孫正義&三木谷浩史対談「国民の、ITによる、日本復活」書き起こし

孫正義(以下、):わざわざ来ていただいてありがとうございます。

三木谷浩史(以下、):いえいえ、とんでもございません。孫さんの講演聞いたの15年ぶりぐらいです。

:僕もね、一般の皆さんを前に講演するのは10年ぶりぐらいです。今まで全部お断りしてきました。でもね、こういう時代だからやっぱり、たまには直接自分の日常のことから離れて、語るべき時期が来たんじゃないかなと思って、今回お受けしたんですけどね。

:僕が講演をお聞きして思ったのは、当然、光ファイバーを各家庭に引いて、インフラを整えるということとともに、しつこいようですけど薬の通信販売ごときを認めないと。インフラ整えるとともに、遠隔医療にしても教育にしても。教育でも文科省はeラーニングという言葉を認めてないですよね。意味がわからなかったんですよ。eラーニングを認めないってどういう意味ですかっていうと、紙による通信教育だと。本人確認が取れると、だけどインターネットだと本人確認がとれないでしょうと。だから遠隔教育ってのは認めないと。そういうアプローチですよね。

:そうそうそう。やっぱりなんか人は悪さをする、人は困ると。だからお上は、消費者を守ってあげなきゃいけない、自分たちが決めた枠組みとか規制というのは、民を守るためにやってるんだと。もしかしたら思い込んでるんじゃないかと思うんですね。でもほんとうは、多くの人々は性善説で動いてて、自分で自分の責任の取れる範囲であれば、あんまり規制しないでくれ、というのが多くの国民の想いじゃないかと思うんですね。だからほんの一部の人が何か問題があったらそれを針小棒大にとらえて、進化をまるごと止めてしまうと、そういうきらいが日本には多いんじゃないかと思いますけど。さっきの三木谷さんの話でも、アメリカとか欧米で自由にやってて、一体それでほんとに何人か困ってるのかと、困った事例よりも助かった事例の方が多いんじゃないかと。

:困った事例ゼロだったんですよ。

:あ、ゼロだった。まぁ確かに育毛剤をネットで買って困るかなぁ。

会場:(笑)

:ねぇ。僕なんかやっぱりね、今でこそ諦めたけど、若いときはやっぱり買いたかったのよ。でも恥ずかしいのよね。薬局で若い女性の可愛い店員さんなんかいて、育毛剤ってレジに持ってくのがためらわれるわけですね。そんなの僕が若いときにネットで育毛剤買えたら良かったなぁって。

:結果はどうなっているかはわかりませんけど。でも、そういうアプローチでね、ひとつひとつ、個別的、リニア的に、制度改革というのをやっていくのか、それとも普通、まあ世界標準がすべて正しいというわけではないんですけど、この国は独自のルールってのが多すぎるんですよね。だから、基本は世界標準。特別な事由があるときだけ、なんか考えればいいでしょ。すべてのことをスクラッチから考えるから、自分たちのロジックにあった制度とか、企画とかになっちゃうじゃないかなと、僕は最近思っているんですけど。

:たしかにね。たしかに。だから、韓国とか、最近、国は日本よりちっちゃいのに、人数も少ないのに、元気を取り戻している国があるわけですね。ことごとく規制をどんどんとっぱらって、世界標準に合わせようと、最先端へ行こうと言う動きがある中で、やっぱり日本が逆噴射するのだけはまずい。

:こういった形で内需を光ファイバーで上げる。それから、国民のレベルを光ファイバーであげるとともに、産業としても海外に出て行く、日本のルールを世界のルールにあわせていくっていう。

:まあ本当のね、基本は世界ルールで、日本だけ特有な何かがあるという、特有な理由があると。その特有な理由が、大多数の国民が「なるほどね」と言った時だけ、はるかに議論も少なくて、世界の競争についていけるということになりますよね。

:そういうところを光と合わせれば、最強のね、国民の生活レベルも上がるし、文化的レベルも上がるし、プラス、産業としても輸出できような駒になっていくんじゃなかなと。

:だからね、新しい進化をしたいというときに、必ず反対するいう人が、「さわさりながらなにがない」と、必ず言いたがるんですね。だから、新しい利用用途を見つけたときっていうのは、さわさりながら日本のインフラが高いとか、遅いとかというわけです。高いとか、遅いっていうんじゃなく、安い、早い、素晴らしいものに切り替えようって言うときには、それを慕って利用する、内容がほとんどがないじゃないかと。必ずそうやって(言う)。車の両輪の片側を人質のように、理屈として使いながら、もう片方も否定すると。車は片輪では動かないから、両方とも車輪をなくそうという話ですね。そうじゃなくて車は両輪ともつけりゃいいじゃないかと、言うことでないかと思うんですね。インフラも良くする、利用の規制も取っ払う、そして両輪で走るんだと。片方の車輪が十分じゃないから、もう片方もついでに否定するというのは、なんにも進まない。

