【全文書き起こし】自然エネルギー普及への並々ならぬ思い!菅総理、孫社長ら参加オープン懇談会Part2

自然エネルギーに関する「総理・有識者オープン懇談会」の書き起こし/文字起こしPart2です。
※内容が長いので、5~6回に分けてアップ予定です。

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自然エネルギーに関する「総理・有識者オープン懇談会」

 

以下本文

<小林氏>
よろしくお願いします。僕も今日、有識者という看板が一応あるのですが、そういうつもりではなくて、やっぱり国民の一人としてここに参加させてもらっているんですけども。今本当、岡田さんが言っていた様に、僕もですね、これからは、これからの未来は、今までの様な……今までの様な消費型の社会じゃなくて、循環型の社会になっていかなければならないんじゃないかと考えています。

採取して生産し消費し続けるっていうことに依存するっていうんではなく、僕らが生きている、もしくは、生かされているということに自覚を持ってエネルギーや食などのサイクルを自分たちでコントロールしていくということが、循環型社会に繋がるし、それこそが環境で言われている「持続可能な社会」を創っていくのではないかと思っています。

そして僕らは動物ですから、命をいだだかないと生きてはいけません。
命もまたエネルギーだと思いますけれども、ほとんどの社会生活は、エネルギーを使うことで成立しています。僕らは、命やエネルギーの循環が、もっともっと見えるような社会になった方が、そうする必要があるのではないかと思っています。

もともと僕たちは命を授かって、多様な生物や自然そのものと繋がり、補完しながら、補完し合いながら生きている存在だと思うからなんです。

僕はもちろん、自由競争という人間社会のルールは、芸術や科学、スポーツや文化を発展させて行くし、人に、生きていくそして行動することのモチベーションをもたらしてくれると思いますし、それは人間の喜びでもある、未来を切り開いていくことに繋がっていくとは思います。

しかし、その競争が行き過ぎて、道徳の無い、勝ち負けだけが肥大していくような社会、そういう世界は、結局大きな争いを産んで来たのではないかと考えます。

我々の世界では、まだまだ様々なところに争いが存在しています。因果応報という言葉がありますが、そもそも今世界は、既に循環を、もうずうっと続けているのではないでしょうか。

その流れから抜け出すために、つまり、正しい循環型社会を創って行くために、一人ひとりや、小さな集合としての自覚や責任が重要となってくると思います。

食やエネルギーなど、地方自治や小さな繋がりの中できちんとコントロールしていく、そうすることによって、人々は、大きい…というか強い、経済の流れだけに、それによる豊かさに依存するのではなく、それぞれに合った、本当に必要な豊かさというものを手にすることが出来るのではないでしょうか。

一人ひとりの市民として選んでいくことが出来る、自然エネルギーを中心とした新たな社会づくりが、これからの世界に於いて、そしてこの震災後の日本からスタートさせるべきではないでしょうか。

そのためにも、国の方針としてなんとか、全量買取制度などの…まあ送電線の問題など色々クリアすることで、なんとか、自然エネルギーを我々が使えるような道筋をつくって行ってほしいなと思っております。ありがとうございました。

<司会・藤沢氏>
ありがとうございました。さあ、それではここでビデオでご参加頂きます、坂本龍一さんのメッセージをご紹介いたしたいと思います。準備の方は整っておりますでしょうか?はい、スクリーンの方をご覧いただけますと幸いです。

<坂本氏>
菅首相、皆さん、坂本龍一です。本日はこの様な機会を設けて下さって、本当に光栄に感じています。そちらに伺えないので、こういう形でメッセージを届けさせて頂きます。

あの…ご本人を前にしてあれですけれど、いわゆる「菅降ろし」ね、これは国民の大半は呆れて見てますよ。どういう人達がその様な事をしているかというのも、大半の国民には分かられてしまっていると思います。

大変な事故を起こして汚してしまった国土を、なるべく早くきれいにしていきましょう。

原子力っていうのは核を使ったエネルギーですから、核兵器も、原発も、同じ技術な訳ですよね。これを動かしてしまったという事は、僕はパンドラの箱だと思います。一度動かしてしまったら、非常に長い期間放射性物質が残ってしまう訳で、何十世代、何百世代後にまで禍根を残してしまうことになります。

