IT文字起こし: 安宅 基(パジ)

Opus 5台を同時に動かしたら3日で1年分のコードが完成した——シンギュラリティを「見た」話

Opus 5.5を5台並列で3日間動かしたら、1年分の開発が終わった。ブロックチェーン決済、AI審査、自動投稿の3層システムが完成。パジが「人間を卒業した」と語るシンギュラリティ体験記。

Opus 5.5を5台同時に動かしたら、3日で1年分のコードが出来上がった。

これは比喩ではない。パジが実際にやった話だ。

5台のAIがそれぞれ別の機能を並列で開発する。ブロックチェーンのエスクロー決済、広告出稿の自動審査、ガイドライン確認、UI実装。1台ずつ確認していたが、途中から「これ正解してんじゃん」が連発して、確認すら省略し始めた。

パジはこう表現した。「人間を卒業した感じがした」

シンギュラリティは、論文の中の概念ではなくなった。体験として、目の前に来た——。

「5台同時開発」で見えた景色

パジが開発したのは、HumanAdsというプラットフォーム上の広告出稿システムだ。

最初はChatGPTで仕様をまとめた。結構ちゃんとした設計が出てきた。それを1台のOpus 5.5に投げた。

ここからが異常だった。

1台では足りないと感じて、2台、3台、最終的に5台まで増やした。それぞれにページ、機能、デザインを割り振る。GitHubでブランチを切って、干渉しないように——と思いつつ、カニバることもあった。マージに失敗することもあった。

でも、Opusの出力精度が異常に高かった。

「ほぼ間違わない。エラーも出ない」

途中から、確認作業すら不要になった。5台が瞬間的に(といっても各5分くらい)コードを上げてくる。人間は承認ボタンを押し続けるだけ。

今までのバイブコーディングが「1」だとしたら、これは「10」だった。

1年かかるはずの開発が、3日で終わった。ただし人間側は休む暇がない。5人の部下が「承認お願いします」を連発してくる状態だ。

ブロックチェーンが「AIの決済インフラ」になった瞬間

開発したシステムの中で、特に興味深いのがエスクロー決済だ。

広告主が1,000ドルを出稿する。そのお金はブロックチェーンのスマートコントラクトに一旦預けられる。インフルエンサーが投稿し、AIが内容を審査し、条件を満たしていればエスクローから自動で支払われる。

人間の介在がほぼゼロだ。

しかもAI側が、投稿内容をガイドラインと照合してくれる。「この要素が抜けてます」「HTTPSのリンクになってません」と細かく指摘する。設定してないのに、通常のパターンを知っているから自動で検知する。

投稿後には、広告主とインフルエンサーが相互評価できる仕組みもある。「素早く支払ってくれた」「コミュニケーションがスムーズだった」。

AIが仕事をし、ブロックチェーンが決済し、人間が評価する。この3層構造が、3日で出来上がった。

「人間を卒業した」の正体——シンギュラリティ体験記

パジが「頭がおかしくなった」と繰り返したのには理由がある。

今まで「30弾、50弾積み上げても」と話していた開発の粒度が、今回は次元が違った。1年分のコードが3日。しかも品質が高い。人間がやるより正確だ。

この体験が、パジに「シンギュラリティの確定した未来を見た」と言わせている。

確定した、という言葉が重い。

今までは「シンギュラリティが来るかもしれない」だった。それが「来る。見た」に変わった。違うかもしれないけど、多分正しい、とパジは言う。

具体的に何が変わったのか。

Opus 5.5世代のAIは、コードの正確性が異常に高い。エラーが出ない。人間の確認が不要になるレベルだ。これを5台並列で動かすと、人間の開発チームの数倍の速度で、人間以上の品質のコードが出てくる。

これはもう「ツールが便利になった」という話ではない。人間の仕事の本質的な部分が、AIに代替された瞬間だ。

Apple/Googleの「人間残し戦略」——巨大企業の最後の砦

対談の中で、面白い視点が出てきた。

AppleのApp Store審査。100項目以上を手で埋める苦行だ。AIで簡単にできるようにはしない——とパジは予測する。

なぜか。

巨大企業が権限を使って、意図的にAIの進食を遅らせる戦略があり得るからだ。「ここは人間のお仕事」として残すことで、AIによる自動化の波を一部せき止める。

Apple、Googleクラスの独占的な企業なら、これができる。プラットフォームのルールを決められる立場にいるから。

ただし限界もある。

「やりすぎるとどうせ他のが出てくる」——代替プラットフォームが生まれるリスクがある。だからせき止められるのは、あくまで「遅らせる」レベルだ。

でもシンギュラリティが始まるなら、こういう「ずるい戦略」も取れるなら取ってもいい。それぐらい深刻だ、と。

人間塾——AIではなく人間であることを証明する仕組み——の必要性すら語られた。せめてもの抵抗だが、本質的ではない。遅らせているだけだ。

「おっさんこそやるべきムーブ」の理由

対談の最後に、意外な結論が出た。

パジのようなムーブ——Opus 5台同時開発、AIエージェント組織構築、3日で1年分の開発——を、若い子がやりきれるかというと、意外と難しい。

なぜか。知見があるからだ。

何を作るべきか。どういう設計が正しいか。どこでカニバりそうか。どこを妥協していいか。この判断は、経験がないとできない。

AIは実行力を10倍にしてくれる。でも「何を実行するか」の判断は、人間の経験に依存している。

45歳の知見 × AIの実行力 = 20代には出せないスピードと品質

OpenClawやManusを使えば、マニュアル通りにやれば誰でもある程度はできる。ドキュメントも充実してきた。

でもパジが3日で1年分を開発できたのは、AIの能力だけではない。20年以上の開発経験と事業経験が、指示の質を決めているからだ。

まとめ——「見てしまった人」と「まだ見ていない人」

整理しよう。

  1. Opus 5台同時開発 — 3日で1年分のコード。バイブコーディングの次元が変わった
  2. AI×ブロックチェーン — 仕事→決済→評価の3層が3日で完成
  3. シンギュラリティ体験 — 「来るかも」→「来る。見た」に変わった
  4. 巨大企業の人間残し戦略 — Apple/Googleが意図的にAI化を遅らせる可能性
  5. おっさんの逆襲 — 知見×AI実行力で、若い子には出せない成果を出せる

パジはシンギュラリティの確定した未来を「見てしまった」と言った。

あなたはまだ「見ていない」側ですか?

それとも、もう見てしまいましたか?

今日はここまでここまで、バイバイバーイのバイ!

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パジ

安宅 基パジ

あたか はじめ

連続起業家・現役スタートアップ経営者。2011年Tokyo Otaku Mode共同創業、海外2,000万人規模メディアから越境EC・翻訳・広告・配送代行まで自社一気通貫で推し活文化を世界に届ける。ゲーム攻略本ライター→Webディレクター→フリーエンジニアで起業、複数事業バイアウト経験。スタートアップとブロックチェーンに精通し、ゼロからの事業創出と新技術のかけ合わせを得意とする。最近のイチオシはAIバイブコーディング。

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