるようなサービスを、もう発表したかもうじきか忘れたけど。

佐々木:
でもスケールメリットがあれば、ストレージでかいほうが安価になるわけですから。

孫:
そうです。

佐々木:
そうすると海外のクラウドを使ってもいいという話になると思うんですが。
大丈夫ですか。

孫:
これは国をまたがって渡りにいくと、これまた遅延が起きて
コストが掛かったりしたりしますから、日本の中にそのクラウドのサーバーを置いたって、そんなにコストは、

佐々木:
海外のサーバーは、クラウドの遅延の問題はかなり解決してますよね。

孫:
だいぶね。
でもやっぱり無償で電子教科書を配って、無償で教材を集めて、これから続々としていくとしたら、願わくば、国内のクラウドの側が用意され、

佐々木:
さきほどはアプリケーションは海外でもいいと仰ったのに、クラウドは国産にこだわるのはなぜ?

孫:
いえ全然こだわらないですよ。
アマゾンが提供してるやつでも、Googleが提供しているやつでもまったくかまわない。これはもう是々非々で、一番コストが安くて、採算が成り立つものですればいい。少なくとも紙の教科書をずっと印刷しまくるより安くできる。

佐々木:
なるほど。

孫:
電子教科書のコストというのは紙に比べればはるかに安くなってきている。
教材についてはまずはそんなかたち。

次に同じようにクラウドとして医療の部分。
2大部門。教育と医療が2大部門。
もういっこの電子カルテのほうをちょっと話ししますね。

ちょっと映してもらえますか。

たとえば電子医療として、今まではさっきの話にあったように、一部の病院で、少しお金に余裕がある病院、あるいは先進的な病院が、院内で電子カルテをやっています。
でもそれは一つの病院の中だけで閉じた、たんに紙のカルテを電子に置き換えたという程度にしかすぎない。
これがクラウドになった瞬間に自分の病院と別の病院、日本中の病院が全部共通の電子クラウド、医療データベースにつながるという状態になったならば、たとえば僕が肝臓を以前患いましたけどね、ひとつの病院にいってもなかなか治らない、よくわからない、別の病院に、セカンドオピニオンに聞きに行く、そこでも不安だ。3つ目の病院に行く、4つ目。3つ目、4つ目、病院行くたんびに、おんなじ問診されて、毎回レントゲンとられて被爆して、毎回余計に費用がかかって、という形になっているわけですけども。これがクラウドになったら、一箇所の病院でとったレントゲンは、共通に使えると。

佐々木:
そうですね。

孫:
ということで、医療の重複診断、重複検査、のコストというのは物凄くあるとおもうんですね。これから高齢者医療になってくると、やっぱり健康とか命というのは最後のテーマですから、そこに対して何回も重複診断というコストと、何回も事務的なコストという無駄が、僕は全体の医療コストが約3割あるという風に僕は思っている。

佐々木:
孫さんが仰ったたぶんEHRってよくエレクトリックヘルスレコードの話だと思うんですけど、いまさらに先まで進んでいて、ようするに電子カルテを各病院でネットワーク化するだけではなくて、それに加えて、患者ひとりそれぞれが、自分の生活の中で、例えば体重測ったりとか、血圧測ったりとか、そういうような健康情報も一緒にクラウドに上げてしまうという、それはパーソナルヘルスレコードPHRというんですけど、そっちの方向に進んできている。それが重要ですね。