:そうですね。たぶん、いま色々出てきた規制の問題というと、そうとう日本特有の事だと思うんですが、国民のほとんどの人はそういうことを知らないんだと思うんですよね。それがすごく特殊なものである、ということを。たまに海外旅行に行ったりもするわけですけど、あるいは留学したりもするかもしれないけれど、いろんなものが全部違うんだ、ということで、どっちかというと洗脳されちゃってるから、それで、世界中がインターネットで繋がっているのに、日本語のサイトが中心になっちゃう。

:やっぱり国民の声というのが、普段なかなか反映しづらかったんだと思うんですよね。2、3年に1回ある選挙の時に、投票という形で、ある程度声を出せるんだけど、それ以外、日常で、国民の声が政治家のみなさんに届くのか、あるいは官僚に届くのか、なかなか届く道がいままでなかったんだろうと思うんですね。マスメディアというのは、マスとして一方向から流れてきますから、国民はそれを一方向で受け取るんだけど、国民の側から逆に返事をする、問い合わせる、というようなことは、なかなか手段がなかった、と思うんですね。だけど、最近幸いなことに、ツイッターだとかUstreamだとか、あるいは、そのほかmixiだとか、いろんなものができて、国民の声が直接届けられると。三木谷さんもツイッターやっている、僕もやってますけど、やっぱり直接我々のお客さんとか、あるいはお客さんじゃない人でもね、声を聞けるというのは、経営にもすごく役立ちますよね。

:そうですよね。

:だから、政治にもそういう国民の声がこれからどんどん反映されていって、ネットの選挙運動が解禁にされるのか、されないかという議論がありますけど。

:あれ大きいですよね。あれ大きい。

:ねえ。だいたいね。選挙運動のときに後援者の人が一生懸命、電話で何百人も「誰々に票を入れてください」とい言って回ると。それがオッケーで、なんでネットがダメなの?

:そうそう。

:電話でやる方が金が掛かるわけですよね。人件費も掛かる。しかも相手の声って言うのは、なかなか直接なかなかやりとりできない。ネットでやれば金を掛けずに、平たくすべての国民が、意志のある人は意見を言える、と。そういうものは当然解禁すべきで。だから、一回あらゆる規制をゼロベースで、本当に必要なのかと。

:世界でネットの選挙を禁止している国って、日本以外であるんですかね?

:僕はほとんど聞かないですね。韓国も、アメリカも、ヨーロッパもみんなやってますよ。

:そうですよね。それを阻害したい人たちがいるんですよ、この国は。止めたい人が。薬の時もね、150万筆集めたんですよ、ネット上で。

:はぁー頑張ったね。

:150万筆ですよ。そうすると、これはオーバーラップしている人がいると。たぶんリアルでもあるんだと思うんですけど。だけど、それでもね、厚労省はね、個別に話すと「三木谷さんの言うとおりだ、わかっている」っていうんですけど。

:風邪薬とかね、痔の薬とか、さっきあったけど。いいじゃない、って思うけどね。

:僕がこれを一生懸命やっているのはこれが象徴的だからなんですね。お金は儲かっていない、正直いって。だけど、これくらいできないなんて、なんでなの。だから、テストケースとして。

:やっぱり、そういう規制をとっぱらって、日本の成長のために、なにをすべきか、そのためのインフラをどうすべきか、そのためのサービスのアプリケーションはどうすべきか、全部前向きに、建設的な方向で話をすればいいんだろうと、思うんですよね。

:そうですよね。孫さん頑張ってもらって、もうちょっと。

:いやいやいやいや。それはお互いに頑張って。

:僕が言いたかったのは、インフラの「光の道」と、規制改革はやっぱり両方行かないと。

:そうです。

:インフラだけ引けても、遠隔教育はダメであるとか、遠隔医療はダメであるとか。そうしたら、宝の持ち腐れになってしまいますよね。

:そう、もちろん。

:じゃあ、そこをどうやってIT業界として、今日沢山の方が見てくれていると思うんですけど、意見をまとめて国に伝えていったらいいのかなと。

:だから、本当にねさっきいったように、光を引いたからって何の得があるんだ、要りもしないのに、っていう人が時々いますけど。じゃあ、自分んちの家は、水道が来てない、電気も来てない、ということに対して、「それでもいいの?」って言ったら、全員「嫌だ」言うと思うんですね。それは新しい時代の新しいメリットを体験したから、一回でも体験したらもう昔に戻りたくない。でも最初に電気が運ばれたとき、最初に鉄道ができたときも、車ができたとき、猛反対する人がいっぱい当時にもいたんですね。