この、放射性廃棄物の最終処分という問題も全く解決されて無い訳で、これはまあ一国で解決出来る事では無くて、世界の…それこそ英知が集まって考えて行かなければいけない事でしょうけれども。色々問題ありますけれども、やはり、このように危険な原子力というエネルギーに、私達は依拠するのでは無くて、ほとんど無尽蔵ともいえる、太陽から来るエネルギーに依拠して、国のエネルギー政策を抜本的に変えていくべきだと思います。

幸いにして、我が国日本にはその様な技術もあります。もう、技術は出揃っている訳ですから、今はただやってないだけですね。やれば必ず出来ます。そしてあの、例えば原発の様に、大きな発電所があって、それをケーブルで電線で、遠いところまで持って行くというのは本当に、非効率的なやり方ですよね。コミュニティコミュニティに、自給的にエネルギーを供給する事が出来て、それをインターネットの様にネットワークで結んでいけば、もっとリスクの少ない、安上がりなエネルギーの供給の仕方が出来ると思うんです。

幸いにして、我が国は島国ですから、そのようなモデルというものをつくり易いんじゃないかと思うんですよね。わが国で出来れば、世界の他の国でも「出来るぞ」ということを示すことになると思うんです。

広島、長崎、そして福島で、このように核の攻撃、そして核の事故というものを体験してしまった我が国日本だからこそ、世界に向けてそういうモデル作りというものを、21世紀文明としてリードしていく役割というか責任があるんじゃないかと、僕は思います。

長くなってもいけませんので、私の大好きな言葉で、明治の田中正造さんという方が日記に書き付けた言葉がありますので、それを読みたいと思います。

『真の文明は、山を荒らさず、川を荒らさず、村を破らず、人を殺さざるべし』

(深々と頭を下げて、)
菅首相、福島の子供たち妊婦さんを、助けてください。

<司会・藤沢氏>
坂本龍一さんからのビデオメッセージでした。
さあそれでは、最後になりましたけれども、ソフトバンク代表取締役でいらっしゃいます孫正義さんにお願いいたします。

<孫氏>
あの今、皆さんから素晴らしい話がありました。

僕も、福島のお子さんたち妊婦さんたち、またそれを抱える母親達の悲しみだとか苦しみだとか悩み…これを思うとですね、もう胸が締め付けられる思いでありまして。一日も早く、起きてしまった原発事故のですね、収拾を付けなきゃいけないと。中々、政府また専門家の皆さんがご苦労しておられると思いますけども、是非々々、これは何にも増して最優先にして欲しいと。

特に、学校、幼稚園…先日幼稚園で、僕の知り合いがガイガーカウンターで数値を量ったらですね、とても口に出せないような数字だったと。で、そのすぐ側でビデオカメラ録ってガイガーカウンターの数値量ってるそのすぐ側で幼稚園の子供達が遊んでいる訳ですね。で、量ったその彼らが、余りにも恐ろしい数字で、しかもそこで遊んでるお子さん達とその幼稚園の先生に言えなかったと。

もちろん政府の人間じゃなくて、一民間人でしたけども、彼らが量って来てこれをどう伝えたら良いのかということで、言うとパニックになるかもしれないという風に心配しながら、悩みながら言っていました。

まあそういう状況ですから「年間20ミリ」でも僕は問題じゃないかなと心底思ってますので。是非ですね、復旧問題も去る事ながら、既に起きてしまった事故の中で、お子さん達をどう守るかということを最優先事項としてですね、検討頂きたい。特に、内部被爆がやっぱり一番怖いので、外部を中心に量るガンマ線だけでは僕は、足りないんじゃないかなという気がしていますので、是非そこにも焦点を当てて頂きたいなという風に思います。

そういう事で、原発については色んな想いがあるんですけれども、また、その原発を即刻なのかあるいは時間をかけてなのかという問題はありますけれども、依存度はどっちにしろ下げて行かなきゃいけない、と。現実的に、そりゃ下げざるを得ないと。