孫:
そういうページもちゃんと用意しています。

佐々木:
分かりました。

孫:
ちょっと見てみよう。ちょっとページをお見せして。これが、まず電子カルテとして、光の道がある。田舎のおじいちゃんちにも繋がっていると。おじいちゃんは黒電話の電話代しか払っていないけど、さきほど言ったとおり、家の内壁に入っているアダプタがWifiをふいている。無線をふいている。そのWifiの無線で往診にいったときにお医者さんは病院の中にいるのと同じレベルの情報データベースにクラウドを経由して診断ができる。独居老人が440万人いると。この独居老人のところに往診にいったときに、まさにこういうものが威力を発揮する。安心・安全な高度な医療体制が実現できる。次がさきほどからいっているクラウドです。日本中の病院が自宅から、そして公共の施設からあらゆるところの医療情報が、ローカルの自分の病院の中だけに閉じるのではなくて、共通のクラウドとして入る、ということで例えば診断、診療情報、病歴、電子公証、あるいは、薬を提供した過去の履歴、検査の画像、診療の点数とか、で、お医者さんの中にはキーボードが苦手だと、そんなもん時間がかかりすぎる、ですから、ペンで書く方が楽だ。そういう先生にはスタイラスで、電子ペンで電子カルテの上に、ちょこちょこちょこって書いてもらう。従来通り書けばいい。従来通り汚い字で書く人は汚い字のままとりあえずイメージファイルが残る。まあ、綺麗に書けば文字認識できないようなものでも、少なくとも、与えた薬のレ点チェックくらいは認識がちゃんとできると。たとえばMRIでとった画像がそのままクラウドに自動的に入る。クラウドに入ったMRIの映像やレントゲンが、電子カルテで瞬時に引き出せると。そういう状態が日本全国で統一クラウドということで、全部の医者にこれを配るというとこがミソなんです。さきほどのように、すべてのひとり残らずの学生に配るのと一緒で、ひとり残らずのお医者さんと看護婦と介護士と、それから医療事務に関わっている人全員に、ひとり残らずさっきの電子教科書と同じハードウェアでいいんです。ハードウェア的には。同じハードウェアが、すべての医療関係者に無償で配られるというのがミソで、その無償で配られた電子カルテは、自動的に無償で電子クラウドに自動的につながるというところがミソなんです。ということで、共通データベース化ができて、コストダウンができる。しかも、この費用は1台2万円で、さっきいった電子教科書と同じ、300万人のすべての医療関係者全員にタダで配ってたった600億円なんです。たったの600億円。なぜたったといってるのかはあとででてきます。これを配るということであります。これで3割くらい重複しているような重複診断、検査、問診、事務費用が削減できるということなんですね。しかも、さきほど佐々木さんも仰ったように医者だけではなくて、医者や看護師だけじゃなくて、このクラウドに対して、右側にあるように国民が自分のiPhoneから、自分の携帯から、自分のパソコンから、自分のiPadから、少なくとも自分の医療情報をはいつでも好きなだけアクセスできる。

佐々木:
そうですね。最近Wifi機能付きボディースケールとかもあります。
孫:
そうそうそう。

佐々木:
体重が自動的にクラウドに送られる。

孫:
血圧だとかね。私のおふくろもなんか血圧とか、糖尿病とか毎日、1日何回も検査していますよ。自分で。

佐々木:
でもこれ、この自動的につながるっていうのがすごく大事で、あのね、つまんないメーカーが作った中とかには、いちいち体重は買ったらそれをパソコンの前にいって、USBで繋いでみたいなのがあるんです。

孫:
仰る通り。めんどくさすぎて、けっきょくやらなくなる。ようするに、国が一括してトータルの医療クラウドがあって、すべての医者が共通でもっている電子カルテがあって、すべての医療情報が自動的に集まるとなると、そこが拠り所になる。それがまさにプラットフォームだと。さっきから佐々木さんが仰っている真ん中のプラットフォーム。医療に関わる、真ん中のプラットフォームというのは、すべての医者、医療関係者が、そこに集めてるというのが共通のプラットフォームで、これがバラバラに、医療機器メーカーや、製薬会社だなんだ、ってバラバラにやって、バラバラに病院がやると、けっきょくプラットフォームにならない。

佐々木:
そうですね。現状、電子カルテもすべて、規格ベンダーによってバラバラで、まったく共通化されていない。

孫:
結局ね、共通化をするということが、プラットフォームの鍵なんです。

佐々木:
そうですね、仰るとおりだと思います。

孫:
これがバラバラである限りにおいては、いつまでもプラットフォームにならない。日本人はさきほどね、プラットフォーム作るのは苦手だと仰っていて、そのとおりで、日本人はどちらかというと、少なくとも今までは、一人がこういう、別の人がああいう、いつまでも議論して、話がまとまらなくて、みんなが俺流にやります、私が、ここにあんな問題がある、あそこに問題がある、けっきょく自己流にばっかり走ってしまって、強いビジョンと高い志と、崇高なビジョンと、それに対する、強力なリーダーシップがないから、結局まとまらなくて、プラットフォームができない、ということだと思います。

佐々木:
そうですね。まあ、アメリカは実際にマイクロソフトがヘルスボールトっていうのを作り、GoogleはGoogleHealthのサービスをすでに出しているわけですよね。ひょっとしたら、可能性としては、そういうものを日本に持ち込んでですね、ローカライズすることだって十分あり得るかもしれないと思うんですね。