イギリスの事例知っています?最初に車が生まれたばかりの時に、イギリスで「赤旗法」っていうのがあったんです。自動車が通るときに、がーっときて、危ないと。前に人がいるとか、牛がいるとか。轢かれちゃうので危ない、と。したがって、これをよけてもらうために、自動車を運転するのはいいけど、運転する人の召し使が、車の前を走って、20m先くらいに前で赤い旗をもって、「あぶないぞー!」「よけろー!」って言いながら、走らないと、車を使っちゃいけない、という規制があった。今の人から見ると、バカな話ですよね。前を走る人よりも早くは車は絶対に走れないちゅう。

会場:(笑)

:前を走っている人が一番危ない!

会場:(笑)

:ね、おかしな規制だけど、当時は真剣に議会で議論されて、真剣に世のため人のためと思って、そういう規制を作った。でも、自動車が生まれたばかり、鉄道が生まれたばかりの時って、それでも反対する人のほうが世の中には多いくらい。でも、それができあがって、日常に当たり前になったら、今度は無い困るって怒るわけですね。ですから、光のある社会、光のない社会・家庭っていうのは、そういう時代が来たときに、後で振り返ったらなんとバカな議論をしていたか、と必ず分かるわけですけども、やっぱり政治家の先生とか、官僚とか、委員会の学者とかいう人たちが、自らが使ってもなくて、反対の議決権だけを持っている人が結構いる。これは規制の時もそうでしょう。

:そうですね。

:自分で使ってもなくて、しかも世の中には国民は使っている人がいっぱいいる、その人たちの迷惑も省みずに勝手に止めている。知った上で、反対するならまだしも。

:個別に聞くと「私はネットで買っています」というんだけど、たぶん買ってないだろうな、と思うんですよね。どうみてもこの人は買ってないなという。

会場:(笑)

:でも、「光の道」の議論と、もういっこ、さっき僕がネクスト・ガラパゴス・ネットワーク(NGN)と名付けましたけども、この議論になるわけじゃないですか。せっかく、アクセスで分断しても、そこはNGNでかぶせちゃって、事実上支配すると、ということができちゃうわけです。それがワンセットですよね。

:まったくそのとおりですね。NGNもイコールアクセスを認めると、そういう形にしないといけない。

:それは勝手にやれと。だけど、そこのところを方向性的には違う方向にいきつつあると。

:おっしゃる通り。さすがよくご存知で。

:一応、多少、勉強しました。

:そういう問題もやっぱり、本当になにが日本国家にとっていいのか、国民にとっていいのか、という議論でやらないと。どこの会社が得する、損するというケタグリをやってるんじゃないか。喧嘩両成敗だ、みたいなね。

:むかしのプロ野球みたいですね(笑)

:そうそう(笑)プロ野球、難しいね。

:でも、パ・リーグはだいぶ変わりましたよ。

:うんうんうん、だいぶ変わったね。話題がそっちになると勝てんからなぁ。なかなか難しいですよ。

:でも、そこんところをブロードバンド推進協議会と、我々のeビジネス推進連合の、我々はどちらかというと上のレイヤーじゃないですか。

:そうそう。だから両方が車の両輪なんですよね。

:本当にエンドユーザーとかね。あるいは僕がやって
新しい産業起こしたい、新しい企業を作りたいという若者がどんどん出てこないと。日本の若者って、海外も行きたくない、車も欲しくない、なんにも欲しくない、っていう完全に草食系みたいになっちゃってて。

:やっぱり、草食系はいかんよね。熱くならんとね。

:草食系は放送禁止用語で。

:そうそう、そのぐらい。なにが草食系か知らんけど。やっぱりね、幕末なんかいいじゃない!