今原発はそのまま使うべきだ、すぐ起こすべきだと言っておられる方も、もう一か所どっかで原発が破裂したら、これはもう問答無用でですね、全部を止めざるを得ないと。もう一発どっかで破裂しないとも限らないわけですよね。あと何年か先にですね。ですからこれは、原発を推進すべきだという人も、安全運転はしなきゃいけないということについては、誰も異論がないんじゃないかなと。

どちらにしろそうすると、原発依存度は徐々にでもあるいは急激にでも、下げざるをえないと。じゃあ下った時に電気が無くてこの国が持つか…ということで、僕も全然本業じゃないこのエネルギー問題についてですね、実は真剣に悩むようになって、悩んでツイッターでつぶやくとですね、そんなことお前が気にするよりも、本業で早くケータイの電波繋げと(笑)…といってツイッターでお叱りを受けるんでですね。なかなか僕も上場会社の社長としてですね、ケータイの電波を繋ぐのが最優先だという風に思ってはおるんですが、一方一国民としてですね、心配しているのは事実だと。自分のところの本業だけやって、あとはそしらぬ振りという事で本当に良いのかということを、悩み続けながら考えました。

そこで、じゃあ現実的な解決案の一つとして、自然エネルギーを、やはり日本で普及、広めて行くべきじゃないかと。門外漢なりに、素人なりに、にわか勉強でちょっと調べて、そういうまあとにかくですね、試しにでも何か作ってみらんとしゃあないと。

で、僕は門外漢だから、試しに僕自身もモデルケースを作ってみると。その上で何が難しいか、何が出来るのかということを体験した上でですね、それが行けるようであれば、もっと早くもっと沢山増やそうという事を今度は体験から言えると。

という事で、モデルケース作り。それを特に地方の自治体の県知事の皆さんにも一緒にどう思いますか?と言ったら、集まって頂いてですね。何日か前に、2週間くらい前でしたか、構想を発表しましたら「自然エネルギー協議会」というものを作ってみました。

そしたら、最初は19県の県知事で一緒に発表したんですけれども、翌日関西に加わっていただいて、7県加わって26県。で今はそれから更に増えて33県になりました。47都道府県のうちの3分の2の県知事がですね、一緒にやろうよという事で集って頂きました。

第1回目の正式な会合は、来月7月13日の午後に行う予定で、今その準備中なんですけども、もう既に第1回の会合の正式なそれの前に3分の2の日本の県知事が参加頂いたという事であります。

で、この自然エネルギーの中の代表例のひとつで太陽光があります。どこでもかんでも使える訳じゃありません。1日中使える訳でもありません。雨が降ったら使えないと、色んな問題はあります。ありますが、しかし、今皆さんご存知のように電力のピークは昼間、ですよね。で、このピークを何とかカットしないと停電になると。一番ピークの時にお日様出てくれているということで、もちろん雨の日は使えませんが、晴れてる日も多いと。せめて晴れてる日は自然エネルギーの一つとして太陽使えるじゃないかと。特に、南向きですね、今回震災のところも含めて、結構案外北海道ですらお日様は照ってくれていると。

次は、風力です。風力も案外、日本は海に囲まれていますので、結構風の良い所があるという事であります。

更に地熱です。地熱は、東北の方に結構良い所があると。国立・国定公園に8割これが存続しておりますので、まあ国がその気になれば地熱は使えるんだねと。民間の私有地というよりは、国定公園なので、今国難の時で、国が一番苦しんでいる時なので、この地熱を国がその気になってどんどん使えるようにすれば良いんじゃないかということがあります。
地熱であれば、1日中、1年中、夜中も昼も使えます。

という事で、従来型の大規模な発電所に比べてですね、分散型で、しかも自然のエネルギーに色んな形で調和していくような形が出来るんではないかと。

で、それをやる為にもですね……僕がこういう事を提案するとですね、中には「ソフトバンクの孫は政商だ」と(笑)…僕はそんな批判を受けたのは生まれて初めてなんですけれども、僕は天下りは一人も会社に入れないと公言してますし。…まあ今役人の方もここには居られますが、まさかそんな呼称で呼ばれるなんて夢にも思いませんでしたが、まぁとにかくですね、制度が国に無いと誰も「この産業を起こしていこう」ということにならないと。