孫:
そうです。それは僕はなんでもありだと思います。それでね、プラットフォームつくるときっていうのは、強いリーダーシップ、誰かが強烈な思い込んで、スティーブ・ジョブズなんて、強烈な思い込みの男ですよ。恐ろしいくらいのね。もういやなるくらいの強烈な思い込みの男ですよ。でも、そのくらいの男でないと、強力なプラットフォームはできないと思う。

佐々木:
現状、それをやろうとすると膨大な数の法制の改正が必要で、医師会の抵抗をどうなぎ倒すのかとか、厚生労働省の頑固な役人どうやって説き伏せるのかとか、物凄いたくさんのハードルが立ちふさがるのは間違いない。

孫:
僕が日本の大統領だったら強引にやっちゃう。

佐々木:
そここそが、政治主導の本当の役割。孫さん、選挙に出られるんですか。

孫:
いや、それはないです。でもね、せっかく高い志を持っている政治家も何人かはいる。そういう高い志をもった政治家が何人かでもいるならば、やっぱり国民もね、ジャーナリストも非難するばっかりで、足を引っ張るばっかりじゃなくて、

佐々木:
それは僕のことですか?

孫:
いや、あんたのことじゃないよ。あなたは立派な人。ときどき褒めとかないと。でもね、本当に、みんなでね建設的に新しいプラットフォームを作ろう、日本のためじゃないかと。ね。その小異を捨てて、大きな志で担ごうと。小さな問題はもう誤差じゃないか。腹をくくってすすむということが、僕は大事だと思うんですね。プラットフォームというのはね。

佐々木:
そうですね。

孫:
それではもうちょっとページがあるので進めますよ。この共通のプラットフォームのメディカルクラウドのところには、さっきいったように、病院、医療関係者と、それから国民、ちょっと映してください。

国民が右側にいて、左側に病院、医者、看護師がいて、真ん中の下のほうに製薬会社。
製薬会社ってのも重要なミソなんです。
いままで薬を作るのに、せっかくいい薬ができても、許認可を得るのに何年もかかった。

佐々木:
そうですね。

孫:
5年も10年もかかってる。
その間に何万人も人が死んでいる?
新しい薬が使えなくて。

作って出した薬ですら、あとで副作用でアチャー、そういう事件がいっぱいある。
でもそれは、電子医療クラウドに製薬会社もアクセスできるようにする。
すると、薬の開発のスピードアップができる。作った薬の、一回新薬ができて、出し始めた直後が一番副作用が危険性がある。まだ枯れてない。
出したばかりの薬の副作用、あるいは効能がどのくらい効き目があったかと、あとあとその患者の100%の、のちのちの進捗状況が手に取るように製薬会社がモニタリングできる。

佐々木:
そうですね。どんな病気でどんな生活習慣の人がどんな薬を飲んでいるかというデータも取れてしまいますよね。

孫:
ですから、名前が何さんである、どこに住んでいるという個人情報は製薬会社に与えちゃダメだと思うんです。それは個人情報だから。
病気の中にはプライバシーを必要とする病気もいっぱいありますから、重要な病気がね。
ですからそういう個人情報は製薬会社には一切出さない。

だけど、68歳の、男性で、高血圧をわずらってて、糖尿病の人で、なおかつ腎臓の悪い人が、この新しい新薬を、まるまる3号という新薬を与えたら、23.1%の確率で血圧が3%下がったとか、

佐々木:
あんまり絞り込むと個人が特定できちゃう可能性があるんで、僕はプライバシー上注意しなきゃいけない。

孫:
もちろん。
それは何万人とか、何千人のレベル、そういうところまでの形での確率論を見る、という形で、製薬会社は薬の安全性を高める。
一回出した、許認可を与えた薬でも、ヤバイと思ったらすぐにそれを止めるとか。

医療クラウドが共通クラウドとして、日本の天下国家の共通クラウドとして、医療クラウドができたならば、製薬会社は薬の開発コストを膨大に削減できる。
薬の開発速度が、サイクルが著しくよくなる。
安全性が著しく高まる。

そうすると製薬会社は儲けをベースとして当然やるわけですから、医療クラウドにかかるサーバー側の費用や、医療データベースを使う製薬会社が利用に応じて払う。
そうすると国費はゼロで医療クラウドができる。

佐々木:
それは可能でしょうね。
僕もそう思います。

孫:
国費ゼロで製薬会社が一番喜ぶ共通医療データベース。
国民の一番よりどころになる安心のデータベース。
医者もタダでこれが使える。
田舎の小さなクリニックでも、田舎の小さな診療所でも、最先端の病院と同じだけの医療情報が持てる。
過疎地に住んでいる人でもかなりレベルをあげられる。医療サービスの。
僕はこれ大変な進化だと思う。