会場:(笑)

:龍馬伝好きだもんね。

:もう、本当に毎週泣いているんですよ。

:昔から言っていましたよね。20年前からね。

:昔から龍馬、龍馬。今年になって、にわかファンじゃないからね。筋金入りの。やっぱり、あの頃の日本人って言うのは、一番熱くて、純粋で、自分の命を投げてもいいと。金もいらん、名誉もいらん、地位もいらん、命さえも欲しくない。そういう男ほど厄介な男はいない、と。そういう厄介な男じゃないと、大事はなせない、大きなことはなせない、と。こうやっていったのが西郷さんで、言われた男が山岡鉄舟ですよね。ということで、ようするに、無血開城、江戸城の開城が起きたわけですけど。やっぱり、新しい時代を創りたい、新しい産業を興したい、というときには、そういう「俺はなんにもいらない」。そら、若いときは車もほしい、金も欲しい、家もほしい、彼女も欲しい、なんでも欲しいんだろうけど、ある程度生活できるようになったら、そこから先は残りの人生考えると、僕は本当に何のため生まれきたんか、と。しかもその、自分の時代の生活だけじゃなくて、自分の子どもたちとか孫たちとかね、日本の天下国家、50年先、100年先の人たちから、「ああ、なかなか熱い男がおったな」「あいつらなかなか頑張ったね」と。「あいつらのおかげでちとおもしろい世の中になったね」という風にいわれたら本望ですけどね。

:幕末と比較すると、坂本龍馬にせよ、福沢諭吉にしても、みんな死ぬほど黒船に乗ってね、世界はどうなっているのかと、知りたいと、世界を見て、日本を変えていったわけじゃないですか。ところが、いまはインターネットでね、5秒で世界中に行けるんだけど。なんとなく、そういう情報から自分たちを遮断して、言い方悪いけど、国民総ガラパゴスみたいな。なんとなく、こうなっちゃってるんじゃないかなと。だから、その辺の国民のみなさんのメンタリティが、「世界はもっとこういう風に動いている」、発展途上国なんかすごいわけじゃないですか、いま。そういうことが分かってもらうような仕組みを作っていかなくちゃいけないですよ。

:でもね、僕は、諦めたくないんです。僕は、16でアメリカで行って、22で日本に戻ってきましたけどね。なぜ日本に戻ってきたんだ。まあ、16でアメリカ行く時に、おふくろが毎日泣いていたからね。そんな行くな。そんな国、鬼がおるような国。見たことも聞いたことも無い。怖い。戻ってこれないんじゃないかと、毎日泣いてたけども。必ず戻ってくるからと。大学卒業したら必ず戻ってくるから、心配せずに待っといてくれ。おふくろに約束してたから、戻ってきたんですけどね。でも、約束してたからだけじゃないんです。僕は日本に戻ってきたのは、やっぱり自分が生まれたのはこの日本で、大晦日になると、紅白を見て、こたつでミカンむいて、それで年越しそばを食べる。好きなのよ、これが!

:ははは。

:ね。やっぱり日本という国が好きだ、生まれ育った故郷だ。このせっかく美しい日本、素晴らしい日本が、どんどんダメになるというのは絶対にいやだ。絶対によみがえって欲しい、成長力をもう一回取り戻して欲しい。そして、21世紀も22世紀も、さっきの冒頭のゴールドマン・サックスのチャートもあったけど、どんどんどんどん抜かれていくと、マラソンとかでも抜かれていくときって、ものすごい疲れるじゃん。抜いていくときってね、気合入っているから案外疲れないんだよ。ゴルフだって、変なショットをしてスコア悪いと、帰っていくときは足が重たいよね。でもいいスコア出したときは全然疲れないよね。やっぱり、日本がまだまだ成長できる、伸びると、国民全体が元気で明るくなれる。僕はそういう日本に本当にしたいんだよね。

:そういう意味ではね、やっぱりさきほど言った「光の道」と「規制改革」によって、世界に例のないようなビジネスがどんどん生まれてくると。ということがとても重要で。ただ、内需はそうはいっても人口はそこまで爆発的には増えないから、日本で生まれた産業を世界に輸出すると。

:そうそうそう。インターネットで世界中に売れるんだからね。日本よりもはるかに人口が少ない韓国でも急成長しているわけでね。IMF危機で、国が倒産すると言う状況から10年で立ち上がった、となっていますから。まだまだ諦める必要はない。僕はね絶対にね、まだまだ。こういうことに関心を持っている人は一瞬でこんな集まる。抽選ですよね、おめでとうこございます。

会場:(笑)

:韓国の政治家の人と、日本の政治家の人って、韓国は私よく知らないんですけど、どこが違うんですか?なんで、向こうはそうなって、日本はそうならないんですか?

