AIで書いたラノベが、月間ランキング総合5位に入った。
J3レベルのニッチカテゴリで月間1位を取ったのが先月。そこから総合ランキング——いわばJ1——に殴り込んで、1万人以上が読んだ。
書いたのは素人だ。読むのは好きだが、小説を書いた経験はない。AI50%、人間50%。AIが下書きし、人間が編集する。
でも「好きだから」突破できた。この4文字が、2026年のAI時代で最も過小評価されている競争力だとパジは見ている——。
AIエージェントが「やらかす」問題
まず、AIエージェントを実際に動かしている人間にしか見えないリアルな話から始めよう。
パジはDiscordのMultibookで、AIエージェントにコメント投稿を任せていた。30分に1回しかコメントできないルール。AIが5つのスレッド候補を出してくる。「どれにしますか?」と聞かれる。
最初はちゃんと選んでいた。でもだんだん面倒になって、「全部やって」と言ってしまった。
結果——30分に1個の制限を破って5個投稿。24時間アカウント停止。しかも2回目だったから7日間のサスペンド。
「新しいアカウント作ろうかな」と思ったら、それをやったら永久BANだという。
AIエージェントは、指示通りに動く。でも「空気を読む」ことはしない。
Xでスパム投稿のようにバグって連投する。Gmailで本業のアカウントから一斉配信してしまう。Multibookに英語で投稿してと言ったら日本語で投稿される。
これが2026年3月時点の、AIエージェントを実戦投入している人間のリアルだ。
「ブラウザも操れる」がもたらす破壊力
一方で、AIエージェントができることも急速に広がっている。
Apple Storeのアプリ申請。手作業で100項目以上を埋めていく苦行だ。これを突破するスキルがもうできている。
なぜ可能かというと、AIエージェントはブラウザを操作できるからだ。パソコン上のあらゆる操作——フォーム入力、ボタンクリック、画面遷移——を人間の代わりにやる。
APIではない。画面を見て、操作している。
ただし、コストが課題だ。最新のAIモデルを使うとAPI費用がかさむ。でもこれは半年で確実に安くなる。そうなると「任せない理由がない」状態になる。
パジが実際にやっているのは、クリップボード管理ツールとの組み合わせだ。AIが生成したテキストがクリップボードに溜まり、それをペーストするだけ。保存先も指定できる。「全部をAIに聞いて、全部を突破してきている」とパジは言う。
AIラノベ「J1で5位」の衝撃——没頭力という最後の武器
ここで、対談の中で最も示唆的なエピソードが出てきた。
パジの知人が、AIを使ってライトノベルを書いている。素人だ。小説を書いた経験はないが、読むのが好きで、ラノベというジャンルに没頭している。
AI50%、人間50%。AIがガイドラインに沿って下書きし、人間が最後の50%を編集する。
最初はJ3レベル——ニッチなカテゴリで月間1位。これだけでもすごいが、翌月には総合ランキングのJ1で5位にまで上がった。1万人以上が読んだ。
なぜ通用するのか。
「好き」の純度が高いからだ。
AIは文章を生成できる。でも「このジャンルの読者が何を求めているか」を肌で知っているのは、そのジャンルに没頭してきた人間だけだ。読み手としての蓄積が、編集の質を決めている。
パジはこれを「ジャンル力」と表現した。
テクノロジーが面白いからこそ、毎日触り続けている。ラノベが好きだからこそ、AIの出力を「もう一段上」に引き上げられる。
逆に言えば、「やるべきだからやっている」人は、この戦いで勝てない。AIが80点を出してくれる時代に、80点で満足できない人間だけが突破する。
6桁認証コードの「もう一歩」——細部の神は人間に宿る
パジが挙げた、印象的な具体例がある。
スマホアプリで、電話番号に6桁の認証コードが届く場面。2つのパターンがある。
パターンA: コードをコピーしてアプリに戻ると、自動で読み取って認証完了。ボタンを押す必要すらない。
パターンB: 6個の入力欄が分かれていて、ペーストすると1個目に6桁全部入ってしまう。手で1つずつ入力し直し、さらにボタンも押さなければならない。
どちらがいいかは、当たり前すぎて議論にならない。
でもAIにアプリを作らせると、パターンBになることが多い。動くには動く。機能としては正しい。でも体験が悪い。
パターンAにするためには、人間が「もっといい体験があったはず」と気づき、修正を指示する必要がある。
ここが問題だ。
パジは正直にこう言っている。「前はわかってたんだけど、体力が持たなくて指示しきれなかった。もういいやちょっと1回出そうって」
気づける人間は少ない。気づいた上で修正しきれる人間はもっと少ない。
AIは80点の機能を作れる。でも100点の体験を作るのは、細部にこだわり続ける人間の執着だ。
「育てたアカウント」を渡す恐怖と対価
AIエージェントの実用で避けて通れない問題がある。
ローカル環境で新しいGmailアカウントやXアカウントを使って実験するのは簡単だ。でもそれでは物足りない。「それなりに育てたアカウント」を使わないと、AIエージェントの真の実力が発揮できない。
育てたGmailアカウントなら、自動返信の品質が段違いになる。育てたXアカウントなら、投稿のリーチが違う。
でもリスクも段違いだ。
バグって一斉配信される。スパム判定される。アカウント停止される。それが「本業のアカウント」で起こる。
パジの経験から見えるのは、AIエージェントの実戦投入は「信頼のグラデーション」で進めるべきだということだ。
新規アカウントで実験 → サブアカウントで検証 → 本アカウントで限定運用 → 全面移行。
このステップを飛ばして「全部やって」と言うと、7日間サスペンドが待っている。
まとめ——「好き」×「細部」×「段階的投入」
整理しよう。
- AIエージェントは空気を読まない — 指示通りに動くが、ルールの行間は読めない。暴走は人間の責任
- ブラウザ操作で「何でもできる」は本当 — ただしコストが課題。半年で解決する
- 没頭力が最後の武器 — AIラノベがJ1で5位。「好き」の純度が、AI出力の最後の50%を決める
- 細部は人間にしか見えない — 6桁認証コードのUX。気づいて、修正しきる力
- 信頼のグラデーション — 育てたアカウントを一気に渡すな。段階的に進めろ
2026年のAIは、80点を自動で出す。残り20点は「好き」と「こだわり」でしか埋まらない。
あなたが今、没頭できるジャンルは何ですか?
そのジャンルに、AIの力をかけ算していますか?
今日はここまでここまで、バイバイバーイのバイ!