もう一つは医者そのものが足りない。という部分がありますよね。
そこで遠隔医療。

光の道が日本の過疎地まで含めて、隅々の村でも、離島でも、光の道がつながっているという状態であれば、遠くのところに住んでいる病院の、旦那さんが脳梗塞で倒れた、半身不随になった。
奥さんが介護している。その日々の状況を奥さんが心配しながら旦那さんが介護している。
今日、ちょっと口から泡吹いた、どうすればいいんでしょう。

不安でたまらない奥さんに対して、東京の、あるいは大阪の最先端の専門の脳梗塞のお医者さんのところに相談ができる。
過疎地にいても遠隔医療で医療の格差が少しは縮まる。

完全にとはいいませんよ。完全になるなんてことは一回も言いません。
少しは緩和できる。今よりも改善できる。

ですからこれが医師訪問も減るだろうし、コストも減ると。

佐々木:
ただまあどうしてもそこで話が孫さん光の道にもっていきたいんだけど、光の道は必要なパーツではありますよ。そこは実は今問われてる問題じゃないわけですよ。
だから必要条件の1つですけど、一番難関であるのは、もっと実は既成の既得権益ですよね。
その部分を突破しない限りは、どうやったって無駄じゃないですか。

もちろん両方ですよ。必要ではあるけれども、かといってそこを突破すればなんとかなるという話ではなくて、どちらかというといま最大の問題はこっちなんです。
優先順位の話だと思うんですけど。

孫:
両方だと思います。
5年をターゲットに、2015年をターゲットに、

佐々木:
逆に言うとね、そこで孫さんがインフラビジネスする孫さんはあまりにもインフラが必要であることを強調されすぎることによって、せっかくの素晴らしい電子カルテのプロジェクトの話が、なんだよ結局ソフトバンク儲けたいだけじゃないか、という話に持っていかれるという心配がある。
これは僕は戦略として間違ってると思う。

孫:
いやいや。

佐々木:
そうじゃなくて、インフラはもちろん必要だけど、そうではない今の既得権益をどうやって打破し、そこをどうプラットフォーム化するかを重要なんだ、全面的に展開されたほうが、ソフトバンクの理念としては、単にビジネスとして儲けるためだけじゃないということを言えるほうがいいと思うんですよね。そのほうが人に伝わると思いますよ。

孫:
あのね、言い方の是非はあるかもしれない。
僕は間違いなく日本にとって必要だと思って言ってる。
わが社にとって必要だという次元で言ってるつもりはない。

少なくとも我々は光のお客さんはほとんど持ってなくて、メタルをベースにしたADSLのお客さんが何百万人もいる。
メタルをベースにしたおとくラインのサービスのお客さんを何百万人も持ってて、そのために今まで4000億もお金をつっこんで、4000億もいっぱい赤字を出して、これまでつっこんだお金を一回ご破算になるんですよ。
それはある意味辛いんですよ。
上場会社の経営者としては。

非常に怖いことでもあるわけです。
光に乗り換えるということは、一回いままで投資した設備投資の、メタルを前提とした設備投資のADSLのまだ万全であるようなものをがしゃっと償却しなきゃいけない。
それで光のベースになったらそれを取り戻せるなんて保障はどこにもない。
たとえばグーグルだって参入できちゃうんです。

佐々木:
仰るとおりなんだけど、現実には孫さん結局儲けるだけじゃないか。
もちろん企業経営者なんだから儲けてあたりまえなんだけど、その批判は当たらないとは思うんだけど、一方で光の道という国策に乗じて何かやろうとしてるっていわれちゃうのも事実なわけです。

孫:
批判をする人は常にいつまでもいう。

佐々木:
まあそうなんだけど、ただし無駄な批判を招かないためには、もう少し何が重要なのか、もっと打ち出されたほうがいいってことです。

だって今回のタスクフォースのヒアリングでも、間のプラットフォームの話なんて一切されてないですよ。インフラが
そうなんですよ。

孫:
15分の中ではしょったからずるしたとか言われちゃったりするわけですよ。
そのことの説明もしなければならない、ビジョンについても言わなきゃいけない、これだけ今、無制限一本勝負だから言ってるから思う存分しゃべるけど、15分の中で今言ったような話を全部言えますか?