:僕もあまり知らないけど、でもやっぱり、一回危機を体験してる、10年前に国が倒産するという危機を体験してる。日本も戦後焼け野原になって、アメリカにやられて国が死ぬ、という時はもういっかいそこから立ち上がるハングリー精神。幕末で黒船を見て、国がとられるかもしれないという立ち上がったエネルギーはすごったんだとおもいます。韓国もIMF危機で本当に国が潰れると。だから危機感をもって、サムソン、LGとか、上の方の人はみんなクビで、若い人がみんな経営陣に入って、一気に立て直していったでしょ。政治家もばぁーっと変わっていった。国民全体が危機感を持ったという。危機感をもって、ヤバイとおもったら、優秀な人々、志の高い人たちがいっぱいいると思うんですよ。危機感を持たずにでれでれでれ~と、ゆとりの教育で、最近運動会でもね、ゴールの前で全員手をつないでゴールするらしい。それって、かけっこか、と。やっぱり「負けない!」っていって、がーっと走って、「3位だった、悔しい」と、もっと走ろうという努力をするんだけどね。

:それも、国民の大半の人は、それでもなんとかなるって思っているんですよ。

:(しかめつらで)いかん。

会場:(笑)

:がんばりましょうよ。

:ああ、頑張ろう。頑張るしかないよ。僕はね、本当に思うのは、僕らがYahoo!BBのADSLを立ち上げた時と言うのは、日本中の通信インフラの99%がNTTが持っているメタル回線で、そのうえで、ISDNという超遅い、日本だけが世界で唯一のガラパゴスの通信ネットワークで繋がってて、その上に、NTTと競争する会社が、ADSLとかブロードバンドとかやっていいとうのはそもそも規制でできなかった。でも、僕は金は無い、経験も無い、なんもインフラも無い、お客も持っていない。だけど、このままいくと日本の通信インフラが遅れると。インターネットが成長できないと、ということで、役員会でも猛反対されたけど、「やる!」と。もう、いいと。ということで、結果は毎年1000億、4年間続けて赤字を出した。それはもう、マスコミにもボコボコに書かれて叩かれたりしたけど、でもね、僕は思ったんですよ。万が一、その結果、ソフトバンクが潰れたとしても、それに刺激を受けて、NTTが競争相手として目覚めてくれて、その結果、NTTがあれほど否定していたADSLを開始してくれて、あれほど否定してきた値下げを、競争上という理屈で値下げしてくれて、結果、日本のインターネットのインフラが良くなったとしたら、ソフトバンクが潰れて、なんぼのもんじゃ、と。僕は真剣にそう思った。だいたい、歴史上の偉人てさ、刺されて死ぬじゃん。

、会場:(笑)

:だいたいでもね、死んだほうが教科書に残るからね。

会場:(笑)

:俺生き延びちゃったからね、教科書には残らんと思うけど。それはどうでもいいんですけど。

:結局、NGNも次なるISDNみたいな感じじゃないですか。

:ガラパゴスはいかん。日の丸で作った特殊技術って、自慢する人がすぐいるけど。これはいかん。これは鎖国派です!

会場:(笑)

:これはいかん。攘夷、鎖国。やっぱ開国せないけないから。

:じゃあ開国党でも作りますか?ネット開国党。

:党は・・・。

:やめておきましょう、冗談ですから。

(ここで時間いっぱいのアナウンスが流れる)

まとめの挨拶

:みなさん、ありがとうございました。今日はもともと孫社長が非常に強い「光の道」という壮大な計画を、少しでも応援できれればいいかなと、馳せ参じました。eビジネス推進連合のほうは、まだまだ若い組織でございまして、ポイントもこれからまとめていくところなんですけど、インフラ構想とともに、「規制改革」を一生懸命やっていきたいなとおもっていますし、そういうものを通じて、日本の色々な面でのレベルアップに貢献していきたいな、と思っております。本日はどうもありがとうございました。

(会場拍手に包まれる)

:もう、本当にですね、心の底から思います。この素晴らしい日本。素晴らしい子どもたち、そして、素晴らしいお年寄りのみなさん。この素晴らしい日本を、やっぱりどうせダメだと、政治家が悪いとか、官僚が悪いとか、社会が悪いとか、そうやって愚痴を言うばっかりでは世の中は変わらない。たった一人でもいいから、目覚めて、気づいて、たった一人の友にでもいいから、それを伝える。ということによって、もしかしたら世の中が変わるかもしれない、もしかしたらほんの少しでもいい方向に進むかもしれない、そういう趣旨で、今日はこのような場を設けました。今日、ここに来られたみなさん、そして、Ustreamで観ているみなさん、そして、ツイッターでつぶやいているみなさん。誰のためでもない、自分自身のために、そして我々の素晴らしい日本のために、よろしくお願いします。ありがとうございました。

(会場拍手に包まれる)

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