で、制度というのは補助金を貰う為に誰かがやるんじゃなくて、開かれた、誰でも志のある人は、その制度を使って新たに発電事業を起こせる、という事で、堂々と正面突破で、誰にも後ろ指さされる事無くですね、制度として、欧米の様にですね、民間企業が、志ある人がどんどんそこに参入すべきだという風に思います。

パンを焼くように電気を起こす、畑を耕すように電気を起こすという事で、あらゆる国民の人々が電気を起こすという事が出来て、力を結集するように、その為には制度が必要だという事であります。ヨーロッパ、あるいはアメリカには、こういう買取制度というのがきちんとあるということでございます。これを日本もやらなきゃいけない。

やればですね、今日本では原発一辺倒の主義の方も居られますけども、「それに比べて太陽は1年の中で12%しか使えないじゃないか」と「風でも2割位だ」とか色々言う人いますが。さあされながらヨーロッパでは10年前ほとんど自然エネルギーが無かったのが、この10年間でみるみるうちに増えてですね、それが日本で、先程菅総理がおっしゃった目標数値をもう既に彼らは達成しつつあると。それを大きく上回ろうとしていると。たった10年間ですよ。ですから、10年前ほとんど無かった彼らがこの10年間でそこまで出来たなら、何で日本が出来ないんだと。出来ないという事を大合唱する人は、ね?ちょっとおかしいんじゃないかと。ヨーロッパに出来て、何故日本が出来ないんだ。ましてや、事故を起こした日本が目覚めなければ誰がやるんだという事を僕は申し上げたい。

だから、今を見て「難しい」と嘆くのではなくて、先を見てそういう志を掲げるべきだと。

で、電気が…そうすると電気代が高くなるという人がいます。一応、一時的には少し高くなる可能性はあります。ヨーロッパでもそういう状況があります。

しかし、化石エネルギーはどうなったかというと、あるいは原子力エネルギーは事故の補償費なんかを含めると実は安全コストが上がります、保険コストも上がります。化石・原子力はこれからコストが上がる一方だと。それに対して自然エネルギーは、コストが下がっていくと。

化石エネルギーが、過去10年間で、4倍上がった訳ですね、資源コストが。今から、中国・インドがこの化石エネルギーの燃料をガブ飲みする時代が来ると。ものすごい勢いで使い始める。そうするとですね、地球の資源として、それが需要と供給で高くなるに決まっているじゃないかと。過去10年よりももっと高くなる。

これから原子力発電所を新たに作る、という人がいますけれども、作るとなると大体20~30年かかって、それから40年償却というのがありますから、結局新しく作るとなると40年50年の単位でものを考えて減価償却しなきゃいけない。そのことを考えると、燃料費も上がるし、その間に自然エネルギーがコストが逆に下がるんじゃないかということであります。

我々が果たすべき事は、先程皆さんから出ているように、今現在の産業コストとして余計コストがかかるとか、家庭の電気代が10%上がるとかいう目先の問題よりも、10年後、30年後、50年後の子供たちに対して、どういう責任を我々が担うのかと。特にこれから何を作るのかということで行くと、作る時には20年後、40年後の事を考えて、コストも計算しなきゃいけない。今現在のコストだけでモノを見るとバックミラーで運転するような形になると。バックミラーを見ながら運転するというのは、不可能です。やっぱり、先を見て物事を考えるのが一番大切な事ではないかと。子供達のために、我々はそうすべきだというのが大人の責任だと。大人のエゴで、目先の損得勘定で、本質を見誤ってはいかんという風に私は思います。

<司会・藤沢氏>
ありがとうございました。・・・Part3に続く

【全文書き起こし】自然エネルギー普及への並々ならぬ思い!菅総理、孫社長ら参加オープン懇談会Part3

書き起こし・文字起こし協力:@kobayashinaominさん、@gcynさん、ありがとうございました!

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