佐々木:
まあそりゃそうですね。

孫:
だから僕は、今日は不満がないようにトコトンしゃべる。朝まででもやりますよ僕は。3日でもやりますよ。

佐々木:
ふはははは。

孫:
だから思う存分しゃべるから、言わせて頂戴。

佐々木:
わかりました。

孫:
何もプラットフォーム、光を引きたいだけだなんて、ちょっと待ってくれ。たいがいにせいと。
僕は思ってるわけですよ。
だから、僕はあわせて利活用のことまで話してるじゃない。
少なくとも共通の医療クラウドができて、ということになると、電子カルテが本当に生きる形になる。
製薬会社も使えて、自宅からも看護してるおばあちゃんもやれるようになる。

それからここをちょっと見てください。

Aという病院、Bという病院。
さっきのアップロードする、ダウンロードする。
今までADSLはダウンロードには強いわけです。
でもアップロードも同じくらいの強さを持たないと、クラウドのサービスはできないわけです。

だから僕はメタルをベースにしたADSLでは、今まではそれなりの役割を果たしたけども、今から10年後20年後30年後のことを考えると、そろそろインフラもパラダイムシフトしなければならない
そうでないと、クラウドをベースにしたパラダイムを迎えられない。

クラウドをベースにしないと、所詮ローカルの病院の中だけの事務改善になっちゃう。

佐々木:
クラウドの話とインフラの話はそこまで強烈には引力してないですよ。
もうちょっと切り離さないといけませんよ。

孫:
そんなことはない。
ようするに、クラウドに医療情報が全部入る。たとえばレントゲンの情報、MRIだ、レントゲンだ、脳の中に腫瘍があるのかどうか、血管が詰まっているかどうか、これは高精細な画像じゃないと見落とすわけです。

佐々木:
そうなんですけど、これくらいのレベルであれば、MRIのデータとかね、別に現行の3Gで全然大丈夫なわけです。

孫:
やっぱり遅いですよそれは。
僕はただでさえ遅い遅いって毎日言われてるんです。

佐々木:
じゃあLTEでも別にいいじゃないかという話になるんですね。
だから、もちろんそれはLTEでどこまで大丈夫なのか、3Gじゃ足りないという議論が細かくあるかもしれないけども、でも、たんに電子カルテを無線化するというだけであれば、別にそこにFTTHを持っくる必要はあまりないわけだし、だから議論はそこから切り離さないとダメじゃないか。
逆に言うとインフラ論に行き過ぎると、電子カルテのことが理解されなっちゃうと思うんですけど。

孫:
インフラ論のことはね、もう一回あとで最後に言いますけども。今はじゃあ利活用のことを集中していきましょうか?

少なくともクラウドをベースにした医療システムにならないと、結局所詮ローカルの閉じられた、病院の中で、

佐々木:
それは仰るとおりだと思います。
それは僕もそう思います。

孫:
クラウドの医療については、賛成ですね。

佐々木:
そうです。

孫:
クラウドの医療にして高精細な画像になることによって、脳梗塞の見落としだとか、がんの見落としだとか、少なくともいくらかは減る。
それから読影医師が、専門の読影医師、僕は読影医師は特殊な技能だと思う。読影医師は朝から晩まで読影だけに集中したほうが、より専門性が高まる。

しかも脳梗塞専門の読影医師とか、がん専門の読影医師とか、朝から晩まで10万枚くらい、がん専門の、胃がん専門の読影医師。
脳梗塞、脳腫瘍専門の読影医師がいて、そればっかり集中すれば、本当に専門性が高まる。

それをするためにはやっぱりクラウドじゃないと無理なわけです。
佐々木:
それは仰るとおりです。

孫:
そういう専門の読影医師を田舎の診療所まで全部配置するなんて絶対不可能。

佐々木:
各地の拠点においといて、それを遠隔地で見る。
ピンポイントではできていますよね。

孫:
あるいはそれぞれの病院のローカルに居たって、クラウド経由で見れる。別に東京に全員集める必要はない。

佐々木:
クラウド化にすることによって、専門の治験とか、あるいは医療というのを面展開というのはこれはすごく大きいと思います。

孫:
だからそれは専門性がより高まって、医療のレベルが上がる。
コストダウンができる。
MRIの機械の稼働率も上がる。

で、詳しい医者から新入社員のような、見習い中の医者にも指導がレベルアップする。

それで医師の不足の緩和にも役に立つ。

佐々木:
2分くらい休憩を入れましょうか。

孫:
休憩?
トイレいきたい?

佐々木:
疲れた。

孫:
俺は疲れてない。
じゃあ5分やりましょう。

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